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今から約1万8000年前。
まだファナリスが地球と呼ばれていた時代。地球国 西暦28XX年。
海に面した山の麓にかの研究所があって後に『迷わしの森』と呼ばれる場所だ。
僕はその研究所から1キロ程度離れた場所で生まれたんだ。
その頃はまだ、僕は精霊って部類だったけどね。精霊は殆ど存在していなくて僕含めて100もいなかったんじゃないかな。
かろうじて大木って呼ばれる木には、精霊が宿っていたけど。
僕の宿る木は、樹齢1000年の大木でやっと僕が宿ったって感じだよ。
初めて得た姿で、大木の周りの色々な場所に行ったんだ。
そんな時だよ。彼女に会ったのは。
名前はカグラ。
まだ5歳になったばかりの頃だった。
白銀の髪をポニーテールでまとめたコバルトブルーの瞳の女の子。薄ピンクのワンピースがとても似合ってたんだ。
いつも決まって研究所の近くの海の砂浜で遊んでた。
興味本位で近づいたら、僕の方を見て笑ったんだ。
この時代の人間は、精霊の姿は見えないはずなんだけどな。
「ようせいさん。こんにちは!」
…やっぱり僕の事見えてる…ケド…。
『僕は、精霊だ!妖精じゃない!』
「?」
反論したけど、聞こえてないっぽい…。
はぁ…帰ろ。
「あっ!待って。私かぐらってゆうの。」
『僕の声聞こえないのに、なに言ってんの?』
その時はさっさと帰ったけど、次の日気になって砂浜に行ったら、案の定遊んでた。
次の日もまた次の日も砂浜で遊んでた。
というか、1人でいすぎじゃないの?
『〜あ゛ァァァ〜話せればなんで1人なのか聞けるのにー。』
「お父さんとお母さんの研究を手伝ってるからだよ。」
『へ?』
頭を抱えて叫んでいたら、そんな返事が来て思わず間の抜けた声を出してしまった。
朗読ありがとうございました。