第3話
スキル・魔法紹介
《フリーズランサーレイン》:空中に氷の槍を作り出し降り注がせる魔法。氷魔法技能LV30で取得。
《詠唱破棄》:上級以上の魔法で必要な詠唱をせずに魔法を発動できる技能スキル。ただし、使用によって魔法発動に必要なMPが増え、さらに威力が減少する。魔法展開技能LV40で取得。
《魔斬》:武器の軌跡に沿って斬撃を打ち出す技能スキル。斬撃技能LV10で取得。
《フリーズバレット》:こぶし大の氷の塊を打ち出す魔法。氷魔法技能LV1で取得。
《ラッシュ》:連続で攻撃をあてるごとに威力を増大させる技能スキル。逆に攻撃を受けた場合スキルは終了する。倍率は一撃ごとに0.1ずつ増えていく。拳闘技能LV20で取得。
数分後(正確に言うとデスぺナが終わる5分24秒後)再び申請された決闘を承諾し、それと同時にアナウンスが流れる。
『一分後に決闘を開始します。該当者以外は離れてください。』
同時に空中に数字が表示され、カウントが始まる。
「「オープン」」
俺とゼロは同時に武装展開ワードを口にする。
俺は死神にやられる前の服装、つまりハットをかぶり、ロングコートを身にまとい、そのコートの大きな袖口からは銀の手甲がのぞき(指先部分が多少とんがってるような感じの手甲、名前は知らない。)その手には大きな鎌が握られている。…まぁ初期装備なんだがな。
対するゼロは、白いスーツのような服装だったのだが、それにマントを身にまとい、手には木製の杖が握られている。…魔法師だったか。
あ、ちなみに魔法師ってのは、文字通り魔法使う職のことな。
「覚悟しろ、この僕、零時間が貴様を倒してやる」
…痛たたたぁ…。ダメだこのナルシスト、ついに中二までついたか…手遅れだな。
…あ、もしかしてそれ掲示板とかで言われてるやつか?こいつそういうランキングとかしっかり把握してるからなぁ。たしかどっかの掲示板に「トッププレイヤーに異名つけようぜ!」というスレッドが建てられて…何人かのプレイヤーはそこで決められた名前で呼ばれるようになったんだっけ…まぁどうでもいいか。
『あと20秒で決闘を開始します。』
っと、考えてる間に始まりそうだ。ま、見た感じ魔法師だから近づけば終わりだろう。
『カウントダウンを開始します。10…9…8…』
俺は鎌を構え(ダジャレじゃないぞ!)、開始の合図を待った。
『3…2…1…決闘開始』
「《フリーズランサーレイン》」
始まったとたん、氷の槍が上空に大量に出現した。…は?
「え、ちょ…ま…」
そしてそのまま、氷の槍は落ちてきた…。
ーーー比嘉咲 美鈴ーーー
『カウントダウンを開始します。10…9…8…』
大変なことになってしまった。私を助けてくれた彼に対して、氷川君はPvPを仕掛けた。まぁ、彼が言い過ぎたこともあるのだろうが、氷川君は自身をトッププレイヤーだといっていた。そんな彼に勝てるのだろうか。大丈夫かなぁ?
