叶わぬものを望む者
12月25日
晴彦&夏樹side
「みてみて!これかわいいよね!」
「え?あぁ、そうだな。」
「なんか適当ー!」
夏樹は膨れっ面をすると歩き始める。
遅れて、晴彦が追いかけてきた。
私は何をしているのだろう。本当なら今は彼氏といたはず…。もう、居ない人なことに変わりはないけれど。
「なぁ、夏樹。これのどこが予定変更なんだ?普通のデートの同じじゃないか?」
「デ、デートとかなにいってるの?!これからなんだから!」
どうして…どうしてこんなにもドキドキするの…。私は…誰でもいいから一緒にいたいだけなのに…。足りないものはない。ただ、そばにいる人だけが欲しかった…。
私は、淫乱なだけなのだろうか?激しく求め合う・・・それが欲しいだけなのだろうか?違う、私は愛が欲しい。愛してほしい。心から。その愛は誰にも向かない、私にだけ向く・・・そんな愛を。
・・・そんな愛を私は、あとなんど踏みにじればいいのだろう。
私は、隣にいるその人にすら素直になれず・・・壊して、壊れていく・・・。
「叶わない恋か…。」
「なんだよ?なにか言ったか?」
「なんでもないわよ。」
夏樹はふと後ろを振り返った。
ビックツリーは天高くそびえ立っている。
どんよりとした雲はゆっくりと流れていた。