第1話
スキル紹介
《スラッシュ》:威力を挙げた斬撃をはなつ技能スキル。斬撃技能LV1で取得
《ハイジャンプ》:高く、そして速く飛ぶことができる技能スキル。跳躍技能LV1で取得。
《エアジャンプ》:文字通り空中でジャンプすることができる技能スキル。跳躍技能LV20で取得。
《合成》:アイテムを合成できる一般スキル。
「ーーふーん、お姉さんと来たのか。」
「そうなの、お姉ちゃんときたの、だけど、お姉ちゃんたちどっかいっちゃったんだ。」
俺は噴水広場を、迷子の女の子ーーヒナを肩車しながら、ぶらぶらとしていた。ヒナは俺のうさ耳をもふもふと触りながら、迷子になったことを説明した。どうやらうさ耳はこの子のお気に召したようで、すぐに打ち解けることができた。かわいいは正義ってやつか?…ということで現在はヒナの姉たちを探しているところなのだが…
「この中から見つけるのは骨が折れるだろうなぁ。」
「うーん、見当たらないね。」
噴水広場は現在、新規プレイヤーでごった返している。スクランブル交差点みたいな感じで密集している(実物見たことないけど)。運営どんだけ新しくVRI売ったんだよ。サービス開始の時はこうじゃなかったぞ?
うーん、どうするか…。手っ取り早いのは向こうに気付かせてこっちに来させることなんだが…
「あ、そうだ。」
「?」
俺のつぶやきにヒナが首をかしげる。
そんなヒナに俺は声をかける。
「ちょっと飛ぶからしっかりつかまってくれる?」
「え?あ、うんわかった。」
ヒナはそれに応じ、ぎゅっと俺の頭を抱きしめる。そこまでしなくてもよかったんだが…まぁいいか。
「《ハイジャンプ》」
「わわっ!?」
俺はヒナにしがみつかせたまま、高く飛び上がり、噴水広場にある時計塔(ここが一番高かった)の屋根にのった。これで全体が見渡せるな。え?それでどうするのかって?そりゃぁヒナのお姉さんたちに気付かせるんだよ。見てろ…
「えー取り出したるわー爆弾石ーそして火薬草ー」
「?うさぎさんどうしたの?」
…どうでもいいがヒナの俺の呼び名はうさぎさんで決定なのな。
まぁ気にせず作業を続ける。ええっと、爆弾岩と火薬草を《合成》っと。
あ、ちなみに、ALOのスキルの種類は二つある。技能のレベルを上げて取得する技能スキル、そして、クエストなどでNPCから取得できる一般スキル。今回使う《合成》は一般スキルである。たしか、『混ぜて快適!合成ライフ!』…だったか?まぁそれをクリアして、取得した。効果は言わずもがな、アイテムを混ぜて新しいものを作るスキルだ。
「こいつらを混ぜてっと…」
「何してるの?」
爆弾岩は文字通り爆弾である。んでそこに火薬草を混ぜる…まぁ導火線をつけるみたいなものかな?それをして…よっしできた。
名称:花火
効果:10のHPダメージ
概要:花火です。
概要それだけかよとか突っ込んではいけない。
「よーし、点火」
「点火?」
導火線に火をつけてー
「たーまやー!」
「た、たーまやー?」
それを空高く蹴り上げた。兎の脚力もあるので結構高く飛んでいった。
そして爆発。
ドーン!
「うおっ!?」
「ひやぁ!?」
い、意外とでっかい音が出たな…。耳が…。
ま、まぁおかげで広場の皆が上を見上げて、注目を集めれたからいいとしよう。
「ヒナ、手ふってみ?」
「え?」
困惑したが、ヒナは手を振った。
こうすりゃいやでも目に入るだろ。…お、出てきたかな?
