プロローグ
『大晦日』、それは一年が終わり、新しい一年を迎える日。人々は各々家族や仲間内で集まり、宴会などを行う。年越しそばなどを食べる。各々がこれまでの一年を振り返り、こんなことがあった、あんなことをしたなどと笑いあう。受験生などのごく一部を除きそこに暗い雰囲気はない。そして大みそかには食べ物以外にも楽しみがある。大晦日の特番? それもいいだろうが違う。それは……至福のひと時だ。
「やっぱこたつでミカンを食べながらのゲームはいいねぇ」
そう、大みそかといえば、季節は冬真っ盛り。超寒い。そんな時の文明の利器『こたつ』いやこれ発明した奴マジ天才リスペクトっすわー。名前知らないけど。寒い時の過ごし方はこたつでミカンとゲーム。これに限る。こたつの上にノートパソコンを置き、カチャカチャとオンラインゲームの大晦日アイテム配布を待つ。え? ALOはどうしたって? 大晦日くらい現実にいろと言われた。誠に遺憾である。
「お兄ちゃんちょっといい……ってまたゲームしてるし」
「ゲームして何悪。んでどうしたん?」
部屋でゴロゴロしていると、妹の三兎が入ってきた。あ、言い忘れてたけど今俺は実家に帰ってます。流石に大晦日は帰省ですわ。……まぁそうはいっても電車で1時間くらいしか離れてないけど。
しかして三兎さん。用件は何じゃらほい?
「私これから初日の出見に行くから、付き添って」
「だが断る」
即答だった。さっきも言った通り俺はオンラインゲームで大晦日イベントの待機中。ALOやっててもそういうのは逃さないよ俺は。いっつもやってるわけじゃないからなたまにはほかのゲームもしたいのです。ていうか体(?)を動かすALOと普通のゲームじゃジャンルという次元を超えてなにかが違う気がする。まぁそんなことはどうでもいい、重要なことじゃない。
「行きたいなら一人で行きなさい。俺はゲームしたいのです」
「一緒に行ってくれたら出店色々奢ったげるよ?」
「それはちょっと魅力的だな……」
三兎はかなり稼ぎがいい。俺の出店代金を奢るくらいどうということもないだろう。うーむ……。
「だがしかしまだオンラインゲームの方が優先度が高い。父さん母さんに頼め」
「最初は私も頼んだんだけどねー……ちょうどいいから二人で行ってらっしゃいって言われちゃった」
「ちょうどいいって……あぁ、なるほど」
今まで触れていなかったが、うちの両親は結婚歴25年、アラフォー飛び越えてアラフィフに届きそうにもかかわらず、いつでもラブラブだ。イチャイチャだ。爆発しろ。高校生にもなっていまだに両親ののろけ話を聞かされるオレの身にもなってほしい。壁殴り代行さんはよ。
「……防犯グッズは?」
「持ってるよ」
そういうと、三兎はスッと持っていた鞄からスタンガンを取り出した……ってちょっとまてい。
「聞いといてなんだけどなぜ持っている」
「天音さんがくれた」
「あー……」
あのマネージャーさんか。たしかにちょっと過保護になりそう……。
「まぁそれもってんなら大丈夫だろ。一人で行ってら」
「そっか……じゃあはいこれ」
「なんぞこれ?」
三兎に何やら折りたたんだ紙を渡される。
「お母さんがお兄ちゃんが渋ったら渡せって」
「ほむ……どれどれ」
紙を開けば、そこに文章が書いてあった。なになに……?
『遊兎へ。せっかくだから三兎と一緒に行ってらっしゃい。三兎にお小遣い渡してるから』 ほうほう
『ていうかぶっちゃけ邪魔臭い。お父さんが貴方のこと意識してイチャイチャしてくれないじゃないの』 素直にそうぶっちゃければ話が早いのにな。前置きいらないでしょ。
「だが断る」
「なにが?」
「いや……あ、まだ続きがあんのか」
『PS:行かないと仕送りを減らします』
「さて行くか!」
「……急に乗り気になったね」
これが乗り気にならずにいられるか! 仕送り減らすとかマジかあの鬼ば――
「すわ殺気!」
振り返れば……
『なんか言った?』
赤いペンでそんなことが書かれた紙が貼ってあった。い、行ってきまーす!
アオイです。
ついに最終章です。きれいに終わらせれるか不安ですが、頑張りたいと思っているので皆さん最後までよろしくお願いします。
……それはそうと短編を投稿したので宣伝をさせてもらいます。(ダイマ乙)
夏休みが終わった絶望感から書いたファンタジー物「独りの少年 http://ncode.syosetu.com/n7112dn/」
プラモデルを作り、なぜか書きたくなったSF? まぁゲーム物「Battle・Frame・Combat http://ncode.syosetu.com/n9521dn/」
よろしければ読んでください。