第4話
「ーーマジかぁ……そこまでのものかぁ」
「だ、大丈夫ラビ君?」
「大丈夫ですか?」
「だいじょーぶー?」
「あーうん、ダイジョブダイジョブ。大丈夫だ、問題ない」
「それ……ダメな奴じゃない?」
おぉ、このネタはゲームの内容をあまり知らなかったベルにも知られていたか。
……まぁそれはどうでもいいか。
ミュウの装備を作るため及びルシのための素材調達(数によってミュウの装備が安くなる)のためのグランスパイダー狩りを終えた俺たち6人は、ルシアンへ戻っていた。
そして俺はベルが入れてくれた紅茶を飲みながら、机に突っ伏していた。
別に疲れたわけじゃないぞ?……いや、ある意味憑かれてるか。
そんで俺が落ち込んでいる理由、それはこれを見てくれればわかると思う。俺の隣にはとあるアイテムが置いてある、それを鑑定すると、次のような結果になる。
【マンティスサイス】種別:大鎌
攻撃力 30
耐久 100
概要:キラーマンティスの腕の鎌をそのまま使用した鎌。切れ味はお墨付き。
お 分 か り い た だ け た だ ろ う か ?
そう、注目すべきは種別の部分。大鎌と書いてあるだろう?つまりこういうことだ。
ねんがんの おにゅうのぶきを てにいれたぞ。
殺してでも奪いとる……いやもうもらったから所有者は俺か。
さて、これだけなら喜ぶべきことだろう。
だがこれは俺が手に入れたのではない。
グランスパイダーを狩っているときに出くわした懐かしのキラーマンティスを一匹、たった一匹倒したところでヒナがドロップ品としてゲットしたのだ。
そう、たった1匹で……
「これがLUKの力か……そんなにも獣人が憎いかぁっ!」
「あ、あはは」
「げ、元気出してくださいお兄さん」
ベルとサイカが慰めてくれるが、むなしいだけだ。
「うさぎさん私のプレゼントうれしくなかった?」
「い、いやそんなことはないぞ!」
「ほんと?」
「ほんとほんと!」
あぁ、ありがたく使わせてもらう。超ありがたいです。夢の火力アップです。ありがたいけど、ありがたいけどぉおおおおおお!
「ただいまです。……お兄ちゃんまだ落ち込んでるの?」
「そこまでショックを受けるものなの?」
そんなこんなで机に突っ伏していたら、奥の方からミュウとルシが戻ってきた。どうやら服は完成したようである。
「えへへー、どうお兄ちゃん。似合う?」
そういってミュウは服を見せびらかすように体を一回転させる。
ミュウの服装は、紺と白の貫頭衣……だっけ?それと同じ色のケープ?を頭にかぶっている。
……ぶっちゃけシスターです。妹(sister)がシスター……あ、いやなんでもないです。
なぜシスター服を選んだかというと、ミュウの職が治癒術師という回復魔法を主に使うものだったからである。
「あー似合う似合う」
「適当だね……」
「俺にファッションのことなんぞ聞くな。自慢じゃないが一日パジャマで過ごしてもなんとも思わないぞ俺は」
「うん知ってる、今日も見たし」
「今日はジャージだ」
「変わらないでしょ」
……こいつめ。
「うらやましい……」
「ん?ベルさんなんか言った?」
「え!?う、ううん何も!?」
「そか……」
なんか言ったように聞こえたんだが、気のせいだったか。
「あ、お兄ちゃんお兄ちゃん」
「ぬ?」
「ロザリオのアクセサリーとか持ってる?」
「ん~ちょっとまて」
いきなりなんだ?まぁとりあえずアイテムボックスで探してみよう。
……お、あったあった。俺はそれを選び、物質化させる。
名称:ホーリークロス
効果:回復魔法の威力が上昇
概要:聖銀で作られた十字架のネックレス。癒しの作用を高める効果がある。
「こんなんあったけど?」
「それちょうだい?」
「ほい」
「ありがとう」
たしか市場だとちょっぴりお高めのアクセサリーだったが、まぁ別に金にも困ってないし、そのまま渡した。
ミュウは礼を言いながらそのネックレスを首に下げた。
「これでよしっと。やっぱシスターだったらこういうのもつけないとね」
どうやらミュウなりのこだわりだったらしい。
それから、時間が来たベルたちによって、今日はお開きとなった。
「それじゃラビ君、またね」
「お兄さん、また」
「うさぎさんばいばーい!」
「おう、それじゃぁ、また」
「お疲れ様でした」
別れの言葉を交わし、ベルたちはログアウトする。
……さてと、
「それじゃおれもうちょっとぶらぶらしてくーー」
「ーーだめ、私たちも落ちるよ」
「……うっす」
わかってはいたが、やはりゲームの制限を掛けられてしまうらしい。
……夏休み、ゲーム三昧の生活をするはずだったのになぁ。
い、いや!俺はあきらめないぞ!意地でもゲーム三昧の日々を過ごしてやる!
