プロローグ
今のペースならいけそうだと思い、水曜と日曜の週二の投稿に変えようと思います。
「ーーくたばれ似非カマキリィ!ーー《スラッシュ》!」
俺は、全長3mほどの大きさであろう、カマキリ型のモンスター〔キラーマンティス〕に鎌を叩き込んだ。
いまのでとどめになったのであろう、そいつは光の粒子になって消えていった。
「ドロップは?!」
俺はすかさずウィンドウをガン見した。ウィンドウにはこう記されてあった。
『キラーマンティスを倒した。2012の経験値を取得。』
「…Oh」
それをみて、俺は膝から崩れ落ちた。
なぜショックを受けるのかって?いいだろう。説明してやろう。まずはこれを見てくれ。
[装備]
武器:初心の大鎌
頭:ゴシックハット
上部:ゴシックコート
下部:ゴシックスラックス
補助:ゴシックグローブ&ブーツ
お わ か り い た だ け た だ ろ う か ?
そう、防具などはしっかりと変わっているのに、武器はいまだに初心の大鎌、つまり初期装備なのだ。こうなったのにはわけがある。
ALOでの武器、防具の入手方法は大きく分けて二つある。一つはNPCやプレイヤーから買うこと。もう一つは、モンスターからのドロップだ。
NPCのショップといっても、初心シリーズにちょっとボーナスをつけただけの武器しか売っていない。それなら初心シリーズを使い続けたほうがましである。よって買う選択をとる場合、必然的にプレイヤーメイドを選択することになる。ALOがサービスを始動して現実では15日、つまりALO内では1年たったことになる。生産職の人たちもしっかりでてきていて、自作の武器・防具を売っている。俺もプレイヤーメイドで買おうとした。
しかし…ここで一つ問題が発生したのである。
あ、ちなみにこのゴシックシリーズだが、プレイヤーメイドである。ゲーム内で知り合った生産職に一式作成頼んだんだが…
黒のスラックスに同じく黒い、脛の中間くらいまでのロングコート、銀の手甲と革のブーツ、あとは黒いシルクハット。それが今の装備である。似合ってるかは個人の判断に任せます。てか自分で似合うとかわかんねーし…話がそれたな、何の話だっけ?あぁ、問題が出たってところだったな。
ALOでの武器作成には特殊な条件がある。作成するプレイヤーは作成する武器の技能を取得していなければならないのだ。運営曰く、生産職の数を増やしたかったらしい。(意味が分からん。)
剣や弓などはもちろん、俺が持っている鎌の技能も取得できるが…はたしてだれが圧倒的に少ない(というか見たことがない)鎌使いのために、限りある技能枠を埋めるのだろうか?なにがいいたいのかというと、生産職で鎌の技能を取得する奴はいないのである。…あとはわかるな?
そう、鎌を作れるプレイヤーがいないのである。え?ならば自分で作ればいいって?そりゃそう思うよな?俺もそう思って<鍛冶>の技能を取得して作ってみたんだ。しかしここで重大な問題が発覚した。…武器制作でできる武器の性能な?LUK依存で変化があるんだ?
もう、わかるよね?(LUK10)
つまり、俺がしっかりした性能の武器を手に入れるためには、モンスターからドロップさせるしかないのだ。で、冒頭の部分に戻るのだが、カマキリを狩ってる理由?だって、見るからに手の部分が鎌になりそうじゃん?
「てことでその腕おいてけやぁああああああああああああああああああああああああ!」
だから俺はカマキリを狩り続けているのだ。
なぁその腕鎌だろ?鎌でしょ?鎌だよな?腕おいてけ腕おいてけ腕おいてけぇ!
