2-(2) 兄弟の理由
レナは食事を載せたトレイを手に宿舎の廊下を歩いていた。
既にクランの団員達の多くは不在だった。それぞれがギルドに出向いたり、個々に受けて
きた依頼の為に出掛けているのだ。
そんなすっかり人気の少なくなった昼間の宿舎の一角、空き部屋を挟んだ角部屋のドアの
前でレナは立ち止まる。
「ステラちゃん、私だよ。朝ご飯持ってきたんだけど」
「……。ちょっと待ってて」
呼び掛けると、ドアの向こうから控えめな返事が聞こえてきた。少し間を置いて、カチリ
と鍵が開く音がすると、そっとドアを半開きにしてステラがおずおずと顔を出す。
「大丈夫だよ? 皆、ギルドに行ったり依頼主さんの所に行ったりしてるから」
「うん……。あ、入って」
レナはステラの後に続いて彼女の部屋の中へと入っていった。
閉め切ったカーテンで部屋は少々薄暗い。ステラ自身が(クラン仲間達以外の)人の目を
避けるように閉じ篭った生活を送っているためだ。
だがそれを補うように、室内にはふわふわと下級精霊たちが淡い光を放って漂っている。
魔導を修めている者でなければ、精霊を知覚することはできない。
そこに居るのは黒い人魂の姿であったり、髑髏に羽根が生えた姿であったり。
ステラの得意とするのは“冥”魔導──闇を司る魔導だ。それ故に彼女の力に惹かれて集
まってくる精霊達も、自然とその多くが冥属性の奇蹟を司る存在になる。
元神官の養父に影響されている為か“聖”魔導──光を司る魔導を得意とするレナとは、
ある意味で対照的だとも言える。
「ごめんね。机の上、片付けるから」
言ってステラはテーブルの上に積まれていた本(おそらくその殆どが魔導書と見える)を
片付け始めた。
普段部屋に籠っている分、彼女は日頃の魔導の研究に余念がない。
それは生粋の魔法使いの民・ウィザード故の気質とも言えるのだが。
「はい。どうぞ」
「ありがと。……いただきます」
そして空いたテーブルの上に配膳し、早速ステラは遅まきの朝食を摂り始めた。
レナは何時ものように闖入者が来ないように外の様子に気を配りつつも、この心の傷を抱
える友をそっと見守っている。
でも、やっぱり本当は彼女も含めて皆で一緒に──。
「ねぇステラちゃん」
若干の躊躇いはあったが、レナは意を決してこれで何度目になるか分からない問いかけを
しようとしていた。こくんと牛乳を喉に通してこちらを見遣ってくるステラに、彼女は神妙
な、心配げな眼差しで以って言う。
「やっぱり……まだ表に出てくる勇気は、ない?」
「……。うん」
ステラの返事は、レナの予想通り否だった。
だがそれでも、出会ってすぐの頃の“怯え”に比べれば随分落ち着いてきたようにも思え
るのだが……。それを言ってしまうのは自分の勝手な解釈に他ならないとも思っていた。
「でも、今朝は酒場の方に顔を出そうとしてたよね? ジークさんも、何気に気付いていた
みたいだったけど」
「う、うん。でもやっぱり」
「……アルス君が来たから?」
推測の域だったが、レナはそっとステラにそう訊ねてみていた。
返事は返って来ない。だがその沈黙は間違いなく肯定のそれに等しくて、
「大丈夫だよ。だって、ジークさんの弟クンだもん」
レナはつい、自分の中の信頼を友に押し付けてしまって。
「そんなの分からないよ!」
だからその言葉を後悔した時には、既にステラがくわっと声を荒げていた。
マナが感情の触れ幅と共に増幅したのが分かった。辺りをふよふよと浮かんでいた精霊達
もそれに影響されて一瞬、剣呑な気配を纏おうとしたのも分かった。
「……分からないよ。私の正体知ったら、何て思うかなんて……」
だが驚き、申し訳ないという表情をしたレナを見て、ステラの声はスッと尻すぼみになっ
ていた。
立ち上がりかけた腰を下ろし直し、高揚で“血のような赤”に染まった両の瞳をそっと掌
で覆い隠すようにしながら、自らで一人その昂ぶりを治めようとしている。
「ステラちゃん……」
レナは後悔していた。そして心配で堪らなかった。
アルス君の下宿話を持ってきたのは他ならぬジークさん。そしてアルス君が魔導師の卵だ
という事も自分を含めて聞かされている。
だが──ジークさんは、彼にステラちゃんの事を話してあるのだろうか?
