勇者、相談する
「ここで作戦会議だ。」
俺はパーティメンバーに向かって話を始める。
パーティメンバーには俺が知り合いの魔族と内通してて(キリムの事)
中央都市の魔族拠点まで一気に向かう、という事を伝えた。
問題は…、そう人間やハーフエルフが混ざってる事だ。
まぁ俺も外見は人間だから魔族の下っ端共に見られたら攻撃されかねない。
俺が魔王の息子であるのは同世代の魔族か、
王宮にいた魔貴族クラスじゃないと知らないのだ。
一通りパーティメンバーに説明してここで俺がメンバーに相談する。
「中に入る方法は内通者の手引きで入れるが問題はその先だ。」
「片っ端から倒していけばいいんじゃないか?」
アーシェが突拍子もない事を言う。
「阿呆め、そんな事したらあっという間に囲まれて終わりだろ。」
そういえばアーシェはこういう性格だったなっとふと思う。
「その手引きしてくれる魔族にその中央都市のボスのとこまで捕虜のフリでもして連れて行ってもらったら?」
珍しくサーシャが頭を働かせた発言を言う。しかし、
「それは無理だ、拠点までは入れてもその先は自分でどうにかしてくれって言われた。」
サーシャの問いに俺が答える。
正直、キリムにこれ以上重荷を背負わせる訳にはいかない。
アンジュのとこまで怪しまれずにいける保証がまったくない。
「ふーん、勇者一行を捕まえたので将軍のとこまで連れてきました!とか言えば大丈夫そうだけど。」
サーシャが引かずに言う。
ううむ、確かにそれならいけるかもしれないが…。
「しかし、それなら私がさっき言った案と結局一緒になるだろう?」
アーシェが口を挟む。
「そうだな…。」
俺も答える。
結局アンジュのとこに行けたとしても
そこで騒ぎを起こしたらあっという間に囲まれてしまう。
それでは駄目だ、俺はアンジュと話し合いをしたいのだ。
「俺は敵のボスと話し合いがしたい、だから怪しまれずにボスの所までいければいいのだが…。」
「流石クロムね!全て力で解決しないところが勇者らしい!」
サーシャが何かわからんが俺を褒める。
いや、まぁ…、昔からの幼馴染に剣を向けたくないだけなんだが…。
「あのー…。」
控えめな口調でリリスが言う。
「どうしたリリス?」
俺が尋ねる。
「一応、姿を変えられる護符ならありますけど…。」
驚くべき事をリリスが言う。
「それだ!!!」
俺が間髪入れずに言う。
「それで魔族の姿に変化すれば行けるな!」
希望が湧いてきた。
「私はこんな姿してますから宿屋とかに泊めて貰えない時に使ってたんです。」
暗い過去のようにリリスが言う。
まぁ沈むリリスは放っておいて俺の頭の中で考えた作戦を
パーティメンバーに伝えるのであった。




