第10話
『ーーではこれより、クリスマスイベント本選、プレイヤーの部。バトルロワイヤルを開催します! ルールは簡単。最後まで生き残った人の優勝です!』
なんでだよと突っ込みたい。ふつうバトルロワイヤルって予選にやらない? そんで本選にトーナメントやらない? そんなことを思っていれば、司会役の運営とは別に、代表らしき男が話し出す。
『なんで総当たり戦なのかって顔してるね? 答えは簡単、そのほうがこっちの処理するものが少なくて済むからだよ。ぶっちゃけ予選で人数集まりすぎなんだよ君らクリスマスなのに何してんの暇なのぼっちなの?』
ぶち殺してやろうかあのくそ野郎。参加者のほとんどを敵に回したぞ。
『それにトーナメントとか君ら非公式で何度もしてるでしょー。たまにはこんなのも悪くはないんじゃないのー?』
あいつの言いぐさは腹立つがまぁ……確かにその通りだわな。ベルたちの教育係になる前は俺も何度か参加してたし。それに今回はこっちのほうが都合がいいしな。
「へぇ、バトルロワイヤルか……気を付けるべきは魔王さんだね」
「ふっ、有象無象とともに葬ってくれよう」
ほかのプレイヤーたちを雑魚と扱っているランキング1位と2位を眺めながら、そう思う。こいつらだけは、倒す。
『それではまもなく戦闘開始です。各自、準備を行ってください』
よし、開始と同時に《ハイジャンプ》&《首刈り》だ。油断してるところを瞬殺してやる。誰が貴様らを優勝なんかさせるか。ヒナの教育上悪いことこの上ない。しかもサイカは忘れ去られがちだが人見知りだぞ。絶対こんな変態どもを近づけてなるものか。
『それではカウントダウンを開始します。10、9……』
てか勇者、お前はハーレムパーティー結成してるはずだろ。なのにヒナが好きとかなに考えてんだこいつ。……後でチクッてやろ。
『3、2、1……スタート!』
「くたばりやがれ! 《首刈り》、《ハイジャンプ》!」
まずは勇者、てめぇだ! 開始の合図とともに飛び出す。そのまま首刈りを発動した鎌は、勇者の首をとらえるかに見えたが……
「おっと危ない」
「なっ!」
「隙ありだ。同志よーー《デスメテオ》」
「げっ! こなくそ! 《ハイジャンプ》!」
鎌は勇者の剣によって止められ、驚いたところに魔王の魔法が飛んできた。ギリギリで回避するのは成功したが、その余波を受けて数人のプレイヤーが脱落する。一撃死とかなにそれチート。魔法が収まったころに着地し、二人と対面する。
「来ると思っていたよ。同志。君ならまず僕らをつぶしに来ると思った」
「我としては勇者を潰してくれれば御の字だったのだがな」
「魔王さん、さっきの魔法、僕ごとやる気だったでしょ?」
「我らは相容れぬ存在。持つもの好きと持たざるもの好き。ぶつかって何が悪い」
「読まれてたのか……」
「当然でしょう。腐っても僕はランキング2位だ。ひなたんのためなら頑張れる」
「我は第一位だぞ。お胸様のためならどんな苦難も乗り越えてやろう」
本当に腐ってやがるこいつら……。さて、どうするか。
アオイです。
テストも終わり、ついに夏休みです。
家でゴロゴロ、ゲームして、読書して、執筆して。充実した休みを過ごしたいですね。
……え? 海? 山? 外出? ……日焼けしたら辛くないですか?




