第7話
これは二話連続投稿の二話目です。1話目(第一章第6話)をまだ見てない方はそちらを先に見てください。
「稲葉君、ちょっといいかな?」
「ん?」
俺は声の聞こえたほうを向く。そこには、二人の女性が立っていた。
一人は我らが学園のアイドル?比嘉咲さん。もう一人はうちのクラスの委員長、早川 菜由が立っていた。ちなみに彼女、いつも比嘉咲さんが俺に話しかけてくるときになぜか応援してる女子の中の一人である。
「ちょっと菜由!いいって…」
「いいから黙ってなさい。で、稲葉君、聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「ほいほい?」
なにやら比嘉咲さんがゲームと同じポニーテールを揺らしながら委員長を止めにかかってるが…。
そんで委員長が俺に聞きたいこととな?クラスの提出物ならちゃんと提出したはずだが…。
「あなた、ALOをやってるみたいね?」
「お、おう?」
なぜわかったし…あ、スマフォか。人のスマフォの画面を覗き見るのはマナー違反だぞ。
「そうだけど、それが?」
「それ、美鈴…比嘉先さんもやってるの」
「ちょ、ちょっと菜由!?」
そういって比嘉咲さんを前に押しやってきた。
…すいませんそれ知ってます。
何とも言えずにいると、委員長が続ける。
「まぁやってるといっても、昨日始めたばかりでね?ゲーム好きのあなたのことだから早くからやってそうだし、いろいろと教えてあげてほしいんだけど…」
…すいませんすでにいろいろと教えてます。
俺はさらに黙り込んでしまう。それをどう受け取ったのか、比嘉咲さんが
「あ…ごめんね?やっぱり迷惑だよね?初心者を教える暇があったらほかのことしたいよね…」
そう、残念そうに言ってくる。うわぁ、何この罪悪感。俺何にもしてないんだけど…ちょっと委員長、俺をにらまないでくれ、あなた目力強いんだから、睨まれると怖い。
とりあえずいろいろと訂正しておくとしよう。
「いや、すまん比嘉咲さん。そういうわけじゃないんだ。ちょっと何を言えばいいかわからなくてな?」
「なら今何か言ってもらおうじゃない」
委員長…俺あなたに何かしましたか?いや、提出物でっち上げたけどね?でも今それは関係ないだろう?なんでそこまで俺を追い込むんですかねぇ…。
「あー、いや…その…」
「?」
「何かしら?」
いやホントまって委員長。謝るから!でっち上げたこと謝るから!だからちょっとそこまで追い込まないで!
俺のそんな心の叫びは当然相手に伝わらず、委員長と比嘉咲さんは俺をじっと見る。
…うーぬ、まぁいいか。別に隠すことじゃないし…。
「俺のプレイヤーネーム、PlayRabbitなんだ」
「「?」」
二人同時に首をかしげる。…あっるぇ?委員長ならわかるが比嘉咲さん?俺自己紹介したよね?もしかして別人だったりする?
「ええっと…比嘉咲さんのプレイヤーネームはベルでいいよな?」
「えっ!?あ、うんそうだけど…なんでわかったの?」
同一人物らしい、まぁそりゃ昨日氷川っていってたもんな。…ならなぜわからぬ。あ、もしかして…
「ラビっていったらわかる?」
「え?…あ、あぁああああああああああああああああああああああああああ!?」
「ちょ!?どうしたの美鈴!?」
少しの沈黙の後、比嘉咲さんが俺を指さして叫ぶ。
「ラビさん!?」
「いぐざくとりー」
うん、そりゃぁPlayRabbitとかいうのよりラビのほうが覚えやすいよね?
しかし大声でプレイヤーネームを叫ぶのはやめていただきたい。ここら辺のマナーも教えたほうがよさそうだな…。
ーーー比嘉咲 美鈴ーーー
…あ、どうもはじめまして、私、比嘉咲 美鈴といいます。突然ですが、今の私はおかしいです。なにが…ですか?…見ればわかります。
「あー…うー…あー…あーーーー」
はい、ただいま私は自宅のベッドで枕に顔をうずめながら唸っている最中です。
こうなっている理由、ですか?そうですね…いわゆる恋愛脳というやつですかね?
