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『夏』。
『夏』。
夏に沈む帳の啼き声
夏に浮ぶ硝子はとぷとぷと揺蕩い
夏に佇む少女を傍観する。
溶ける熱。
長引く熱は余韻すら溶け落とし
私達を突き刺す。
募る暑さ。
粘つく様に付き纏い、熱を帯びる。
世界を照らす太陽。
無慈悲なまでに熱を孕ませて。
蒼き空。
不自然なまでに青より蒼く。
何故?
夏はこんなにも或らゆるのか?
他の季節よりも厳しく、激しく。
他の月日よりも緩やかで、長く。
他の一年よりも儚くて、残酷で。
…浮かび上がる蜃気楼。
儚い灼熱を揺らめかせて、夏の残滓を沈ませる…。