三章ー12 果たし状
作者「さぁ、そろそろ物語を動かして行きますかね!」
楓「苦手な戦闘描写が近いそうよ。また更新が遅くならなきゃいいけどね」
「……む」
その日、机をまさぐっていた日明が、小さく呟いた。
これから部活動で、駿也は二人で行こうとしていたところだったが、何があったのだろうか?
「日明、どうした?」
「……果たし状だ」
またか、と駿也は思う。
知っての通り、日明は人外じみた戦闘能力の持ち主だ。
故に、彼はこうしてたまに決闘を挑まれることがある。ある者は日明への屈辱を晴らすために、ある者は腕試しに、ある者は名を上げるために。
「差出人は誰だ?」
「……! スコット・ハミルトンだと……!?」
珍しく、日明が驚愕している。聞いたことのない名前だが、馴染みのある名なのだろうか?
「知り合いか?」
「ああ……弟子の弟子だ。西洋人のくせに長刀の扱いに長けていた。まぁ、弟子のジェイムスの与えた『幸運の蒼燕』あってこそだったが……生きていたとはな」
……つまり、日明は彼が死んだと思っていたのだろうか?
それに、弟子の弟子? そんなに歳をとっているようにも見えないのに?
やはり日明は――
「すまん駿也。今日は部活に参加できそうにない。私の予想通りなら……ベストコンディションで戦わねば負けかねん。日にちは今日の夜八時、ここから四キロの港前だ。それまでに完全にしなければ、まずい」
「……そんなに強いのか?」
「奴の得物が厄介なのだ。長射程な上、強度、切れ味も十分。破壊もできなくはないだろうが……以前戦った際も熟練していた故、破壊を試みれば即座に察知するだろうな」
日明は素手での格闘術に長けている。素手で剣道部の相手全員を、竹刀に接触せずに倒しきったこともある彼が、そこまで苦戦する相手とは一体……?
「そういうことだ、綾花によろしく伝えておいてくれ」
「わかった……行くからには勝てよ、日明」
「無論だ」
そうして、彼は夕闇の廊下に消える。駿也は逆方向へと歩き出して、その旨を部長に伝えることになったが――そこで一波乱起こることになるとは、この時は予想だにしていなかった。
宗司「にしても、果たし状とは古風な奴だな……」
駿也「日明はもう慣れっこだってさ」