人込みの中をかき分けてこっちに近づいてくる二人の女性の姿が目に入った。
「ヒナ、お姉さんってあの二人?」
「え?…あっ!お姉ちゃんだ!」
あってるようだ。そんじゃおりますか。
「降りるからまたつかまってろよー?」
「あ、うん、わかった。」
ヒナはまた頭に抱き着いた。そして俺はそのまま時計台から飛び降りた。まぁ時計台といってもビル3階の高さはある。まぁ痛いではすまないだろう。てか訓練所で5階くらいの高さから落ちたときはやばかった。だが俺はあの時の俺ではないのだ。
「《エアジャンプ》」
地面に落ちる直前に空中でジャンプし、着地の衝撃をなくす。
無事、着地成功。
「はい、ヒナ、降りてくれ」
「はーい」
そんでヒナを肩から降ろす、それと同じくして、姉であろう人たちも来た。
これで一件落着?かね。
ーーー
「あ、あや…じゃなかったサイカ!やっとみつけた!…ヒナは一緒じゃないの?」
「あ、姉さん。ううん、探したけど見つからなかったの。」
うーん、困ったことになっちゃったなぁ。どこにいっちゃったんだろう。
私は、ALOにログインして、迷子になってしまった妹のヒナを探していた。ちなみにいま話しかけたのは妹のサイカだ。なぜ3人でALOをしているのかというと、なんか懸賞があたっちゃった。三つも。
私の好きげふんげふん、クラスメイトがしているのもあって興味があったので、3人でやってみようということになったのだ。それで、ダイブしたら合流しようと決めたのだが、いざ入ってみると、予想以上に人が多かった。スクランブル交差点なみだ(実物見たことないけど)。サイカはなんとか見つかったが、ヒナが全く見当たらない。探さなきゃ…。
「とりあえず歩き回ってみよう?」
「あ、うん、そうだね。」
私たちはヒナを探して歩き出した。でも、この人ごみだ。いくら探しても見つからない。どうしよう…。
不安になったとき、
ドーン!
「わっ!?」
「なに!?」
上で爆発音がした。見上げてみると、どうやら花火のようなものを誰かが打ち上げたらしい。
そして、広場にあった時計塔に誰かが上っているのが見えた。その人は小さな子を肩車しているようで、その子が大きく手を振る。あれって…
「姉さん、あれ、ヒナじゃない?」
「…だよね?」
人込みをかき分けて時計塔のほうに近づく、向こうもこちらに気付いたようで、時計塔から飛び降りた。
え、ちょっと!?あぶない!
そう思ったとき、ヒナを担いでいる人は空中で一度跳ね、きれいに着地した。心臓に悪いことするなぁ。
そんなことを思いながら、私たちはヒナのもとへ行き、声をかけた。
「ヒナっ!」
ーーー
「ヒナっ!」
人込みから出てきた女性がヒナに声をかける。
「あ、お姉ちゃん!」
ヒナは姉たちにかけよる。うん、よかったよかった。
お姉さんはヒナを抱きしめ、こちらを見て、頭を下げる。
「ありがとうございました。」
「いやいや、気にしなくていいよ。」
感謝の言葉に対し当たり障りのない返事をしておく。そうして、お姉さんは顔を上げる…ん?
どっかで見たような顔…どこでみたっけな…ぬ?なんかお姉さんがこっちを凝視してる…。顔になんかついてんのかな?
そうおもっていると、どこからか大声で声をかけられた。
「比嘉咲さん!比嘉咲さんじゃないか!」
ーーー
「あ、お姉ちゃん!」
ヒナがこっちに気付き、駆け寄ってきた。あぁよかった。心配した。
っと、とりあえずこの人にお礼言わなきゃ。
「ありがとうございました。」
「いやいや、気にしなくていいよ。」
顔を上げると、笑顔でそう返してくれた。いい人そうだ。
…って、あれ?この顔どこかで見たことがあるような…気のせいかな?
そんなことを考えていたら、いきなり大声で呼ばれた。
「比嘉咲さん!比嘉咲さんじゃないか!」
ーーー
「比嘉咲さん!比嘉咲さんじゃないか!」
彼女が何か言おうとしたとき、大声で誰かがよってきた。誰だおい、現実の名前いうのはマナー違反だぞ。てか、そうか、見たことあると思ったら比嘉先さんか。んで、それを気づかせてくれたマナー違反のバカは誰だ?おそらくクラスメイトなんだろうが…。
「えっ?」
彼女も突然のことに戸惑っている様子だ。そして乱入してきた男は続ける。
「僕だよ!氷川だ!氷川礼二だよ!」
…お前かよぉ。
どうも、アオイです。
ようやくヒロインが出てきましたね。まぁ0章のエピローグにも出ているんですが。やっぱりヒロインがいないと始まりませんよね!にしてもヒロインかぁ…。
…はぁ、神様、俺の前にもヒロインだしてくれませんかね?ていうか出会いを下さい。俺の学生生活灰色すぎるんですよ。出会いプリーズ!(切実)