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『・』。

『・』。


黄金の林檎は未熟なまま

捨てられた稚児は祈りを捧げる様に両の(かいな)を広げ、受け入れる。

太陽に等しき黄金の樹は穢れた私達を嘲笑の輝きで見下ろす…。

実から滴る蜜で喉を焦がし、矯声を放て。


暗黒の林檎は爛熟なまま

成長した稚児は慈愛を浮かべる様に首を仰け反り、受け入れる。

血に割れた黒い樹は地を這う私達に、無様な葉を差し伸べる…。

実から滴る蜜で喉を潤し、慟哭を鳴らせ。


果実を選ぶは囚人達。

この地に縛られし、哀れで無様で愛おしい彼等。

終わり無き咎に独り囁き、どちらの果実を選ぶのか。

その味はどちらが美味であるのか…。


何故(なにゆえ)に樹々は実を成すのか?

土から這い出た芽は太陽へと手を伸ばし。茎は幹となり穢れと共に成長を遂げる。

幾千の枝は幾多の可能性へと紡ぎ繋がれ、実は新たな未来と共に種を孕む。


何故(なにゆえ)に彼等は実を選ぶのか?

選んだ果実は果たして正しく選ばれたものであるか。

果実を選んだ事に抱く願いは果たして何であるのか。


星々はただ樹々と彼等を見つめ、

大地は生温かい泥へと変わり果て種を飲み干し沈む。


朽ち果ててしまえばいい。

我が魂も、この身体も、果実の受肉ごと…。


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