(でも、アルス君が忌み嫌うような素振りはなかったし……)
レナは内心迷っていた。一抹の疑心がどうしても拭え切れない。
ジーク本人に聞いてみれば分かるのだろうが、生憎もうイセルナ達と共にギルドへと出掛
けてしまっている。
でも本当は優しい人だと信じていた。この前だって、弟クン用に学習机や本棚の見繕いを
手伝って欲しいと頼んできた。ぶっきらぼうだけど……本当は優しい。あの人は、きっと。
「……大丈夫だよ」
そしてレナは、やがて自分に言い聞かせるように口を開いた。
そっと顔を上げてくる友に、フッと笑い掛けて言う。思い出してと投げ掛ける。
「ステラちゃんは、ジークさんやイセルナさん、クランの皆の事、信じてないわけじゃない
でしょ?」
「う、うん。それは……そうだけど」
「だよね? 最初は私達も驚いたよ? だけどそれ以上に皆、ステラちゃんの力に、居場所
になってあげたいって思ったんだと思う。だからステラちゃんも、この部屋に腰を落ち着け
ていられるんじゃないかな?」
ステラは上目遣いで友を見遣り、黙り込んでいた。
無言ながらの肯定。それは自分の正体を知っても尚、保護してくれた恩義があるから。
「大丈夫だよ。ジークさんも、クランの皆も……信用できる人達だから。アルス君だって、
きっと話せば分かってくれると思う」
あの日の出会いと、ジークが見せた優しさを思い出しながら。
レナは友の心の傷を、そっと優しく撫でるように呟くと、そう静かに微笑んだ。
「だって誰よりも、それはステラちゃんが一番知っている筈だもん……」
朝食と支度を済ませた後、イセルナとダン、そしてジークら十数名の団員達は依頼を見繕
うためにギルドを訪れていた。
そこには多くの冒険者達が窓口や依頼書の貼り出してある掲示板を中心に集まり、今日明
日の糧を得るべく品定めを行っている。
(う~ん……。便利屋の類っつっても色々あるもんなんだな……)
そんな面子の中に混じり、ジークは間仕切り付きの端末が並ぶスペースで、画面に映し出
されている仲介中依頼のデータに目を通していた。
中身は会社の警備といった若干「傭兵畑」とも被るものから、清掃代行に子守り、落し物
探し、果ては浮気調査など。そんな「便利屋」の名に相応しい雑多な依頼データの数々が、
次々とディスプレイの上を流れてゆく。
(何つーか、ガクンとグレードが下がった感じだよな。ホント……)
小さくため息をついて、ちらと仲間達の様子を見遣ってみる。
すると案の定、他の団員達もそれぞれに依頼書やデータベースを参照しているが、皆一様
にその内容と傭兵畑のそれとのギャップを感じているらしいかった。
勿論、ジーク達も今まで一度も便利屋系の依頼を受けた事がない訳ではない。
魔獣討伐のような大口の依頼の場合を除き、基本的にクラン所属の冒険者であっても自分
の食い扶持──契約する依頼は自分で確保するのがこの業界の常識だ。
それでもクランに属するメリットは、それ以外の雑務を代行して貰ったり、衣食住の面倒
を見て貰えたり、そして何よりも依頼争奪における競争力で有利に立てる点にある。
ただその分、依頼の大小を問わず契約した依頼は一度クランの代表に目通しをしなければ
ならない等、クラン毎によって種々の掟はあるのだが。
(団長と副団長も交渉中……か)
窓口の方では、イセルナとダンが顔馴染みの職員と何やら話し込んでいる。
大方、クランとしてのコネクションで他にも依頼が来ていないか訊いているのだろう。
