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勇者か魔王  作者: 和都
・第一章、キルトゼア大陸編
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勇者、野盗に絡まれる

拠点に向かい歩く4人。

その途中でモンスターに襲われるが先陣を切ってアーシェが一人で始末する。


楽には楽なんだがまぁ体力温存と考えればいいか…、と思う俺。


「少しはこっちに回しなさいよ!」

サーシャがアーシェに言うが「大丈夫だ、問題ない。」の一言で

片付けられてしまい不貞腐れるサーシャ。


だからといって俺に当たるのはやめてくれ。


半刻ほど歩いた頃か。

細い山道に差し掛かった時、何やら前方が騒がしい。


「何があった?」

俺がアーシェに聞くとアーシェは何も答えないまま、

剣を抜き前方へ突進する。


おいおい、何があったんだよ。

慌てて、俺、サーシャ、リリスの順で追いかけると

キップアの荷馬車が何者かに襲われている様子だった。


素早くアーシェは前方にいる見張りらしき男を二人斬り、

続けて荷馬車の背後から前方に回る。


状況を察知するに多分荷馬車を襲っている野盗か何かだろうと思った。


俺が剣を抜く前にアーシェが荷馬車の前方にいる

3人も風のように蹴散らし荷馬車の主に「大丈夫か?」と一声かける。


「これはこれは騎士様、危ないところを助けて頂き有難うございました。」


そう言って深々と頭を下げる荷馬車の主、

しかしその手にはボーガンらしき物がちらりと見えた。


「アーシェ!」


咄嗟に俺は叫び、呪文を詠唱し落雷を荷馬車の主の頭の上に落とす。


「…罠だったようだな。」

アーシェがぼそりと言った時には既に囲まれていた後だった。


この数は100や200じゃねえぞ…。


一斉に崖の上から姿を現す人間の数。

そして細い山道の前方も後方塞がれた。


「さぁて…、どうするかね?」

俺がアーシェに尋ねると何故かサーシャが

「受けて立つわよ!」と言って突進していった。


おいおい、無茶するなよ…。と思ったが

多少の雑魚ならサーシャの実力で問題ないだろう。


「援護します!」

後ろで、ずっと出番のなかったリリスが強化魔法を俺達三人にかける。


この強化魔法は素早さが上がる魔法か…。

恐らく精霊系、風のエレメンタルか。


素早さが上がった事で次々と薙ぎ倒していくサーシャ。

それに続き、アーシェも続々と倒していく。


サーシャが前方。

アーシェが左右。

俺が後方。

リリスが中央で支援。


気づけばそういう陣形になっていた。


俺が30人ほど倒した頃か「コイツらつええぞ…。」と

後ろにいる雑魚Aが騒ぎ出し、「情報が違うじゃねえか!」と雑魚Bが騒ぎ出す。


そして雑魚Cが「おい!ダース様を呼んで来い!」と言う言葉が聞こえた。


…ダース?


どっかで聞いた名だなっと思ったが思い出せない。

そして各々各個撃破してる時に「待たせたな諸君!」と言う声が

後方から聞こえ、周囲の雑魚が「おおおおお!!!」という雄叫びを上げる。


アイツが「ダース」って奴か。


この野党を仕切っているボスなのか周囲からの反応が凄まじい。


「おい、こらちょっとどけ、通せ!道を開けろ!」

なんか登場シーンがかなりダサイような気がする…。


「オマエ達か!私の可愛い部下を痛めつけてくれたのは!」


ダサイ登場シーンから現れたのは紛れもなく「魔族」だった。


それに気づいたアーシェは剣を突き立て突っ込もうとするが

俺が片手で制止する。


「どういう事だ?魔族が人間を使って野盗ゴッコか?」

俺がダースに問いかける。


「野盗ゴッコとは失礼な!これはビジネスだよ、ビジネス!」

反論するダース。


俺は今まで魔族にはそういう悪い事をする奴はいないと信じて生きてきた。

いや、親父のせいで信じ込まされていたのかもしれない。

それが裏切られた事により俺の中で何かが弾け飛ぶ音がした。


「おい、貴様。魔族の名誉と地位を穢した罪によりこの俺が今裁いてやる。」

そう言うと俺はダースという男の頭を掴み宙に浮かせ


そして次の瞬間、

我が魔剣「リベレーター」で胴を二つに切断する。


「魔族ならまだ喋れるよな?誰の指示で俺らを襲った?」

胴から下が切り落とされ下半身が床に転がっているにも関わらず

俺はダースに問いかける。


「あ、が、ぐっふ…。」

血を口から吐き出し俺の顔にかかるがそんな事は気にせず

ダースの頭を持っている手の力が強くなる。


「答えろ!!!」

俺は怒鳴るようにダースに再度問いかけた。


「、ど、奴隷…、奴隷商人の魔族…。な、名前はセ、セルク…。」


その名を聞いて一瞬俺はゾクッとした。


反魔王派の幹部、その名は「セルク」

魔族でありながら人間との共存を訴えていた異端者。


何故、人間との共存を考えていた魔族が奴隷商人になってるんだ…?


その疑問を掻き消すように俺は


「そうか、眠れ。」


そう言い、ダースの頭を持つ手に力を込め頭を潰す。


【グシャッ】と鈍い音が周囲に響き渡りそれまで居た雑魚が

「ば、化物だああああああああ」と叫びながら逃げ出す。


「ま、待ちなさいよ!」

サーシャが追撃をかけようとするが俺が「待て!」と制止する。


「クックック、アーッハッハッハ!!!」


この時、俺は壊れたのかもしれない。

止めど無く笑いが込み上げ憎悪の矛先の行き場所がわかった事に

実に満足に、そして愉快になったのだ。





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