真紅の少年
─── お父さんとお母さんの研究を手伝ってるからだよ。───
後ろからそんな言葉が聞こえ、振り返ると真っ赤な髪にルビーの瞳をした7歳位の子供が立っていた。目尻が吊り上がった猫目がきつそうな印象を与える少年だ。縫い目の無い真っ白なTシャツにこれまた白いズボンが真っ赤な髪を引き立たせる。
『お前。僕の声が聞こえるのか。』
「一応ね。」
『あの子は聞こえて無いみたいだったけどな。』
「カグラは僕達の中でも、特殊だから外に出てる間は力を制限されてるんだ。研究所内に入れば話せるよ。」
少年はそう言ってカグラに近づいていった。
「カグラ。母さんと父さんが呼んでるよ。」
「カムイおにいちゃん!」
神楽の頭とお尻に耳と尻尾が見える…。
…いゃ、そうじゃなくて!
何なんだ!あいつ。気配が全然無かったぞ!
僕は精霊だから、気配には敏感なのに。
空気が揺れる気配も分からなかった。
しかも、カグラに至っては力を制限されてるってなに言ってんの?あいつ。
もやもやと考えていたら、2人が研究所に向かって歩いていた。その姿を見ていたらカムイと呼ばれた少年は、くるりと僕の方を見て研究所の方を見たんだ。
僕について来いって事かな。
研究所には遠くから見てただけだったけど、
近くで見るとやっぱり研究所っていうか…ビニールハウスなんだよね…。
(野菜とか栽培してるんじゃないの?。)
「なにやってるの?早く来なよ。」
カムイがこちらを向いて急かしてくる。その言葉に、聞いてくる声があった。
「?カムイおにいちゃん誰に言ってるの?」
カグラが訪ねた言葉にカムイが、苦笑する。
『?カグラは見えてるんじゃないのか?』
「さっき言ったろ?外に出てる間は力を制限されてるって。」
「ねぇ。誰と話してるの?」
『だが初めて、カグラを見た時は僕の姿が見えていたが?』
「それって多分2週間位前の事だよね。あの時は、制限装置が少し馬鹿になってたから、そのせいじゃないかな。」
「ねぇ。誰と話してるの!?」
2人がカグラを置いて話していると、痺れを切らしたかのように叫んだ。
「う゛ぅ〜〜ん゛!!おにいちゃん!だれとはなしてるの!カグラもおはなししたい〜〜〜〜!!」
カグラの可愛らしい講義にカムイと僕は顔を見合わせる。
「ふふっ。カグラがすねはじめちゃったから、とりあえず研究所内に入ろうか。」
『そうだな。』
カグラを促すカムイの後について、僕もビニールハウスもとい研究所にお邪魔した。
朗読ありがとうございます。