三章ー3 少女
作「な、なんとか一カ月以内に更新……っ! 頑張った! 俺頑張ったよ!!」
日明「他の作者を見習え。このクオリティーならもっと効率よく上げている者もいるだろうに」
作「あ、相変わらず手厳しいお言葉で!」
最後に補給をしたのは、いつだろうか――少なくても3年は経ってしまっただろうか?
勢いで母の生まれ故郷である日本に来たのはいいものの、追手を振り切れたわけではない。自分は混血故魔力探知もされにくいし、補給も半月に一度で事足りる。それでも、資金はとっくに尽き、三年も補給がなければ流石に苦しくなってくる。都会にいたころには補給にはさほど困らなかったが、自分の容姿を目当てにしてくる輩が多すぎで気分が悪くなり、また、人の出入りも多いので「見つかる」危険も高かった。だから、なげなしの資金でここまで逃げてきたのである。
(お父さん、お母さん……もう、疲れたよ……)
彼女の足がもつれ、その場に崩れそうになった。その時――誰かが、自分の身体を支えた。
「……君、大丈夫?」
声は若い男のもの……いや、青年と言って差し支えないだろう。黒い学生服に身を包んだ男だ。どうやら目ざとく自分を見つけたらしい。
実際の所、あまり大丈夫ではない。食事は何日もとってないし、補給も碌にしていない。だけど……この男は味方だとは限らない。空腹で回らない頭でも、それぐらいは考えることができた。
「……平気、だから……離して」
「……とてもそうは見えないよ」
声がかすれてしまったのがまずかったか、男は手を離さなかった。
「……どうして今の状態になったのかは、聞かないよ。だけど、そうやって弱って苦しんでる君を、見捨てられない」
強い語調で言われてしまい、彼女は言葉に詰まった。半分朦朧とする意識の中で、彼女はぼんやりと考える。
彼は少なくても追手ではない。追手ならこんな状態の自分を即座に捕縛にかかるはずだ。わざわざこんなふうに救いの手を伸ばすはずがない。
下心で近寄ってきている可能性もあったが、それならそれで補給だけ済ませて逃げてしまえばいい。ついでに、財布からいくつかお金も頂いてしまえばいいだけだ。そうすれば食事もとれる。
そう算段をつけて――彼女は一言発した。
「……おなか、すいた」
「どれぐらい食べてない?」
「……五日ぐらい」
「わかった、とりあえず手持ちがこれしかないけど……食べる?」
そう言って彼が差し出したのは栄養食品、「カロリーボックス」のドライフルーツ味だ。手軽に栄養がとれる食品として、彼女も何度かお世話になっている。一箱差し出されたので、それをおずおずと手にとる。
銀紙をはがしている最中、男が彼女に聞いた。
「嫌なら、言わなくてもいいんだけどさ……名前、教えてくれる? 僕は、大仏 駿也」
しばし迷い……しかし碌な偽名も思いつかなかった彼女は、おとなしく本名を教えることにした。
「シャミル……シャミル・ジュリエッタ……」
そっと口にブロック状の食品を運ぶ。
ひどく乾燥していて口が渇いたが、久々の食事に涙腺が緩んだ。
「家についたら、もっとちゃんとしたもの食べさせてあげるから。母さんに電話するよ」
「一人暮らしじゃ、ないの?」
「一軒家にほとんど母さんと二人暮らしだよ。父さんは海外で仕事してるんだ。ちょっと裕福な家庭だから、部屋は余ってる。その部屋に今日は泊まって」
「……いいの?」
「言ったよね? 見捨てられないって」
……食事だけではなく、今日の宿まで提供してくれるらしい。一瞬不安になったが、真剣なそのまなざしに――彼を信用してもいいような気がしてきた。
「……ごめんなさい。私みたいなのが――」
「それ以上は言わないで。それに、こういう時は、ありがとうって言ってほしいな」
優しい彼の言葉。けれども彼女は――ごめんなさいとしか言えなかった。なぜなら自分はきっと、他人を不幸にしてしまうから。
だから、彼のことも不幸にしてしまうだろう。長居は避けなければならない。
ゆっくりと彼に手を引かれながら――少女は彼の家へと歩いていった。
作「やーやっと新キャラ出せた! これで色々と絡みやすくなりますね!」
シャミル「え、えっと……初めまして……」
作「ま、シャミルは僕の元が元だから、あんまりいじめないでくれると嬉しいな」
シ「絡みやすくなるって……? どういうこと……?」
作「いや、この前書きとあとがき書くのにキャラが五人……二重人格の方のカエデさん含めて六人しかいないんですよ? 構成が大変で……」
綾花「それもこれも、作者が進行するのが遅いのがいけないのです! それはともかく、これからお話が動きそうですね」
作「そのためのフラジールです」
駿也「訳がわからないよ」