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広イセカイと狭イテノヒラ  作者: 北田 龍一
まだこの作品が小説だったころ
1/43

一章 桜の散った学園にて

はじめまして? 作者です

今回が初投稿となるので、いろいろ見づらいかもしれません。

また、小説ド初心者なので誤字脱字などがある可能性があります。

なので、生温かい目で見ていただければ幸いです

あと、まずいないと思いますが、「この小説見たことあるような……?」という方は、あとがきを見てくださいね

さて、前振りが長くなりましたが、そろそろ本編始めます~

どうぞ!

「彼」に会ってから10年以上たった

 それ以来一度も会ってない

 だって、「彼」と私は他人だから

「彼」はもう、私のことなど忘れてしまっているのかもしれない

 私も記憶が曖昧で、よく思い出せない

 それでも「彼」を探したい

 会って、「彼」に私の――


                          ***


 若葉のみとなった桜が下校していく生徒たちを見下ろしていた。

 少しだけ赤みのかかった日差しが、学校全体を包み込む。

 その校舎の窓辺に一人、男子生徒が目を閉じて座っていた。

すう、と背筋を伸ばし膝に手を置いたままで。

 彼がもし座禅を組んでいれば、瞑想に見えただろう。慰霊碑の前だったなら、黙祷を捧げているように見えたかもしれないが……しかし、彼は何者にも祈りを捧げてはいない。誰もいない教室で凛と、眼を閉じたまま座っていた。

 その空気を――静寂を破るように、教室の戸が開かれる。

 現れたのは別の男子生徒。気まずそうに、困ったように扉をあけた。

「私に何用だ? 先に言っておくが、荒事は先週やったので断るぞ」

 座っていた男は振り向きもせず、ゆっくりと目を開いて答えるのであった。


***


 彼が扉を開く前、ホームルームの鐘が鳴ったころ

 授業から解放されたクラスメイトを尻目に、彼は――大仏駿也(おさらぎしゅんや)は悩んでいた。

 食堂で昼食を摂ろうと廊下を歩いていたところ、必死になって部員勧誘をしている女子生徒を見つけたのが、この悩みを抱えるきっかけである。話を聞いてみるとどうやら彼女はオカルト研究部の者で、このままだと部員の数が足りないため部がとりつぶされてしまうらしい。

 彼女を助けるために、とりあえず自身は入部することに決めたのだが、それでも人数が足りない。友人に当たってみたものの――ことごとく断られてしまった。

 既に駿也は二年生。大半の者は他の部活動を行っているため、協力しようにも時間がとれないとのことでだめだった。時間に余裕のある帰宅部の人間にも声をかけたが、「オカルト研究部」と聞いた途端みな敬遠してしまう。誰一人新入部員をつれていけないまま、ホームルームが終わろうとしていた。

 ただ……まだ同学年で一人、誘っていない人物がいる。何故声をかけなかったかというと、彼を誘っても断れると思っていたし、何より彼は有名すぎたからだ。

 その人物の名は、「(さか)(づき) 日明(あきら)」という。付いたあだ名は「鬼神」、「現人神」「生きた図書館」など他多数があり、挙げていたらきりがないだろう。喧嘩は無敗。昔、日明一人に対して四十人ほどが集まり戦いを挑んだにもかかわらず、日明はその四十人を一人残らず蹂躙したらしい。他にも、ほとんど机に突っ伏しているにもかかわらずオール5だったりと、頭もどうかしているんじゃないかと言われている。彼は昔、さまざまな部に入って活動していたのだが一か月と経たないうちにやめてしまい、今はたまに助っ人として動いているようだ。理由は「真剣にやれるほど興味、及び関心を持てない。要するに飽きた。たまになら協力してもいい」と言っていた。

一年生の時、日明とは同じクラスでよく話をしていたが、正直な所、日明が部に入ってくれるとは思っていない。彼は関心のあることか、利益になること以外は行わない性格なのだ。彼の姿を何度も見ているので、駿也はそのことを理解している。しかし何もせずに諦めることもできず――下校していく生徒の流れに逆らうように、日明のクラスに足を運んだ。

 物音ひとつない教室に、開かれた戸の音が反響する。窓際の席で、目を閉じて座っている人物が目に入った。彼の髪はやや乱れているが、それとは対照的に制服は乱れ一つない。

 間違いない。彼こそ酒月 日明だ。

「私に何用だ? 先に言っておくが、荒事は先週やったので断るぞ」

 彼が言葉を発した瞬間、教室の空気が変質した。急に重みを持ったように、ソレは駿也にふりかかる。ただの『気迫』なのだが、顔を見ていないのに駿也は僅かに気圧(けお)された。