仕方ない……。団長命令だし、もう暫く粘って探してみよう……。
そしてジークがそう思い、再び端末を操作しようと画面に向き直った。
ちょうど、そんな時だった。
「──ダン・マーフィはいるか?」
ガラリとギルドの扉を開けて入って来た一行。
その中心に立っていたのは、一人のいかにも気難しそうな強面の男性だった。
肩に引っ掛けて羽織るロングコートの下から覗く腕や頬などに見える鱗の名残と、蛇を思
わせる長く頑丈な尻尾。
それはまさに、爬虫類系亜人・蛇尾族の特徴である。
「なぁ、あれって“毒蛇のバラク”だよな……?」
「ああ……。クラン・サンドゴディマの頭だろ? 名指しとか、何が始まるんだ……?」
彼らの姿を認めて、ギルド内の冒険者達がざわつき始めた。
その解釈──ダンが名指しで呼ばれた事を含めた多くは「何かごたごたが起きるのでは」
といった様相を呈している。
この男・バラクを先頭に三人の幹部らしきメンバーが後に続く。
一人は綺麗なセミロングの白髪を蓄えた、犬系獣人の女性。
一人は唾広帽を被った六本腕の──昆虫系亜人・蟲人族の男性。
一人は赤毛に褐色の肌、荒ぶる南海の狩猟民・蛮牙族の青年。
「おう、お前らか。何か用か?」
ぞろぞろと十数人程度の集団。
だが名指しされた当のダンは慣れたもので、平然としていた。
イセルナやブルート、ジーク達団員らもが黙して見守る中、猫の亜人と蛇の亜人はじりっ
と対峙する。
「……クランの代表として先日の詫びに来た。調子付いたうちの若いのがお前の娘にちょっ
かいを出したそうでな。おい、お前ら。さっさと頭下げろ」
「ひっ。す、すみませんでした!」
「ご、ごめんなさいでしたっ!」
しかし厳しいのは、少なくとも今回は顔だけだったらしい。
咥え煙草を燻らせた強面を向けて背後を促すと、すっかりビクついて飛び出してきたのは
先日ギルドの前でミアに絡んできたあの若い冒険者二人組だった。
しおらく、というよりはすっかり怯えた様子で。
ダンとバラクの二人に睨まれた蛙状態で、彼らはぶんっと頭を下げてくる。
その対応に、ダンは少し「大仰だな」と苦笑するように口を開いていた。
「あ~……アレか。お前のとこの若造だったんだな」
「ああ。ま、こっちでシめてやってもよかったんだが、迷惑を掛けた当事者に侘びを入れる
のが筋ってもんだろ。……今日は、娘っこの方は来ていないみたいだがな」
「すまねぇな。今日はシフォンやリンと一緒にアルスに街を案内してるんだ」
「アルス? 誰だ、新入りか?」
「ん? あ~……そっか、知らねぇよな」
「そこの、ジークの弟クンよ。今度ここのアカデミーに入学する事になって、うちの宿舎を
下宿先に提供しているの」
軽く眉根を上げるバラクに、イセルナが代弁して答えた。
端末のブースからこちらを見ているジークを一度視線で示し、ふわっと穏やかな微笑みで
そう言う。
「ほう。あの無鉄砲小僧の……。ふん、随分と対照的じゃねぇか」
「ははっ、違いねぇ。ま、この詫びはミアにも伝えとくよ。もっともあいつがそんなに気に
病んでるとは思えねぇけどな」
獣人の副団長と、蛇亜人の頭領が荒削りに笑い合う。
どうやら、危惧するような喧嘩沙汰が展開される心配はなさそうだった。
それが分かると、周りの冒険者達も視線を戻し、再び自身の依頼の品定めに戻ってゆく。
(……やっぱ俺って、サンドゴディマの連中にもそういう認識なのか……)
