勇者、闇魔法を使う
合成獣を操る禍々しい魔力の元に俺は向かう。
そう遠くない距離。そう実感した。
野を駆け林を抜け岩山の天辺に合成獣を使役する者の姿が確認出来た。
「お前何者だ…?」
俺は使役する者に問いかける。
「ほう、この位置を割り出すとは…、中々やるな勇者よ。」
俺の問いかけを無視しそう答える使役する者。
使役する者が顔を見せると知らない顔だ、
つまり幹部クラスじゃない雑魚って事だ。
しかし、油断する事は出来ない。
あの数の合成獣を使役するには強大な魔力が必要なのだ。
「俺が勇者とよくわかったな?」
俺は使役する者に言う。
「あのパーティの中で、ずば抜けて高い魔力を感じた。それがお前だ勇者よ。」
使役する者は剣を抜きやる気満々である。
俺が魔王の息子だと言う事を知らないという事はかえって好都合だ。
俺のパーティを襲った事を運が無かったと思うがいい。
「貴様の首を中央都市まで運んで将軍の手土産にしてやろう!!!」
そう言って飛び掛ってくる使役する者。
「ふん、雑魚が調子に乗るんじゃねえ!」
俺はそう言うと呪文を瞬時に詠唱する。
「ダークイリュージョン!!!」
詠唱した魔法が使役する者に当たりダメージと共に使役する者が戸惑う。
「くっ、これは魔族の闇の高位魔法!何故貴様が…、がはっ!?」
台詞の途中ですまないが剣撃を斜めに入れる。
おっと、危ない危ない。俺とした事がつい闇魔法を使っちまった。
これからは気を付けないと…。
「がっふ…、き、貴様…。」
流石魔族、真っ二つにされてまだ息があるか。
「今、楽にしてやる。」
俺はそう言うと使役する者に止めを刺す。
そこで「あっ」と思い出す。
中央都市にいる将軍の名前聞いときゃよかったなっと…。