「……相変わらず威圧するんだな、日明」


 最も駿也はこれに慣れているため、多少なら問題ない。今のは強面の人と対峙した時ぐらいの重圧だろう。平穏な空気に比べれば重いが、殺気まではいかない。


「相手がどれほどの覚悟で私に頼みに来たのかがわかるからな。まぁ、貴殿は慣れている(ゆえ)あてにならんが……何用だ? 駿也」


 顔を見ずに名前を当てたり、言い方が古くさいかったりと、日明の感覚は常人とはだいぶ離れている。どこの武士だよ!? と内心つっこみつつ、一息ついてから駿也は本題に入った。


「ある部活に入って欲しい。ずっといなくてもいい! とりあえず今のままだと部が潰れちまうから、人を集めねぇとってだけだ。オレも入ることにしたんだけど、それでも人数が足りなくて……」


 ふむ……と日明は思いふける。少しの沈黙を経て、困惑しながら彼は言った。


「いったい何部だ? 早急に部員を追加しなければならない部は、私の記憶にはないのだが……」

「オカルト研究部だ。日明が知らないのも無理ないぜ? オレも今日、声かけられて初めて知った」


 渋面のまま、日明は言う。


「初めて知った部にそのまま入るとは……誘ったやつが駿也好みだったのか?」

「違げぇよ。放って置けなかっただけだって」


 淡々と答える駿也に、暁が薄く笑った……ような気がした。

 傍から見たら、口を吊り上げているようにしか見えないだろう。少しも付き合っていなければ、警戒したかもしれない。歪な表情ではあるが、普段あまり感情を表に出さない日明の数少ない「表情」だ。ちなみにこの表情は軽くからかっているか、少しふざけているかである。


「無意識に好きになっているのかもしれんぞ? 始めはそんなもんだ」

「興味ないんだけどな……そういうの」


 二の句を継ごうとして、駿也は話が逸れていることに気がついた。こんな話をしに来たのではない。風呂から出た犬のように首を振ったあと、改めて日明に頼んだ。


「それはともかく暁、オカルト研究部に入って……」

「了解した。では案内を頼む」


 即答で了承する日明。


「そうだよな。やっぱ無理……っていいのかよ!? ちょいと怪しい部だぜ!?!?」


 てっきり断られると思っていた駿也に対し、日明は憮然と答える。


「少し怪しいぐらいがちょうどいい。面白そうだ。お前の嫁に会うのも楽し……」

「その話から離れろおおぉぉぉ!!」


 廊下にも間違いなく聞こえるであろう大音量だったが、幸いにも周囲に人気はなかった。聞かれていたら、あっという間に野次馬に取り囲まれていただろう。

 一方日明は、「そこまでムキになることも無かろう? 照れ隠しか?」と、冷静に切り返す。……どうやら、彼は本気で言っているようだ。

 ここで言い合っても埒があかないので、部室である生物実験室に日明を案内しながら、二人は話を続ける。だが、話題は嫁がどうとか、恋とは何ぞやらなど、男女関係に重点を置いた話題から離れることはなかった。それを必死になって否定する駿也の胸中には、いやな予感がしてきている。


(あの娘に会わせても大丈夫か? 日明はこの手の話題振らないだろうな!?)


 残念ながらこの勘は、後に大当たりしてしまうのである。


***


 桜谷高校、東棟二階――

 そこには、二つの実験室がある。

 一つは化学薬品や実験器具が置いてある化学実験室。もう一つは、ホルマリン漬けや骨格標本などが立ち並ぶ生物実験室だ。

 放課後の東棟にはあまり人気がない。実習室しかない棟のため、吹奏楽部が音楽室を使うぐらいしか、人が来る理由がないのである。だが今日は……二階廊下の突き当たりにある生物実験室の電気がついていた。もちろん、誰かの消し忘れではない。室内には、女子生徒が二人いた。そのうちの一人が、不安そうに、どこか苛立ったような声を発する。


「遅いですね……何かあったのでしょうか?」


 険の強い声色と、第一ボタンまで締められた半そでのワイシャツ。もちろんスカートも長めである。身長は女性にしてはやや高めで、百七十センチはありそうだ。顔には黒縁メガネをキリッとつけている。彼女の姿を一言で表すなら、「メガネ委員長」と言ったところだろうか。


