その他とその他(以下省略)
12月25日
麻耶side
電子音が病室に規則的なリズムを刻んでいく。
これが私の生きている証。そして、命の鼓動。
冬木 麻耶は、ゆっくりと上半身だけを起こすとその視線を窓の外へ向けた。
今日は、12月24日。クリスマスイブ。窓の外にはこの町の観光名所の一つであるビックツリーが見える。
市の中央に位置する駅のロータリーにある高さ20mもの高さがあるツリーだ。
この時期、ツリーにはクリスマスの装飾が施されより一層存在感を示していた。
麻耶は、人々の動きを見る。サンタの仮装をしてビラを配る人。忙しそうに早歩きをしている人。恋人と手をつなぎながら仲睦まじく歩く人。
どれも、幸せそうである。それなのに・・・。私は・・・。
麻耶は、寒さにこらえながらベッドから立ち上がった。
無駄に広い部屋にただ一人無意味に立ち尽くす。
孤独だ・・・。私は、孤独だ。
誰も見舞いにすら来ない。先が短い私の事より、まだ先の長い自分の事しか考えていない。
それは、しごく当然のことであるがそこに麻耶は人知れず憤りを覚えていた。
「今までも来ない人たちがこれから、来るわけもないか・・・。」
麻耶は、廊下へと出た。
看護士がパタパタとスリッパの音を立てながら走っていく。
きっと、彼女にも聖夜を満喫するための予定があるのだろう。
「私が一体、何をしたっていうの?物心ついた時には常に隣には、病という文字があった。だけど、私は今まで悪いことをしたつもりはない。どうして?どうして、神様は私を一人にするの?私を選んだの?私は、孤独が一番嫌いだ。」
麻耶は、フと高校時代を思い出した。
ゆういつ卒業することのできた、学校生活だ。
周りには常に3人がいた。
「誰か来ないかな・・・。」
麻耶は、屋上へと続く階段を上り始めた。