アキラ、目覚める
次に僕が目を覚ました時、それはベッドの上だった。
あれ、僕はいったい…?
周囲を見るからに診療所のような感じの部屋だ。
強いて言うなら殺風景の部屋。
普通診療所というのは花とか何か飾られてたり絵画が貼ってあったりで
もうちょっと病人に対してリラックス出来る空間を作り出すのが自然だ。
なのに窓ひとつ無い。
しかし、この診療所らしき建物はまったくそういうものがない。
つまり本当に殺風景なのだ。
………。
今、自分に起こった事を頭の中で整理してみる。
あれは…、夢だったんだよな?
多分、僕は熱中症で倒れて運ばれてここにいるんだ。
そうに違いない。
妙にリアルな夢。
そしてそれを鮮明に覚えている。
だけど、心の中でナニカ引っかかっている。
本当にあれは夢だったのか…?
そして次の瞬間。
それが夢で無かった事が証明される。
【バタンッ】と勢い良く扉が開き、女性がひとり部屋に入ってくる。
「ああ、意識を取り戻したの。」
看護師とは違う格好をしたふわふわな服を着て僕に話しかけてくる女性。
まず目に入ったのがその女性の背中には翼が生えていた。
そう、それは正しく天使の翼だ。
そこで僕は確信した。
やっぱりあれは夢ではなかったのか。
記憶をひとつひとつ整理していく。
そうだ、僕は頭の中に一気に情報が流れ込んできてそれで…。
僕は気を失ったんだ。
「あの…、ここはいったい何処なんですか?」
僕は看護師の格好らしくない格好をした看護師らしき人に尋ねる。
「んー、まぁ時期に理解出来ると思うけどここは天界と呼ばれる場所さ。」
どう説明していいかわからない女性がぶっきらぼうに言う。
天界…?
天界ってオタクとかの話によく出てくるアレだよな…。
僕はまだまだ納得できない。
「すいません、天界というのは…。」
僕が言いかけた時、扉が【ガチャリ】と音を立て扉が開く。
「おー、起きよったか。」
入ってきたのは忘れもしないあの爺さんだ。
爺さんは俺に対して問いかける。
「少しは寝て頭の中は整理出来てきたかの?」
その問いに僕は一瞬戸惑ったが答えは多少なり出てきていた。
「うん、多少は理解できてきた。まだ混乱しているけど…。」
頭の中のグルグルは解消されたけど胸の中の蟠りは解けていない。
「では、整理しながら今後の方針を話そう。」
爺さん真剣な眼差しで僕を見て答えたのだった。




