表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者か魔王  作者: 和都
・第一章、キルトゼア大陸編
18/81

勇者、誤解される

流石に三日も眠り続けたせいか起きた時は体がふらついた。

俺が蘇らせたグールの幼い少女、(見た目はリリスより少し年下くらい)

ユフィアに支えられ「おっとっと」と俺がバランスを保つ。


部屋の外へ出たら

「もう怪我は大丈夫なのかい?」と

宿屋のオカミが話しかけてきてくれた。


「ああ、全快にはまだほど遠いが…。」

ユフィアに支えられながら俺はオカミに言う。


「もう歩ける、大丈夫だ。」

俺はユフィアにそう告げると階段の手すりに捕まりながら

一階の冒険者ギルドに顔を出す。


「お、意識を取り戻したか。クロム。」

「よっ」と手を挙げそう言うのはアーシェ。


「ああ、迷惑をかけた。すまないな。」

俺は本音を口にする。


「なぁに、気にするな。お前達の力がなかったらまだあの奴隷商人の拠点は落とせてない。」

ニッと笑うアーシェ。


「ところでサーシャとリリスは?」

俺はアーシェに尋ねる。


「ジャジャ馬は外に獣を狩りに、チビッコは薬師の店にいったぞ。」

ジャジャ馬がアーシェでチビッコがリリスね…。と

解釈する俺にアーシェは言葉を続ける。

「まぁ夕刻には戻ってくるだろう。」との話だったので夕刻まで待つ。


「ところで」

アーシェが俺に尋ねる。


「ん?どうした?」

尋ねるアーシェに俺が尋ねる。


「そのもっとチビッコはなんだ?奴隷商人の拠点からずっとお前についてるが。」

と俺の後ろにこそっと隠れる物体に視線を送るアーシェ。


もっとチビッコ…?

あぁ、ユフィアの事か。


「コイツはユフィア。旅に連れて行くことになった俺のげぼ…、仲間だ。」

あぶねえ、下僕と言いかけた。


「ふむ、そうか。」と

軽く納得しアーシェが続けて誤解を招く事をサラっと言う。


「お前幼女趣味か…。」


いや、違う違う違う!!!


「いや、違うぞ!事の成り行きで連れて行くことになってだな…。」

必死に否定する俺。


「いや、言わずともいい。大体見当はついた。」

そうアーシェは言うとニヤッと笑う。絶対コイツ分かってねえ!


そうこうやり取りをしてる最中、リリスが薬師の店から帰ってきた。


「勇者さん!目覚めたんですね!」

リリスが嬉しそうに言う。


「ああ、お陰様でな。」

俺はリリスにも礼を返す。


「ところで…、その子は?」


こんな同じやり取りをまたサーシャが戻ってきた時もやるとは思わなかったが

3人とも「へぇー」とか「そー…」とか何か俺を見る目が白かった。

もうどうにでもなれ…。


その夜、三日ぶりの飯を俺は食い、三日分の量は平らげたと思う。


「その子は食べないの?」と

サーシャが言ってきたが、あー…なんて言葉を返そう。


そう考えて俺がユールを飲んでいるとユフィアが宙に氷で文字を描く。


「私はクロム様に救われて今は生きた屍なのです。だから食べれません。」


ぶっと俺が盛大に吹き出した。なんというかストレートど真ん中。


「ゴホッゴホッ」俺が咳こみ周囲から

「汚い!」とか「きゃー!」とか悲鳴が聞こえたがそれどころじゃない。


氷文字を必死に俺がかき消しハハハっと愛想笑いするがもはや遅かった。


「どういう事?ク・ロ・ム?」と

明らかに笑ってない笑顔で俺を睨みつけるサーシャ。


うーん、なんて誤魔化そう…。


そう考えてるとまたまたユフィアが氷で宙に文字を書こうとする。

「いやいやいや、お前はもう書くな!頼む!なっ!」

しょぼんっとするユフィアを横に俺は必死に文字を書かすまいとする。


「えー、ゴホンッ」

わざとらしく俺は咳払いし説明を開始する。


「この子はあの拠点で一回死んで、俺が蘇らせた。以上!」


………。


つかの間の沈黙


「それじゃ説明になってなーい!!!」と怒鳴るサーシャ。


まぁやっぱ納得しないよな…。


多少ごまかしながら俺はうまく説明する。


奴隷商人の魔族によってユフィアが殺され、その魔族との戦いで

マジックポイントがゼロになってしまった俺が苦肉の策で

勇者の里、直伝の伝説の復活魔法を唱えた結果…。という事にした。


サーシャは「おー!勇者の里の直伝かー!!!」と納得してくれた。

まぁコイツを納得させれば大抵解決するからいいと思ったが


そこでリリスが話をこじらす。


「そんな大魔法聞いたことないですね、そもそも蘇生するなら聖音系の方が…。」


だー、本当に話がこじれるからやめてくれ。


「俺は聖音系は使えない!」

キッパリと言う俺。


というかあの魔法、聖音系でも無ければ精霊系でもない。

太古の暗黒系魔法だ。


まぁハーフエルフが知らないのも無理はない。


「ふーん、まぁ幼女趣味だから仕方ないな。」と

アーシェが茶化してくるがその茶化しのお陰で一旦はうやむやになった。


そこから、これからの動向。目的を再確認し

パーティは海を渡り大陸を出る為、「グランエール」から北にある港町

「ランバスタ」に向かう事となった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
評価、ブックマーク等、宜しくお願い致します!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