「あぁぁ、まさか稲葉君がラビさんだったなんてぇ…そうとは知らずいろいろはなしちゃったよう…」
私は妹たちと一緒に昨日、ALOというゲームを始めたのですが、そこでちょっといろいろありまして…最終的にラビさんというプレイヤーと一緒に行動することとなったのです。それで、今日、そのラビさんが私の好きなげふんげふん…思いびげふんげふん…すいません、好きな人であるクラスメイトの稲葉 遊兎君であることが判明いたしまして…え?なんで彼が好きなのかって?それはですねー…
(体感時間20分後)
…だから私は彼が好きなんですよ!…あ、失礼しました。脱線しましたね。ええと、それで、昨日彼と話していた内容を思い出しながら唸っていたんですよ。ちょっとお悩みというか恋愛相談的なこともしちゃいましてね…。
「あー…うー…あ」
「何してるの姉さん。」
「……」
ええと、今話しかけてきたのは妹の一人である彩花です。中学3年生です。ALOではサイカと名乗っています。
............
「…ごめんみなかったことにしてくれる?」
「…わかった」
見なかったことにしてもらいました。出来のいい妹がいて幸せです。
そう思いながら何とか復帰した私は家のリビングへ赴きました。
「あ、お姉ちゃんやっと降りてきた!」
「ごめんねヒナ、ちょっと考え事しててね…」
この子は妹の雛美、小学3年生です。この子もALOをやっていて、ヒナという名前でやっています。
まぁやっているといっても昨日始めたばかりなのですが。
それにやるとしても、雛美は一人ではやるなと親に言いつけられています。なのでダイブする際は、わたしか彩花と一緒にやることにしています。
「今日もうさぎさんにあえないかな~」
「そうだね、いい人だったし…」
雛美と綾香が口をそろえて彼のことを話しています。ちなみにうさぎさん=ラビさん=稲葉君です。
ここで私は、二人にひとつ言っておくことにしました。
「ダイブしたら行きたいところがあるから、先に行かせてね」
「わかった」「はーい」
詳しくはサプライズということで伝えないことにしました。まぁ察しのいい方は分かっているでしょうが…。
そして私たちはALOにダイブしました。
私たちと同じく、増販されたVRIをかった新規プレイヤーたちで、噴水広場はごった返しています。
呆気にとられている時間はありません、私が悶えていたせいか、待ち合わせの時間ぎりぎりとなっています。
「じゃ、行こうか」
私はすぐに二人を連れて歩き出しました。
行先は噴水広場にある時計塔です。そこに、お目当ての人がいました。
「あっ!」
ヒナが彼を見つけたのか、駆け出していき、そのまま抱き着きます。
彼は多少苦しみながら、ヒナを受け止めました。…いいなぁ。
私はそんなヒナをうらやましく思いながら、彼に近づき、あいさつをしました。
「え、え、え、えと、ここここんにちわ!」
…だめです。やはり相談したことの内容を思い出してしまい、恥ずかしくて変なしゃべり方になってしまいました。
「あ、あぁ、こんにちわ、ベルさん」
彼、ラビくんはそんな私をきょとんと見つめながら、あいさつを返してくれました。
アオイです。
今回、スレッドみたいなものを書いてみたのですがどうだったでしょうか?
可能なら、切りがいいところで書いてみようと思っています。
それはそうと、今更ながら、たくさんのブックマークおよび評価、どうもありがとうございますm(__)m
最近何度も何度も感想が送られてないかびくびくしながらマイページを見ています。
まさかこんなにたくさんの人に読まれるとは思わず、プレッシャーで私のガラスのハートが砕けそうです…(汗)
皆さんもこんな初心者が書いた文を温かい目で読んでくださると幸いです。
これからも首刈兎をどうぞよろしくお願いいたします。