ただ一人、話題に上らされたジークだけは苦笑交じりの落胆で複雑な顔をしていたが。
「まぁそれで詫びの代わりと言っちゃ何だが……こいつを分けてやる。キリエ」
「はい。ボス」
そうしていると、次いでバラクが白髪の犬系獣人・キリエに目で合図を送った。
一歩進み出て彼女が取り出してみせたのは──数枚の依頼書。
「うちで確保した依頼の一部だ。好きなのを窓口に持っていってくれ。……便利屋畑の依頼
を探しているんだろう?」
イセルナとダン、そしてジーク達団員らがその提示に顔を見合わせていた。
何かあるのか? 一瞬イセルナらは警戒したが、サンドゴディマの面々とは同じ冒険者ク
ランとして良き好敵手であり、時に良き協力者ともなる間柄だ。
クランの代表として。
イセルナは頷くダンを見遣ってから、
「……じゃあ。お言葉に甘えて」
そっと一歩を踏み出して、その依頼書へと手を伸ばした。
一方その頃、アルス達四人はのんびりとアウルベルツの街中を歩いていた。
街の案内として先ずは大通りの店を梯子し、次いでギルドや他の交流のある冒険者クラン
にも顔を出してみる。その後は、各々がお勧めの場所を巡ってみることになった。
ミアは、日頃常連として通い詰めている甘味処を。
リンファは、顔馴染みの酒屋と東方から輸入した品々を扱う骨董店を。
シフォンは、静かに昼寝もできる緑地公園と幾つかの書店を。
「ありがとうございました~」
だが当のアルスは、
「~♪ やっぱり街って凄いなぁ。こんなに珍しい本が沢山……」
何よりも梯子して廻った街の本屋を気に入ったようだった。
これで何軒目になるだろう。アルスは店主の見送りを背に受けて店を出てきた。
その両手いっぱいの紙袋に入れられているのは、大量の本。しかもその大半が一般人には
到底理解のできない魔導書や各種学術書の類である。
「……凄い量の本」
「そうだね。流石はアカデミーの学生さんといった所か。勉強熱心なのは良い事だよ」
「だけど結局、僕達の案内があまり役に立っていなかった気もするよねぇ……」
少々、いやかなり呆気に取られているミア達を尻目に、アルスはほくほくとした笑顔でそ
の書物の山を抱えていた。
「まぁアルスは昔っから本の虫だからね~。村にいる時も、アルスの部屋は本で窒息しちゃ
いそうなぐらいギュウギュウだったし」
ふよふよと浮かびながら、そう苦笑いで言うエトナ。
「村というと……確かサンフェルノ村、だったかな? ジークとアルス君の生まれ故郷の」
「あ、はい。そうです。ここから街道と山を越えた先にある、小さな村です」
そしてシフォンがふとレノヴィン兄弟の故郷についてそう記憶を辿り始めると、アルスは
視線を向けてはにかんだ。
「緑がいっぱいで皆いい人で、夏も涼しくて過ごしやすくて……北の方にある分、冬は少し
ばかり辛いですけど。でもとってもいい所です。兄さんは『何にもねぇ田舎だ』って言って
ばかりでしたけど。だけど自然も豊かで精霊もたくさんいて、僕にとっては凄くいい環境で
した。……こうしてエトナとも出会えましたしね」
「アルス……」
その言葉にエトナはじーんとし、うんうんと何度も頷いていた。
微笑み合う魔導師の卵とその持ち霊。
そこには間違いなく、パートナー同士としての信頼関係が築かれている。
「……ミア?」
「ッ!? な、何でもない……」
ぼ~っと、見惚れるようにそんな彼に目を向けていたミアを、小首を傾げたリンファが現
