勇者、怒らせる
剣を構え突っ込んでくるミドガルドに対し
俺は剣を鞘から引き抜き剣撃を受け止める。
仕方ない、手加減して勝てる相手じゃなさそうなのは確かだ。
剣撃を受けきった後、一歩後ろに下がり
俺は剣を構えた状態でミドガルドに言う。
「最後の忠告だ、アンジュはどこにいる?教えなければ…。」
俺が言葉を発してる途中にミドガルドは俺に剣を振ってくる。
「貴様!一度とならず二度までもアンジュ様を呼び捨てたな!」
主君が侮辱されたとばかりに怒りの剣撃を俺に浴びせてくる。
【ガキィィイン、キィイイイン】
その剣撃の音で人気の少ないこの通りに魔族が集まってきた。
「なんだなんだ?」
「おい、人間がいるぞ!」
「ミドガルド様!」
様々な言葉が聞こえるが今は意識をこちらに集中しないと…。
「ぬう、人間無勢がこの俺の剣撃についてこれるなんて…、小癪な!」
ミドガルドがそう言った次の瞬間。
「吠えろ、我が魔剣!イグニリュード!!!」
ミドガルドは剣をを天に向けそう叫ぶ。
コイツも魔剣持ちか!?
厄介な奴を相手にしてしまったな。と思ったと同時に
流石アンジュの親衛隊だ。とも思ってしまう。
天から雷が鳴り出し、落雷の魔法か剣撃か?と警戒していたが
空からパラパラっと降ってきたのは雹。
周囲から悲鳴のような声が聞こえる。
「逃げろー!」
「巻き込まれるぞ!?」
「きゃー!」
怒号のような掛け声と悲鳴が混じり合い、
これはちょっとまずいんじゃないかっと思う俺。
「待たせたな、人間!くたばれ!!!」
そうミドガルドは俺に言い放ち天に掲げた剣を振り下ろす。
俺は振り下ろされた剣を見て上空から何かが振ってくると咄嗟に考えた。
そして思った通り、上空にはとてつもなくでかい氷の塊が
雲を切ってこの要塞へと落下してくるのであった。




