勇者、折れる
「私も一緒に連れていけ!!!」
アンジュが何か突拍子もない事を言ってきた気がする。
聞き間違えじゃないよな…?
「今なんて言った?」
俺は確認する為にあえてもう一度アンジュに尋ねる。
「私も一緒に連れていけと言ったんだ!」
アンジュは俺の瞳を見て堂々とハッキリ答えた。
…はぁ、どうやら聞き間違いじゃなかったようだ。
確かにパーティへの同行は許可したがまさか本気でついてくる気なのか…?
「あのな、今ここで司令官のお前を連れて行ったら誰が聖騎軍と交渉するんだよ?」
俺は宥めるようにアンジュに言う。
「交渉なら問題ない。」
そう言うとアンジュは隣にいた
アクトとミドガルドの首根っこを掴み前へ押し出す。
この二人に任せるのは非常に難しいと俺は思うんだが?
「その二人には無理だろ。」
キッパリと俺が言う。
「お任せ下さいプリンス。」とアクト。
「俺様じゃ不満だと言うのか!?」とミドガルド。
うん、お前らじゃ不安でいっぱいだわ…。
「やっぱアンジュは残れ、俺はこの二人に任せる気は無い。」
ハッキリと言ってやった、これでアンジュも引き下がるだろ…。
そう思ったのがそもそも甘かった。
「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!!!」
ダダをこねるようにアンジュが俺に向かって叫ぶ。
おいおい、もうガキじゃないんだから…。
「あのな、アンジュ…。」
更なる追い打ちをかけようとした俺に対し、
アンジュが重い一撃の言葉を俺に落とす。
「奴隷とは言いやりたい放題してるクロムをこのままにしておけないのよ!?」
ぶっと吹き出した。
説明上、パーティメンバーは俺の奴隷として
連れていると確かにアンジュに報告はしていた。
しかし、それも仕方がない事だ。
このご時世、魔族と人間が共闘してるというのは聖騎軍の裏切り者くらいしかいないのだから立場上そう言い訳をしたのだった。
それが今まさに墓穴を掘ったが如く、俺に追い打ちをかける。
「いや、奴隷と言ってもそんなやましい事してる訳では…。」
俺は言い訳っぽく言ってしまう。
「では、何故奴隷の中に女しかいないのだ!?しかも子供までいるし!!!」
アンジュが発狂したように叫ぶ。
子供ってそりゃリリスとユフィアの事か…。
「まさか…、クロムの子だったのか!?」
更に発狂したように勘違いをするアンジュ。
「いやいやいや!?そんな訳ねえだろ!?」
全力で否定する俺。
「そんな…、まさか幼女趣味だとでも言うのか!?」
更に更に発狂したようにアンジュが叫ぶ。
「そんな訳ねえだろ!?」
全力で突っ込む俺。
「では、私も連れて行ってそれを証明してみせろ!」
アンジュがビシッと指を俺に突き刺し宣言する。
あれ、変な流れになってるぞ…?
ザワザワと周りが騒ぎ出す。
「魔王様って幼女趣味だったのか…。」
「アンジュ様という素晴らしい女性を持ちながら…おこがましい!」
「いや、魔王様ならではの事ではないのか?」
周囲から嫌な目線が全力で俺に飛んでくる。
耐えられなくなった俺は叫んだ。
「あー、もうわかったよ!わかった!好きにしろ!!!」
ぱぁっとアンジュ顔が笑顔になり俺に抱きついてくる。
「流石クロム!我が旦那にして許容もあるな!」
あー、頭が痛くなってきた。
パーティメンバーになんて言おうかな…。




