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広イセカイと狭イテノヒラ  作者: 北田 龍一
まだこの作品が小説だったころ
29/43

四章―3 監視者

作者「投稿が途切れませんね。いい傾向です」

宗司「の割には、読者すくねぇがなハハハ」

「……本部、聞こえますか」


 体育館倉庫裏、ぼうぼうと生い茂る草むらの日陰の中に横山 凛音はいた。

 片手には携帯電話を握っているようだが、彼女の学友が見れば、おかしなことに気がついただろう。全くしゃれっ気のない、無骨なガラケーに驚いたかもしれない。普段の彼女の携帯電話は、もっと可愛らしいストラップがついてたり、色合いも明るい。


『どうした凛音、定時連絡にはまだ時間があるが……』

「……酒月 日明 本人と接触しました。気配からして、本物かと」

『接触は可能なら避けろと言っていたはずだが?』

「そうも言ってられません。現在はあの『オカルト研究部』で本格的に活動しているようなので、彼女たちが危険な目に合わないよう、強く監視する必要があるかと。部活動への参加を決めました」


 ……過去、ここのオカルト研究部は、あと一歩のところまで怪異に迫ったことがあった。そこで抑制剤になったのが、彼女、凛音なのである。


『日明本人の反応は?』

「多少機嫌が悪そうでした。恐らく、こちらの正体にも気がついているでしょう」

『当然だ。『聖戦の鬼神』ならば、気配で人間か吸血鬼かの判別ぐらいは余裕だろう』


 本部の話し相手は、『影の大戦』の経験者でもある第四世代だ。日明の脅威は、身をもって知っているという。


『彼の性質上、あまり刺激しなければ問題はない。そこに気をつけて、監視を続行せよ。場合によっては、『オカルト研究部』の面々に、ある程度裏の事情を話しても構わない』

「……よろしいのですか?」

『場合によってはだ。可能なら避けろ。ただ、活動や日明の行動如何によっては、隠しきれないことも考慮せねばなるまい』

「それと、こちらからも質問、よろしいでしょうか」

『……なんだ?』

「シャミル・ジュリエッタの件、どうなりました?」

『現在捜索中だ。過激派に捕まったという報告もない。できれば、我々が保護して協力してもらいたいのだが……』


 シャミル・ジュリエッタ。四分の一が人間で、残りが吸血鬼の女性。

 彼女を調べれば、人間と吸血鬼の境界線を知ることも夢ではない。

 過激派もその能力を目当てに狙っていると聞く。なので、彼女はいつも狙われ、組織と言うものにアレルギーと呼べるものを持ってしまった。

 結果、彼女はどの組織も拒絶するようになった。戦いになれば、彼女の能力は『氷葬のアルテミス』にも勝るとも劣らない。残念ながら自分の所属する組織では、首領ですら勝てるか怪しい。


「……わかりました。報告を終了します」

『次の定時連絡はしなくていい、次の次にて、報告せよ』

「了解しました。我ら、再び日の当たる世界に戻れる日を」

『戻れる日を』


 その言葉を最後に、電話を切る。ふぅ、と一息ついて、振り返ったところに――


「お話はもう終わったかしら? 『吸血鬼』さん?」


 薄氷のような笑みを浮かべて、木下 楓が、距離を取って立っていた……


綾花「いつの間にか抜け出していたのですね……気がつきませんでした」

駿也「これ、一触即発ってやつじゃないの?」

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