「きっと他の生徒さんたちにも声をかけてくれてるんですよ~あせっちゃダメダメ」


 もう一人の彼女は、メガネ委員長とは対照的に明るく楽しげで、それでいて周囲の人間を和ませる雰囲気を持った声だった。

 緩やかなウェーブの掛かった茶髪に、大きな二重の瞳。寝癖をそのままで来たような乱雑で、どこか稚気を含んだ髪形。肌は陶磁器のように白く――はないが、年相応には艶めかしい。


「それにその先輩だけじゃ人数が足りてないんでしょ? だったらここは、レッツ希望的観測!!」


 それでいて軽い天然とも取れるこの言動。大半の男は一週間ともたないだろう。メガネ委員長の知るよしもないが、彼女はまだ入学して一カ月ほどにもかかわらず、既に三回ほど告白されている。もちろん結果は全員玉砕だ。


「それは、そうなのですが……」


 彼女の言った人数が足りてないとは、部活動に最低限必要な頭数のことである。

 現在オカルト研究部には三人所属している。堂々と希望的観測を宣言した「木下きのした カエデ」と、メガネ委員長こと「岩上いわがみ 綾花あやか」残り一人は、去年まで部活動を行っていた三年生の先輩である。この先輩は実質名前だけで活動するつもりはなかったのだが、綾花が何度も頭を下げてなんとか部に残ってもらっている。しかし、このままでは二人足りない。最低でも部として動くには、五人以上でなければならないというのが本校の校則なのだ。

 昼休みに一人だけ、入部してくれるという先輩がいたのだが、その先輩はまだ来ていない。時間はもう四時過ぎで、とっくの昔にホームルームは終わっていた。忘れられたのかもしれないとも思っているが、それでも綾花は諦めたくなかった。


「そういえばカエデさん。どうしてこの部に入部しようと思ったのですか?」


 不安を紛らわすようにカエデに声をかける。もちろん、純粋にカエデの入部理由を聞きたいというのもあった。


「ん~誘っている綾花ちゃんがあまりにも健気だったもので、つい入っちゃった」


 どこか子猫を思わせるしぐさで無邪気に答える。その動作は同姓の綾花も、思わずドキリとしてしまうような可憐さを漂わせていた。


「そんな理由でいいのですか? まあ、私としてはありがたいのですが……って聞いてます!?」


 綾花が怒る理由。それはカエデが全力でそっぽを向いていたからだ。気がつけば、廊下のほうに注意を向けていて、こちらの話は全く聞いていなかった。

 そしてカエデは唐突に一言


「……こっちに誰か来てる。一人じゃなさそうね」

「え?」


 あまりに突拍子過ぎる発言に、綾花の思考が停止する。発言そのものも突拍子だったが、なにより今の口調は彼女らしくなかったような気が……


「遅れてきたバツゲェェェェーム! 必殺黒板消し!!」


 そういうとカエデは軽い身のこなしで引き戸に近づき、黒板消しを挟み込む。ヒーロー番組の悪役がワナしかけたような笑みをこぼしていて、ご満悦の様子だ。それと同時に、誰かの足音が廊下側から綾花に聞こえ始めた。

……先ほど違うように見えたのは、綾花の気のせいだろう。


「さあ先輩方、肺に悪いチョーク粉の黙示録に恐れ慄くがいい!」

「後でどうなっても、私は知りませんよ?」


 コツコツと廊下に響く足音を気にしながらも――正確にはこの後の顛末を予測しながらも、綾花は放っておいた。

 一方カエデは、今度はタフガイのように渋く言い放つ。


「フッ、これぐらいはご愛嬌さ……それに、この程度のブービートラップに引っかかるようなアマちゃんじゃあ、この先の戦場を生き残れない……これに引っかかった(あかつき)には、潔くこの部から身を引いてもらうぜ!」