「あ、落ちたら今日の晩御飯の具材を買いに行って、ご飯作って、食べたら勉強教えてもらうから。おにいちゃん頭良いしいいよね?」
「……おう」
だめかもしらん。
ーーーーー
[キャラクター]
プレイヤー名:PlayRabbit
性別:男
種族:獣人・兎族(契約状態)
職業:刈人
[ステータス]
LEVEL:41
HP:1110/1110(+300+100):1510
MP:420/420(+150+100):670
STR:65(+10+10):85
DEF:62(+10+10):82
VIT:70(+10+10):90
DEX:76(+10+10):96
AGI:86(+10+10):106
INT:53(+10+10):73
WIS:49(+10+10):69
LUK:10
[技能](8/10)
<鎌使いLV48><跳躍LV49><斬撃LV48><闇魔法LV39><探索LV45><鑑定LV41><鍛治LV14><軽業LV36><拳闘LV38>
[一般スキル]
《合成》
[装備]
武器:マンティスサイス
頭:ゴシックハット
上部:ゴシックコート
下部:ゴシックスラックス
補助:ゴシックグローブ&ブーツ
[キャラクター]
プレイヤー名:ヒナ
性別:女
種族:人族
職業:元素魔法師
[ステータス]
LEVEL:25
HP:490/490
MP:460/460
STR:31
DEF:35
VIT:34
DEX:35
AGI:37
INT:50
WIS:48
LUK:80
[技能](8/10)
<元素魔法LV31><魔法展開LV32><火魔法LV33><水魔法LV31><風魔法LV30><土魔法LV32><魔法威力上昇LV26><神の祝福>
[一般スキル]
《料理》
[装備]
武器:マジカルロッド
頭:なし
上部:
マジカルドレス
下部:
補助:マジカルリング
[キャラクター]
プレイヤー名:サイカ
性別:女
種族:人族
職業:軽戦士
[ステータス]
LEVEL:25
HP:580/580
MP:260/260
STR:42
DEF:39
VIT:42
DEX:46
AGI:49
INT:37
WIS:31
LUK:70
[技能](5/10)
<細剣使いLV33><軽業LV19><斬撃LV32><神の祝福><風魔法LV5>
[一般スキル]
《料理》
[装備]
武器:シューティングスター
頭:なし
上部:ウォーミングシャツ
下部:ウォーミングパンツ
補助:ウォーミングニーソ&ブーツ
[キャラクター]
プレイヤー名:ベル
性別:女
種族:人族
職業:契約魔法師
[ステータス]
LEVEL:22
HP:430/430
MP:350/350
STR:37
DEF:32
VIT:31
DEX:37
AGI:38
INT:40
WIS:46
LUK:70
[技能](4/10)
<契約魔法LV20><神の祝福><使役LV9><付与魔法LV1>
[一般スキル]
《料理》
[装備]
武器:エンゲージブレス
頭:なし
上部:ダークブラウス
下部:ブラッドスカート
補助:ブラッドポンチョ
その他:契約の指輪
[キャラクター]
プレイヤー名:ミュウ
性別:女
種族:人族
職業:治癒術師
[ステータス]
LEVEL:1
HP:180/180
MP:110/110
STR:9
DEF:12
VIT:10
DEX:11
AGI:12
INT:16
WIS:15
LUK:70
[技能](/10)
<癒しの力LV1><神の祝福><鎚術LV1><付与魔法LV1><治癒魔法LV1>
[一般スキル]
[装備]
武器:初心のメイス
頭:光のケープ
上部:
光の修道服
下部:
補助:ホーリークロス
アオイです。
はい、ようやくラビがちゃんとした武器を手に入れました。
あれです、例えばカードを買うとして、パックを買って開封しても当たらないとするじゃないですか? そんですぐ隣の人が開けたら見事それを当てる。
そんな絶望感をラビが襲っていると思ってくれればこの凹み様も理解できるかと……。
ちなみに私は何度もその絶望を味わったのでパックを買うときは家に帰ってから開封しています。




