四章―2 最後の部員
作者「今回も新キャラ出るよ!」
カエデ「ちょっと予定外だったらしいけど、上手く行って良かったね!!」
宗司が全員分の飲みものを買ってきて、皆で飲んだ。
ちなみに、宗司はペットボトルのお茶を買ってきた。当たりはずれのない、無難なところを買ってきたと言える。
「それで、これからどうする部長? 貴殿の目的は達成されてしまったのだろう?」
全員が揃ったところで、日明が問うた。
岩上 綾花の目的は、「佐々木小次郎」を名乗る吸血鬼との再会。それは昨日果たされたので、確かに今の彼女に目標はない。
「確かに、私の願望は果たされました。ですが、だからと言って部をやめていい理由にはなりません。このままネットで情報を収集しながら、まだ見ぬ怪異を探したいと思います」
「ガセと本物入り混じるネット情報に踊らされろってのか?」
「それも、一興だと思いませんか?」
宗司の抗議を、綾花は笑って返して見せた。そこに――部室の扉が開かれ、一人の女性が現れる。見たことのない顔に、何事かと全員が注目する中、綾花だけは違っていた。
「……ちゃんと部活動できているみたいですね、綾花さん」
「凛音先輩、様子を見に来てくれたのですか?」
「ええ、まぁそんなところです。しかし、副部長を見てびっくりしました。まさか、この学園の生ける伝説とも呼べる人物が務めているとはね」
「悪いか?」
鋭い口調で言われたのが気に喰わなかったのか、日明は露骨に気を悪くした。それを察した綾花がすかさずフォローを入れる。
「紹介します。この部に唯一残るとおっしゃってくれた三年生の先輩、『横山 凛音』先輩です。結果的に宗司さんが部に入ってくれたので、人数的には問題無くなってしまったのですが、彼女も立派な、我が部の一員です。三年生なのであまり時間はとれないかもしれませんが……」
「そのことについてなのですけど、朗報です。比較的早期に大学が決まりましたので、暇人になりました。その為、部活動に参加できます」
時期はまだ六月上旬である。本当に随分早く決まったものだと思った。
「……それってありなのか? ま、確かに暇かもしれねぇけど……基本的に三年生は部活に参加しないのが暗黙の了解っていうか、なんていうか……」
「私がいては迷惑ですか?」
「いや、そういう意味じゃねぇけどよ……」
頭を掻く宗司に、駿也が苦言する。
「宗司君、先輩なんだから、敬語使おうよ……」
「構いません。凛音でも、凛音先輩でも、好きなように呼んで下されば」
薄く笑みを浮かべて、凛音は言った。
フン、と日明が鼻を鳴らす。どこが気に入らないのか、彼は凛音のことをよく思っていないらしい。……駿也からみて、珍しい光景だと彼は思った。
「さて、凛音先輩も来たことですし、自己紹介をしておきましょうか。ちゃんとしたのはまだでしたよね?」
「……言われてみりゃそうだな。じゃあ俺から」
宗司が一歩前に出た。
「二年三組 出席番号2番 石原 宗司だ。趣味はゲーム及びゲーセン通い」
「同じく二年三組 出席番号19番 酒月 日明 ……まぁ知らぬ名ではあるまい」
「えっと……二年四組 出席番号6番、大仏 駿也 『大仏様』って呼ばれることもあるよ」
男性陣が素早く自己紹介を終わらせ、続いて女性陣のターンになる。
「何も、出席番号まで言わなくてもいいんですよ? 私はこの部の部長を務める、一年一組 岩上 綾花です」
「はいはい! 一年五組、木下 カエデと――木下 楓よ。二重人格者だけどよろしく、凛音先輩」
急に気配を変えた楓たちに驚愕しながらも、最後の凛音も皆に自己紹介した。
「……三年二組 横山 凛音よ。……こんなに賑やかなのは久しぶりね。この部に所属していたのは、みんなおとなしい子ばっかりだったから、ちょっと戸惑ってるわ」
「でしょうね……改めて、よろしくお願いします。みんな」
部長の綾花がそう締めて皆の自己紹介は終わる。
「うし! じゃあ情報室いこうぜ~!」
「ごめんなさい、ちょっと今日は用事が入っているの」
「ああ、本当に様子を見に来ただけでしたのですね凛音先輩」
「ええ、まぁ」
ポニーテールを揺らして、先に凛音が部室を出る。
――日明と楓が、最後まで注視していたのを疑問に思いながら、一同はパソコンのある情報室へと向かった。
作者「今回登場した新キャラは、キャラとしては方向性が決まっていたのですが、名前が未定のキャラクターでした。そこに、ノリの良いゲーム仲間の方が『出して』と言ったので、名前の一部をいただきこの名前になりました! 横山 凛音さんです!」
凛音「どうぞよろしく」