「戦場ってどこですか!? というか部員数が減ってしまったら本末転倒でしょう!」

「やーそうだったね~ゴメンゴメン。今のナシ! 取り消します!」


 そうこうしているうちに――扉が開かれ、黒板消しが落下した。

 入ってきた先輩は何の警戒もしていなかったようで、頭の上にポス、と見事なまでに黒板消しが直撃。少しの間、呆然として……


「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!?」


と古臭いリアクションを決める。そして、お気の毒な先輩の裏にいたもう一人が、唐突に顔を出してつぶやいた。


「気がついていなかったのか……しかしこの程度で良かったな。ここがもし戦場だったら、今ごろ貴殿は木っ端微塵だぞ? 駿也」


 なんとなく、軽いデジャヴ。原因はこれを仕掛けた天然娘(カエデ)との会話のせいだろう……。


「気づいてたなら教えてくれよ……」


 一方、黒板消しを食らった先輩の頭は見事にスノーマン化。どんよりと重い空気を周辺に漂わせていた。

それに対して、


「Yes!! クリティカルヒット!」


 この程度のブービートラップ、と言っていたわりにカエデは大はしゃぎで、ガッツポーズをきめている。先輩を舐めているのか、あるいは根っからの天然なのかよくわからない言動だが、おそらくは後者だろう。

静かに片手を掲げてカエデは続ける。


「この出来事はオカルト研究部員の魂に強く刻まれ、未来永劫語り継がれるだろう……! そう!! 『オカ研の雪男(イエティ)』として!!」

「意外と普通だな……とはいえ、そんなあだ名で呼ばれたくはないが」

「どこが普通か説明してくれ日明!!」


 初対面で悪ふざけしたにもかかわらず、カエデと先輩達の会話は弾んでいる。悪い傾向ではないと思うが、しかし……綾花にとって、この展開は腹が立った。

 既に時刻は四時二十分を過ぎていた。あまり遅くに帰りたくはないし、何より部活届けを受け付ける時間は五時までだ。なんとか人数は揃ったのだが、やらなければならないことはいくらでもある。にもかかわらず……三人で和気あいあいとしているのは気に入らなかった。そんな綾花の心情もお構いなしに、三人は話を続ける。しばらくは綾花もこらえていたが……すぐに爆発。身近にあったテーブルに腕を叩きつけた。

 走る衝撃。硬直する三人。そして綾花は叫ぶ


「いつまで三流コントをしているのですか! ここは漫才部ではありませんよ!? それに、ただでさえ先輩方は遅れてきて時間が押してるのです。無駄話はあとにして、部のことを優先してください!! 部活届けの受付時間が過ぎてしまったらどうするんです!?」

「ひえっ!? 綾花ちゃん怖っ!!」

「わ、悪ぃ……」


唐突に放たれた咆哮に二人は身を震わせた。

しかし先輩の一人は、


「……確かにそのとおりだな。失礼した。では、我々は何をすればいい?」


 淡々と物怖じせずに答えた。その動作は全くといっていいほど落ち着いていて、恐ろしいほど――何の動揺もせず、どこか感情が欠けたような表情だったが――理性的な空気をかもし出していた。彼に促され、綾花は口を開く。


「とりあえず、副部長を決めなければいけないので、まずそのことを話しましょう。そのあとで、先輩方にはこの紙に名前を書いてもらいます」


 そういって懐から「入部届け オカルト研究部」と書かれた紙を先輩たちに差し出した。


「ちょっと待ってくれ。副部長の前に部長を決めなきゃいけないだろ。でも、その前に自己紹介しないか? 相手がどんなやつなのかもわからないのに、部長とか決めるのはちょっとな……」


 未だに残る白い粉を振りまきながら、先輩の一人が言う。そのとおりだと綾花は思ったが……もう誰が部長をやるかは、彼女の中では決まっていた。


「部長は私がやります」


 生意気かと思われるかもしれない。何か言われるかもしれない。

それでも……この役目は自分がするべきだ。

でなければ、私は「彼」に顔向けができない。


「「え!?」」

「理由を聞きたい」


 動揺するカエデとスノーマン先輩に対し、やはりもう一人の先輩は冷静だ。淡々とこちらに問いかけてくるその姿は、ぎこちない機械のようにも見える。


(一体何なのでしょう? この人……)


 彼から奇妙な違和感(プレッシャー)を感じたがそれは問題ではない。綾花は自身を落ち着かせてから、ゆっくりと理由を述べた。


「この部を維持したいと積極的に動いたのは私です。先輩方やカエデさんは……私が行動を起こさなければ、この部には入らなかったでしょう。ですから、私がここで責任を取らないと……つまり部長にならないと筋が通らない。と思いませんか?」


