第10話
「俺らをPKしに来た…と?」
「そうそう、とある人物に依頼されてな」
俺は少しおびえているサイカを下げながら、二人のPKのうち、ゲスRPをしていないほうに問いかけた。ていうかあのげへへとかいう笑い声よくできるな…昔やろうと思ったがその言いにくさと恥ずかしさですぐに辞めたんだよな…。
まぁそれはいい、とりあえず話を進めよう。
ええと、PKを差し向けるというと俺らに恨みがあるやつ…腐れナルシストの野郎ですね間違いない。
「あのリア充どもを駆逐してくれって泣きつかれてな。あんまりにもしつこかったんで逆にそいつをやってやろうかと思うほどだったよ」
あ、違うかも。これイベント開始前にカップルたちを殺そうとか物騒なこと言ってたやつらかもしれん。いやでも…さすがにそれでPK仕向けるとか何それ鬼畜。救世主の奴には正面から向かうとかそういうの言ってたはずなのに…。まぁまだ確定したわけじゃないし…依頼人のことはもうほっとこう。とりあえずあの野郎が悪いってことでFA。
んじゃ次は交渉だな。
「うーむ、俺は戦うことはいいんだけどさ」
「なんだ?」
「こっちの子はまだまだ初心者なんだわ。だからこの子は見逃してくんねーかな?」
「あぁそうなのか…こっちとしてもか弱い女の子を一方的になぶるのは好きじゃないんだよな…」
おぉ、話が分かりそうなPKだ。
とりあえず早いところ話を進めよう。
「そんじゃとりあえずこの子は逃がしてもらってーー」
「ーーヒャッハーもうがまんできねぇ!キラ!てめぇがやらねぇんなら俺がこのお嬢ちゃんをやってやるよぉ!」
「キャッ?!」
交渉を進めようと思ったら、突然げへへPK(以降げへへとす)が消えたと思うと俺たちのすぐ後ろから飛び出してきて、そのまま持っていた武器をサイカへ向けて振り下ろした。移動系のトラップでも利用しやがったか?
そしてサイカは悲鳴を上げながら持っていた細剣でガードしようとしたが、対人戦はまだ経験がなかったせいか、ガードはできたはいいが衝撃を殺しきれず、そのまま尻餅をつく。
げへへはそのままサイカにとどめを刺そうと武器を振りかぶる。それも大げさに。
「…ッ!」
サイカはそのまま目をつぶり、次に襲ってくるであろう衝撃に耐えようとしている。
げへへは一瞬俺の方を見て下種な笑みを浮かべ、剣を振り下ろそうとする。間に合わないとでも思ってんのかこいつ?兎の跳躍舐めんなよ?あと…首ががら空き。
ーーーサイカーーー
私は彼に言われ、後ろに下がってこの状況を見ていた。
そんな時、さきほどまで前方にいたはずの男がいきなり私の後ろに現れて剣を振り下ろしてきた。
パニックになりながらもなんとか持っていた剣で受け止めたのだが、その際バランスを崩してしまい転倒してしまう。そしてその男は持っていた剣を高く振り上げ、私に振り下ろそうとする。思わず目をつぶってしまった私は、すぐに襲ってくるであろう衝撃に耐えるために歯を食いしばった。
「…あれ?」
しかし想像していた衝撃は全く襲ってこない。不審に思った私はつぶっていた目を開けた。するとそこには…
「…?」
目の前に立っていたのは、服装から先ほどの男だったのだろう。だがしかし、振り上げた両腕との首から上の高さにある部分とその男の首には、赤い線が入っていた。これはダメージを食らったときに発生するものだ。そして…
「何やってんだ殺すぞ…って殺ったあとにいってもしゃあないか」
私の同行者だった彼が、その男の後ろに鎌を振り切った体勢で立っていた。
その言葉と示し合わせたようなタイミングで、男の姿が消えていった。
どうやらまたこの人に助けられたようだ…。
「あ、ありがとうございます」
「ん?いや礼はいらないよ。むしろ今のはこっちが悪かったから」
お礼を言うと彼はなんでもないように笑顔でそう言った。…やはり彼は頼りになる。姉さんが彼のことを好きになる気持ちも、わかるかもしれない。
「さてと、それじゃ次は…ええと、キラさん、あんたかね?」
そして彼は、もう一人残っていた方に向け、そういった。
ーーーラビーーー
「さてと、それじゃ次は…ええと、キラさん、あんたかね?」
俺はげへへにキラと呼ばれていた話が分かるほうであろうプレイヤーに、そう問いかけた。
「うーん、そうだな…俺は簡単な仕事だったから受けただけだから、やめとくよ。あんたとやりあうのは骨が折れそうだ。特にその鎌がやべーわ」
キラはやれやれといった感じで手を横に広げ、首を横に振りながらそういった。そして苦笑しながらつづける。
「にしても、それがあんたが首刈兎って呼ばれる理由か…一撃でHP全損とかえっぐいスキルもってんなぁ」
「個人的には使いづらいし、卑怯…とまでいわないがずるいものだと思ってんでな。面倒な時や今回みたいなときくらいしか使いたくないんだわ」
「なるほどねぇ…まぁ、収穫もあったし、それじゃ俺はこれで…またな」
「おお帰れ帰れ、また来てもいいけど今度来るときはげへへ見たいなのは連れてくんなよ?」
「げへへ…?あぁあいつか…心配すんな。あいつとおれフレンドじゃないから」
キラはそういって体を反転し、去っていく…が、ふと何かを思いついたような様子で、こちらを振り向きこういった。
「ていうかあんたのそのスキル…どっちかっていうと俺ら側じゃね?」
「…それは言わないでくれると助かる」
その言葉を聞いて、俺は落ち込んでしまう…ちょっと気にしてんのに。
キラは俺のその様子を見て、笑いながらまた前を向き、手を振りながら今度こそ去って行った。
アオイです。
ついに春休みが到来しました!
これから4月まで学校はない!つまり家でゴロゴロするんだ!
同じく春休みに入る大学生のみなさんは、旅行とか友達と遊んだりするんでしょうね…やはり持つべきものは友なのでしょう。
なので持ちすぎている(友達いっぱい)皆さんは持たざる者の私に何か恵んでくださると助かります…orz
ま、それはおいておいて長い休みをエンジョイ…え?期末テスト?…ナンデスカソレ?