実に引き戻す。そんなやり取りと関係性を、シフォンは静かに目を細めて見守っている。
ゆっくりと四人は街のメインストリートに合流し、歩いていた。
周囲には賑やかな活気と人々の往来が五感に届いてくる。
「……。兄さんはあの日から今日までずっと、この街で暮らしてきたんですね」
それからどれほどの穏やかな沈黙が続いていたのだろう。
ふと、円形に広がる石畳の広場へと四人の足が続こうとしていた頃、アルスはそうぽつり
と誰にともなく呟く。
「あの……。皆さんは冒険者になった兄さんとは、長い付き合いなんですよね?」
「うん? そうだね、かれこれ五年になるか……」
「ふふ、早いものだよね。まだ僕にとっては昨日みたいな事なのに」
「シフォンさんはエルフだから、時間の感覚が違うってだけじゃないかな……」
ちらりと横を向いて、アルスはリンファ達三人を見遣った。
五年。それは兄が村を出奔してしまった時期と符合する。エトナがぱちくりと目を瞬かせ
て自分を見下ろしている。
「……教えてくれませんか? 兄さんがこの街に来てから、一体どんな暮らしをしてきたの
か。村を出て行ってしまってから今まで、兄さんはどんな兄さんだったのか」
きゅっと唇を結び意を決するように、アルスはややあってそう一同に訊ねていた。
はたと見せられた真剣な彼の表情。
それだけ兄の出奔が、この年若い魔導師の卵には大きな出来事だったのか。
三人は少々戸惑い気味に互いを見遣ってから、慎重に口を開く。
「そうだね……。大体半年ぐらいはフリーで冒険者をしていたみたいだよ」
「でも、いくら成人の儀を終えているとはいえ、たった一人でこの業界を渡り歩くのは難し
いものだ。私達がジークと出会ったのも、ちょうどそんな頃だったな」
「……一言で言うと、無鉄砲。今もあまり変わらないけど」
「はは。でもまぁ、昔に比べればジークも随分丸くなったとは思うよ? 何せ出会いたての
頃は何かにつけて剣を抜きたがる気の荒い子だったからねぇ……」
今は友として、先輩として付き合いを深くするシフォンが、そう言って懐かしげに若干に
空を仰ぐように目を細める。
広場の奥では、路上パフォーマーが人だかりに囲まれて音楽を奏でていた。
横笛を吹く金髪の青年とハープを弾く桃色の髪をした少女とが、その穏やかな音色を人々
へと届けている。
「……でも、今思えばあの頃から妙な所はあったよね。彼が魔獣を斬り伏せている時に見せ
る、違和感みたいな」
「……違和感、ですか?」
「ああ。何だろうね……上手く言えないけど、何だかジークは目の前の敵以外のものも一緒
に斬り伏せようとしているかのように、僕には見える。力んでいる……とでもいうのかな」
「敵以外の、もの……」
遠くを、いや自身の記憶を手繰るようにシフォンは呟いていた。
ミアとリンファも互いに顔を見合わせると、その証言と自分達の記憶を照合しようとして
いる。アルスは暫し彼のその横顔をじっと見つめていた。
「……そうですか。やっぱり、兄さんもあの事を悔やんでいたんですね……」
そしてたっぷりの沈黙の後、アルスの漏らしたその言葉に、シフォン達は思わず小さな怪
訝を示していた。
何故か神妙な面持ちになっているエトナ。
アルスはゆっくりとそんな彼女を見上げて一度互いに顔を見合わると、
「兄さんは、きっと自分からは話さないと思います。だから……僕の口から、話します」
再びそっと視線を──とても哀しげな眼を、三人に向ける。