視線を外さずに、彼としっかり向き合って答えた。


「……驚いた。政治家が堂々とマニフェストを曲げる時代に、未だに道理を通そうとする者がいるとは……」


 その時の彼の変化は、何と言えばいいのだろうか? 口調は少しばかり柔らかくこそなっていたが、表情が……誰がどう見ても“顔を歪めて”いたのである。思わず綾花は半歩後ろに下がり、先輩を警戒する。カエデは大丈夫だろうかとそっと視線を移すと……何故か彼女は柔らかい笑みを浮かべていた。

 そして、綾花にとって信じがたいことを口にする。


「綾花ちゃんよかったね!! 先輩に褒められよー!! じゃあ先輩、綾花ちゃんが部長になることに賛成ですか!?」

「そう思ってもらって構わない。貴殿には聞くまでもなさそうだが……駿也はどうだ?」


 あっさりと先輩は綾花を褒めたことを認め、スノーマン先輩にも意見を求めていた。


(今の表情で褒められたと言われても、わからないですよ!)


 内心怒りを覚えながらも、そこでふと気がつく。

 なぜカエデは、彼が『褒めている』ということがわかったのだろう?


「俺も異議なしだ」


 彼を連れてきたスノーマン先輩が動揺していないのは分かる。声をかける間柄なのだから、つきあっているうちに解るようになったのだろう。カエデと先輩は知りあいなのだろうか? 


「というわけで、オカルト研究部の部長は『岩上 綾花』に決まりました~!!」


 しかしカエデの性格を考えると、知っている人間だったらすぐに声をかけそうな気も……


「あ・や・か・ちゃ~ん!! 聞こえてる!?」

「え!? すいません、考え事をしていて……何を話していたのですか?」


どうやら気づかないうちに話が進んでいたらしい。先ほどのこともまだひっかかっていたが、それよりも今は部のことを優先するべきだと自身に言い聞かせて、もう一度何の事を話していたかを聞いた。


「部長はまかせたって話をしてた。もしかして日明の表情がわからなくて混乱した? あいつは表情を作るのが苦手みたいで……俺も最初は戸惑った」


言っていることは理解できた。できたのだが……今の会話の中にある人物の名が含まれていたせいで、綾花はさらに混乱していた。


「あの、先輩。少し気になったのですが、アキラってまさか……あの人じゃないですよね?」


表情が欠落していて、男性な上に名前が「アキラ」

 その人物には一人心当たりがある。この学校の生ける伝説と化していている男とぴったり一致していた。偶然の一致と思いつつも――こんな辺境の部に来るはずはないと思いながらも――恐る恐る、先輩に聞くと、


「たぶん想像どおりだと思う。クラスメイトや友人に声をかけたけど、入ってくれるやつが日明だけでさ。でも、噂ほど物騒なヤツじゃないから。日明独特の動作とか雰囲気があって、慣れるの大変だとは思うけど」


 さらりと先輩は答えたが、綾花は動揺を隠せない。


(無理言わないでください。あの『鬼神』が目の前にいるんですよ!?)


 噂によるとたった一人で百人を戦闘不能にしたり、彼を不意打ちした者の骨をあっさり折るなど、人間離れした能力を持っている上に残虐非道と聞いていた。今までの言動を見る限り、噂よりはまともそうだが……


「正体を知った途端警戒か。しかしさほど怯えていないあたり、なかなか精神(メンタル)面は強いようだな。それとも、大した噂を聞いていなかったか?」


 半ば呆れたように、しかしさほど気を悪くした様子もなく『アキラ』は答える。

 だが下手に機嫌を損ねれば、何をされるかわからない。彼と対峙しているという衝撃に揺られながらも、綾花は慎重に言葉を紡ぐ。


「一応、あなたに関するうわさは聞いています。どうしてこんな部に? あなたは確か、すべての部に入部したのち退部したと……」

「ところが、すべてではなかったようでな。この部はまだ入部していない故、どんなものかと思ったのだ。まあそれ以外の理由として、駿也の見初めた相手がどんなものかと知りたかったのもあるのだが……」

「は?」


 前者は彼の逸話のうちのひとつだ。それなら……それだけならまだ、綾花は動揺せずにこの話題を終わらせることができたのだが、『見初める』という言葉を放っておくわけにはいかなかった。