「うさぎさんがんばってー!」
あぁ、うちの妹のヒナが元気に応援している…。そもそもこの子があの人に私を助けてくれと頼んだらしい。そこはGJと言いたいところだが、こうなってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。あぁこんなこと考えてる間に始まっちゃう…。
『3…2…1…決闘開始』
「《フリーズランサーレイン》」
開始の合図とともに、あの人の頭上に氷の槍がたくさん出てきた。
そしてそのまま、氷の槍が降り注いで、あの人の姿は見えなくなった。
えっ、大丈夫なの!?心配したとき、氷川君が大きな声で言った。
「はっはっは!見たか!これが零時間の力だ!<魔法展開>の技能で覚えられるスキル[詠唱破棄]!威力は多少落ちるが、詠唱が必要になる上級魔法を詠唱なしで放てるんだ!…まぁその分MP消費が激しいのだが…。だが!一撃あれば十分!どうだい比嘉咲さん!見てくれたかい僕の雄姿を!」
大半が何を言っているのかがわからないけど、すごいってことはわかった。
でも名前で呼ぶのはやめてほしいなぁ…。
そして、魔法が解け、氷の槍が消える。その場には、彼の姿はいなかった。氷川君はそれをみてさらに高笑いしてる…。
負けちゃったのかな…。そう思ったときヒナに手を引かれた。
「だいじょうぶだよ」
「え?」
「ほら!」
ヒナはそう言ってそれを指さした。つられてその先を見てみると…
「あ…」
あの人がいた。空中で先ほどと変わらない状態で、トントンと、どうやってるのかはわからないが、空中で跳ね、浮いていた。
「何…だと…」
あ、氷川君も気付いたみたい。それとどうじに周りにいたギャラリーも気づき「なんだあれ!?」「飛んでる…」と様々な感想を漏らしている。そして彼は…
ーーー稲葉 遊兎ーーー
「あぶねぇ、まじあぶねぇ…」
まさか開幕で上級魔法ぶっぱが来るとは思わなかった…マジ死ぬかと思ったわ…。
いや、さすが(自称とはいえ)βテスターでトッププレイヤー、レベルが高い分、知らないスキルが多くあるな…。
俺は空中で《エアジャンプ》を連続で発動しながら、そんなことを考えていた。
え?どうしてこんなところにいるって?いやね?最初に魔法出されたとき、やばいと思って全力で《ハイジャンプ》したんだわ、そんでそのまま《エアジャンプ》で滞空して、今に至る。最初は加減が難しかったけど、しっかり練習して<跳躍>をうまく扱えるようになったからこそできたことだな。うん。
さて、そろそろ反撃を…ってあらら、みんなこっち見上げてるし…ばれたか…
「《フリーズバレット》」
あ、ゼロがなんか魔法打ちだしてきやがった。やっべ迎撃迎撃…
「《魔斬》」
俺は鎌を横に振りぬき、斬撃を飛ばす。<斬撃>のレベルが上がって覚えたスキルだ。
《魔斬》は狙い通り、相手の魔法を切り飛ばし、そのまま進んでいく。
「《エアジャンプ》」
それに合わせて、俺も体をひねり空中をけってゼロのほうへ進む。
《魔斬》はよけられたが、すでにゼロは鎌の射程圏内。このまま振れば当たる…が、そう簡単には倒さない。
俺は地面に着地し、後退しようとしているゼロの背後に鎌の刃を回り込ませ、逃げられないようにする。
「くっ!--《フリーズバレーー」
「よいしょぉ!」
「ぶべらっ!?」
顔面を殴る。しゃべれなければ魔法は使えまいよ…(まぁウィンドウから使うこともできるんだが…)
「《ラッシュ》」
「ぶっ!」
そして俺はスキルを発動しながら、再び殴る。あ、このスキルは連続して攻撃する限りダメージが上昇するというスキルだ。それを続けて使い続ける…
「もいっちょ!」
「ぶっ!」
俺はそのまま正義の鉄拳を続ける。
《ラッシュ》《ラッシュ》《ラッシュ》《ラッシュ》《ラッシュ》《ラッシュ》《ラッシュ》《ラッシュ》・・・
俺の執拗なまでの正義の顔面パンチは、ゼロのHPがなくなるまで続いた…。
HPがなくなったゼロはそのまま地面に倒れる。
ちっHPそんだけかよ、しけてんなぁ…。
俺はゼロだったものから離れるために踵を返そうとした…。
「…あれ?」
そのとき、あることに気付いた。
決闘終了のアナウンスが流れてない。
嫌な予感がして、俺はすぐに振り返った。
「《フリーズランサー》」
「っ!ーー《ハイジャンプ》」
振り返ったとたん、氷の槍が飛んできたので、《ハイジャンプ》でよけた。危ない…
「…どうなってやがる?」
「はっはっは!どうだ!驚いただろう!」
着地した俺の視線の先には、確かにHPを0にしたゼロの姿があった。
ゼロは笑いながら、腕につけている腕輪を見せた。
「これは蘇生の腕輪といってな!任意の回数まで死んでも蘇生してくれるんだ!」
…えー…
「これの蘇生可能回数はあと3回!それだけあればお前を倒せる!」
…そういえば課金アイテムの中にバカ高いのがあったなぁ…あれか…。価格が一個100万とかだったから、運営のジョークアイテムだったんだろうが…まさか買うやつがいるとは…。
まぁつまり、あと3回は殺さなきゃいけないということか…めんどくさぁ…。
…あれつかうか。
今回中途半端なところで終わったので二話連続投稿です。
あ、ちなみに、まえがきに書いてありますが、スキルと魔法は扱いが別になっています。詳しくは別話(次話ではありません)で説明します。