第11話
突然だが、祭りについてどう思うだろうか?
本来祭りとは、神様に日ごろの感謝や祈りなんかを伝える儀式と言われているが、個人的にはそういう体でバカ騒ぎをしたい人が集まる物だと思う。
そして、祭りの醍醐味といったら出店だろう。そこではしまきやフランクフルト、タコ焼きなんかの食べ物系の出店を連想した奴。ちょっと子供時代からやり直して来い。出店と言ったらくじや射的、ヨーヨー釣りや金魚すくいと多々あるゲームだろ。食べ物系を制覇するという理想を持っている奴もいると聞くが、それは間違っている。出店を制覇したいなら、すべて食べないといけないだろう?君ら、出店の食べ物全部食べられるの?その点ゲーム系の出店なら遊ぶだけ。あとが苦しくなってくることは財布事情以外まったくない。そして現在の俺は財布事情なんか考えなくてもいい状態である。まぁ、結局何が言いたいのかというと、
「やっぱり祭りと言ったら遊びつくさなきゃ損だろということであらかたのゲームの出店制覇してくーー」
「ーーまちなさい」
祭り会場と書いてある方向へいざ繰り出そうとしたら、ミュウに止められてしまった。くそっ!やはり我が覇道を邪魔するものはおまえかっ!
「遊びたいのはわかったからもうちょっと我慢して。もうちょっとしたらベルさんたちが来るだろうから」
「いやあのな妹よ、やはり人にはそれぞれあったリズムというのだがなーー」
「ーーシャラップ。女性をほっておいて行かなきゃならないリズムなんて捨ててしまいなさい」
……冷静に考えてみるとたしかに待ち合わせしてる女性をほっぽいて遊びに行くとかクズだな。祭りの熱気に充てられてたか……いつもこういう制覇するときは一人で来てたからな。あ、いや違うぞ?これは決して俺がぼっちなわけではないからな?
「ほら、頭抱えてないで。ちゃんと感想言いなよ?3人とも必死に選んでたんだから」
ミュウがそういって、祭り会場とは逆方向を指さす。そこには水着の時と同じように、アイテムを使って浴衣を身に付けたベルたち3人が歩いてきていた。
「ラビ君!ミュウさん!お待たせ!」
「お待たせしました」
「お待たせー」
「いや、そこまで待ってないから」
「そうですよー。女の着替えを待つのは男の役目のはずです」
勝手なことを言っているミュウを尻目に、3人の服装を見る。
ヒナは、またもや自分の髪に合わせた桃色の明るい柄。
サイカは、黒を基調にした花柄……黒、好きなんですかね?
そんでベルは、サイカとは逆に白を基調にした花柄である。
ふむ、総合して言うと、
「3人ともよく似合ってるな」
「あ、ありがとう。ラビ君もそれ似合ってるよ」
「そう?適当に選んだだけなんだけど」
自身が着ている黒い浴衣を見る。黒って、無難だよな?ていうか側頭部のうさ耳が浮いてそう。
ちなみにミュウは薄いオレンジ色の浴衣を着ている。
「お兄ちゃん言うことそれだけなの?」
「……そうだなぁ」
ははは、こやつめ……水着の時は何も言わなかったくせに!
「ヒナは、明るそうな感じがピッタリだな」
「ありがとー!」
「サイカは……大人っぽい印象がいいな」
「ありがとうございます」
俺のコメントに、ヒナとサイカは笑顔で答える。
……さてと、
「ラ、ラビ君。私は?」
なぜかここが最重要だと俺の勘がささやいてるベルの方を見る。
どうコメントしたものか……。
綺麗です……絶対ミュウからダメ出しが来るな。
大人っぽい……それいまサイカに言った。
着物や浴衣は胸がない方が似合うってほんとだね……これは殺されても文句は言えない。
「……ラビ君?」
うぉぉ急かさないでくれ!頑張ってるから!今ひねり出すからぁ!あぁこんなことになるならノベルゲーにも多少手を付けておけばよかったぁ!アクション系ばっかりに釣られてたからなぁ!
そんな風に苦しんでいると……
「おぉ!ベルさん!ここで会うなんて奇遇だね!その浴衣、まさしく君のためにあるようなものだ!さて、どうだろう。これからこの僕、絶対零度の貴公子、ゼローー」
「ーーストーカー予備軍は消え去れぇ!」
「ーーとばぁ!?」
横からゼロが割り込んできたので兎の脚力を生かして蹴とばしてやった。そうしてふぅっと息を吐き、茫然とゼロが飛ばされていった方を見ていたベルをみていう。
「ええと、あのナルシストみたいな語彙力は俺には存在しないので、とても似合っているとしか言えない俺をお許しください」
「え、あっ……う、ううん。それで充分、ありがとう」
にこりと微笑んでくる彼女をみて、ちらりとミュウの方を見る。
「……」
ミュウは笑顔で指を6本たてる。6点てことか?ならそれセーフラインだよな?おっけセーフセーフ。今回ばかりはナルシストイケメンストーカー予備軍クズ野郎のゼロに感謝しよう。え?感謝してないだろって?……ストーカーに予備軍を付けてるだけ優しいと思ってほしいね。あ、ベルさんが完全に拒絶したあたりから予備軍は消えるんでよろしく。
さて、それじゃ祭りに繰り出すとしますか。
「あ、お兄ちゃん行くのはいいけどまずは食べ物からね、ゲームは時間かかるから後」
「ガッデム!」
アオイです。
申し訳ありませんが、首刈兎の連載を日水の週2投稿から日曜日の週一投稿に切り替えたいと思います。
水曜日の方は、今不定期連載中の作品を定期でいれます。
週2投稿を楽しみにしている方には、謝罪をさせていただきます。申し訳ありません。