…そうして、冒頭の部分に戻るのだ。
「…なんでっ!どうしてドロップしないんだ!」
俺は絶望に打ちひしがれていた。これまでに狩ったカマキリの数は…100超えたあたりから数えるのやめたな。それでも、ドロップしないんだ。なんでだろう?…答えは明確だ。
「…これが低LUK+物欲センサーの力か。」
恐ろしいね物欲センサー。まぁいい、お前が!腕をドロップするまで!俺は妖怪腕おいてけになるのを!やめなーー
『プレイヤーの同一モンスターの一定数の乱獲を確認。リーパーを召喚します。』
「お?」
いきなり目の前に魔法陣が出てきて、そこからなにか出てきた。
それは、一言でいうと死神だった。骸骨がぼろぼろの黒いローブをきて、鎌を持っていた。
おそらく、先ほどの表示から見ると、乱獲してほかのプレイヤーに迷惑をかけるやつに対する処罰なのであろう死神が、鎌を持っていた。
そう、鎌を持っていたのだ。
「その鎌よこせぇええええええええええええええええええええ!」
気づいたら俺は死神にとびかかっていた。え?逃げろ?危ない?…しるか!俺の目的は鎌を手に入れることだ!そのためなら俺は死神、いや、運営にでもケンカを売ってやる!ていうかふざけんな運営何がLUKだくそやろーーーーーー!
「うらぁああああああああああああああああ!」
そして、俺と死神はぶつかった。
…はい、負けました。
さすが制裁のためのモンスター、手も足も出ませんでした。一撃でHPが7割持ってかれるとかなにあれ怖い。
「…はぁ。」
俺は街の噴水広場にあるベンチに座って、溜息を吐いた。え?溜息吐くと幸せが逃げる?…逃げる幸せがないんですがそれは…。
プレイヤーからの購入・ダメ、自分で作る・ダメ、ドロップを狙う・ダメ。
…もうどうしようもねぇな。あぁ、デスペナのダルさもあいまって涙でそう。ちなみにデスペナだが、一時間ステータス減少(若干の倦怠感あり)および武装の展開の禁止、あとは同じく一時間街から出れないことだ。コートと帽子は武装に登録しているから今の俺の格好はタートルネックのセーター?みたいなのとスラックスにブーツだ。まぁどうでもいいな。
「…はぁ~。」
俺はまた、溜息をついた。
さっきからちらちらプレイヤーが不審そうにこっち見てくるが知るか。…っていうかプレイヤー多いな。今日なんかあったっけか?
「…あぁ、今日は第二陣が来る日だったか。」
忘れてたわ。そういや今日から新しくVRIを買った奴らがくるんだったな。一年の差は長いぞ若人よ。頑張りたまえはっはっは…。
「…にしてもやっぱり獣人見かけねぇなぁ。」
人気ないのかね?俺はしばらくプレイヤーたちを眺めていた。
「…ん?」
すると、一人おかしなプレイヤーを見つけた。おろおろとした様子で、あたりを見回している。小学生くらいのプレイヤーだ。
ALOには特に年齢制限はなく、プレイヤーの年齢に合わせてグロ描写などの要素に規制をかけている。だから小学生でもプレイはできるのだが…迷子にでもなったか?保護者とはぐれたか…。おいおい周りのプレイヤーたちよ、たすけてやれよ。かわいい少女とお近づきになれるチャンスだぞ?…だめだ、初ダイブだからか、浮かれていて気付いてないわ。
「…暇だしいいか。」
俺はすこし現実(仮想?)逃避がしたかったのもあり、少女のもとへ行き、声をかけた。
「どうしたの?」
「?…っ!?」
少女は俺を見上げて、固まった。あれ?なんか怪しいところあった?もしかしなくても警戒された?やべ、どうしよう…。
「う…」
「う?」
お?なんか言いそうだな。でも叫ばれることもありそうだな…え?大丈夫だよね?え、逃げたほうがいいかな?
俺はそんな心配をしながら、少女の言葉を待った。はたして少女は…
「うさぎさんだっ!」
「…お?」
…少女は目をキラキラさせながら、俺の側頭部にある垂れたうさ耳を見つめていた。
主人公の服装ですが、女性の鎌使いはゴスロリとか来てるので、あぁ言った感じのがいいかなぁとおもい、考えてみたんですが…
本人が服装描写が苦手なのを忘れていました…orz
まぁほかの描写も苦手なところがあるんですがねHAHAHA!
…泣けてきた。