第8話
「あははははは!プーちゃん…プーちゃん…あははははは!」
「プーちゃんはやめろ…」
次の日、朝起きて朝食が用意されたテーブルを囲んだ俺たちの前で、ルシが爆笑していた。ちなみに朝食はご飯と昨日の肉の残りを使用した豚(?)汁モドキである。
そしてルシがなぜ爆笑しているかというと、
「お、俺を縛ってくれって…あははははは!へ、変態じゃない!あははは!」
「うるさいな…あの時の俺は正気じゃなかったんだよ」
昨日の俺の痴態についてさきほど話したためだ。
結局あのあとの顛末はこうだ。
俺が縛ってくださいといったあと、ベルが動揺してえー!?と叫びその後しばらくなにやらぶつぶつと言っていた。そしてその後なにやら顔を真っ赤にしながら頑張ります!と決意を表明。そこで俺は改めて自分の言ったことを思い返し自身の発言の変態性を認識。日本の伝統DOGEZAを敢行し謝罪をしながら誤解を解いた。
…ということである。そしてそれを聞いたルシが爆笑。今ここな。
え?それで結局どうやって寝たのかだって?…うん、縛るのを却下されてしまったから当初の予定通りフィーに頼ることにした。…まぁ結局、さすがのALOも睡眠の時の行動は不可だったようで、まったく身じろぎした様子も見えないまま目覚めること出来たんだがな。いやこればっかりはよかったよかった。…よくねぇ、笑われ損じゃねぇか。…まぁいい。
「さて、それじゃ今日のこれからの行動について話し合おう」
気持ちを切り替え、俺たちはこれからの行動を決めることにした。
ーーーベルーーー
「ねぇねぇベルちゃん、ちょっといいかな?」
「はい?なんですか?」
行動方針を決め、探索組になったラビ君、サイカ、ヒナの3人と別れ、ルシさんと二人で片づけなどの作業をしていたとき、ふとルシさんが話しかけてきた。
「初めて会った時から思ったんだけどさ」
「はい」
「プーちゃんのどこが好きなの?」
「ふぇっ!?」
不意打ちでつい変な声が出てしまった。
「ラ、ラビ君のどこが…ですか?」
「そうそう、あのゲーム脳くんのどこがいいの?」
「ゲ、ゲーム脳って…そうですねぇ」
他にすることもなかったので答えることにした。
「やっぱり、優しいところ…ですかね?」
「あー、たしかにお人好しなところあるよね。私のことも助けてくれたし…ほかには」
「ほかには…一緒にいて楽しいところですかね」
「そうだね。プーちゃんと一緒にいたときはシアもアンも楽しかったって言ってたよ。もちろん私もね…あとは?」
ん、んん?…なんか違和感を感じるけど…まぁ答えておこう。
「うーん、いっぱい出てきて困りますね。まぁ確かに言った通りゲーム脳っていうのはあるかもしれませんが、それも含めて、私は彼が好きです」
「そっか、私もだよ」
「そうです…うぇっ!?」
え!?いまルシさんなんて言った!?
私も!?私もって言った!?え、うそそれって…
「え、えっとルシさん?」
「ん?」
「私『も』っていうのは…」
「んー?あぁ、そのままの意味だよ」
すごい不安だけど、聞くしかない。
「そ、そのままの意味って?」
するとルシさんはあっけらかんと言い放った。
「わたしもプーちゃんが好きだってこと」
「え…えぇえええええええええええええええええええええええええ」
私は絶叫を抑えることができなかった。
そしてルシさんは、
「だからライバルだよ、よろしくね」
と、何度も見たニコニコとした笑顔で、そういった。
ーーーラビーーー
「ええっと、昨日こっちに歩いたから、今日はこっちだな。行こうか」
「わかりました」「はーい!」
おれはサイカとヒナを率いて、拠点周辺のマッピングをしていた。
しばらく周辺を歩いていると、昨日と同じくモンスターに遭遇した。遭遇したモンスターはフォレストボアとベジタ・ブル。ヒナとサイカのどちらでも楽に倒せるであろう敵だ。
「おっと、敵発見。サイカさん、ヒナ、やってみるか?」
「はい、がんばります」「がんばる!」
「おっけー、そんじゃ頑張っていってらっしゃい」
そういって、二人を送り出す。
『ピギィイ!』『ブルルゥ!』
二匹のモンスターはサイカとヒナの接近に気付き、威嚇する。
「ヒナは犬の方をお願い」「わかった」
サイカはヒナにそう言い、剣を抜き構える。
そしてヒナがステッキを構え、魔法を放つ。
「《ファイ》」
放つのはヒナが愛用している炎の初級魔法。<元素魔法>と<魔法威力上昇>の技能の恩恵によりそれはモンスターを葬るのには十分な火力を持つ。それが<魔法展開>の技能によって強化された速度で連射される。
『ブルルルゥ!?』
「やった!」
それを受けたベジタ・ブルは倒れる。
見事ベジタ・ブルを倒したヒナは小さくガッツポーズをする。
そしてサイカの方も、
「行きますーー《時雨》!」
ただひたすら剣を振り続けた彼女の<細剣使い>のスキルは20、それによって強化された威力の細剣が連続でフォレストボアに突き刺さる。
『ピギィ!?』
「これでとどめーー《スラスト》!」
連続攻撃を受け、相手がひるんだところでとどめの一撃として《スラスト》を発動。それをうけたフォレストボアはそのまま倒れる。
「やった!」
「やったねお姉ちゃん!」
「ん、ごくろうさま。やっぱり問題はなさそうだな」
「あ、ありがとうございます」「ありがとー!」
お互いに喜び合っている二人に戦闘の評価を述べる。
そしてその後、再び探索を再開する。
それからはモンスターを見つければ、手ごろな数に俺が刈り、そしてサイカとヒナが片づけるというイベント前とおなじことをやっていた。
そしてマッピングが済むと、2人の待つ拠点へと戻った。
「あ、ラビ君おかえーー」
「ーープーちゃんおかえりー」
「うおっ!?」
拠点に帰るや否や、ルシがくっついてきた。え!?何事ですか!?
「ちょっ!ルシさんラビ君から離れてください!」
「えーいいじゃん」
「ダメですっ!ほらラビ君も離れて!」
そしてベルがルシに捕まれている方の反対の手をつかんで引っ張る。
おう期せずしてラノベの主人公みたいな状況だな。
…何があったのお二人さん?
アオイです。
ほんとなんでこう連載作品書いてるときに限って別の作品書きたくなるんですかね?
新しい話の構成考えてるときにいつの間にかそっちの考えにシフトしてて苦労します。
これはいっそのことかいたらいいんですかね…無謀な気がしますが…。