 この発言のあと、ある人物がとたんに顔を白黒させ……そして、慌てて弁解を始めた。


「っつ!? だから違うって言ってるだろ日明!! 無視されるこの()を見ていられなかっただけで……」


 必死に話すスノーマン……またの名を駿也だが、最後の発言は十分「惚れたから」と、とられる言葉だろう。案の定、綾花は赤面しながら絶叫する。


「は、ははは、はははは破廉恥な!!!! そんな下心をもってこの部に入部したのですか!?!?!?」


 正直なところ、「帰ってください!!」と二の句をつぎたい綾花だが、部員の数が定員ギリギリのためなんとか堪えた。ここで本当に帰られたら元も子もない。

 羞恥と怒りで真っ赤になる彼女を見て、どこか残念そうに日明がつぶやく。


「そこまで拒絶されるとは……相性も悪くないと思ったが、どうやら彼女の心には先客がいるようだぞ? せいぜい泥沼化しない程度に横恋慕しているがいい」

「……お前、半分遊んでいるだろ……?」

「失礼な。鮮血の結末に巻き込まれないように忠告したつもりである。そのように言われる謂れはない」

「話をこじらせといてよく言う……!!」


 わなわなと握りこぶしを振るわせる駿也。

 

 この混沌とした教室に――


「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 更なる混沌が、訪れた。


 三人が慌てて振り向くと、先ほどの綾花とは逆に真っ青で叫んでいた、「木下 カエデ」がいた。


「今何時!? だいたいね~とかはなしの方向で! ホントに何時!?」

「今は四時四十分二十秒三てん……」

「そこまで正確じゃなくてもいいですよ先輩!! どーしよ……急がないと閉まっちゃう!!」

「だいたいが駄目というから正確に言ったのだが……」


 微妙に落ち込んでいる日明を尻目に、カエデはさっさと荷物をまとめて走り出した。


「急にどうしたのですか、そんなに慌てて……」

「私、一人暮らしなの! それで、今日中に銀行にいってお金をおろさないと、生活できなくて、その銀行は五時までしかやってなくて!! というわけでとにかくサヨナラ!!」


 よっぽど慌てているのだろう。支離滅裂になりながら、彼女はそれだけ言って出て行ってしまった。


「待ってください! 副部長と自己紹介は!?」


綾花も引きとめようとしたが、あっという間にカエデは小さくなって見えなくなった。


「自己紹介をしたいなら……カエデさんだっけ? あの子に追いついて、その後に帰りながらすればいいんじゃないか?」

「で、でも副部長は……」

「私がやろう。一年間この部に拘束されるのは不服だが、他に入る部もない故、特に問題なかろう」


 駿也がさらりと提案し、日明がしっかりと綾花に答える。会話をしながらも、日明は部員用紙に記入を始め、駿也もそれに続く。


「不服といいましたけど……副部長になったからには、しっかりやってもらいますよ?」


 からりとヘンが転がり、日明が駿也の紙を受け取った。


「問題ない。――部長殿、貴殿の用紙を渡してもらえるか? 私が職員室に出してくる。貴殿らは先にカエデのもとに行け。私は後から行く」


 綾花は自身の紙と、あらかじめ預かっていたカエデの用紙を懐の内ポケットから取り出した。


「大丈夫ですよね?」


 紙を彼に渡しながら、静かに綾花は問いかける。

 なりゆきとはいえ「鬼神」と呼ばれた男を副部長にするのだ。抑えがたい不安と、拭いきれない恐怖が、その言葉を紡ぎだしたのかもしれない。

 それを悟ったのか……男は、ほんの少しだけ抑揚を込めて言った。


「恥になるようなことはしない。安心しろとは言わないが、道理を通そうとしている者に手は出さんと言っておこう」


 そう言って日明は紙を受け取り、職員室へと向かう。


「おれたちも行こう」

「ええ!」


 綾花と駿也は、下駄箱へと駆ける。

 こうして慌ただしく、放課後は過ぎていく――


一章完


 どうも、作者です。

 しかし、どうしたものですかね。実はあとがきを書くの初めてなんですよ。こんなあとがきでいいのかな~と思いながら、でもやっちゃいます。

 作者はあとがきのモラルっぽいものを生け贄に捧げ、作者の脳内世界とあとがきをつなぐ『ピンク色の四角いドア』を発動!

 この効果により、作者の脳内世界から『岩上 綾花』をここに召喚! 

 ギィィィィィィ……(扉の音)

綾花「作者さん、呼ばれていきなりなんですが……このあとがき、大丈夫ですか? ネコ型の機械人形に拉致されたり、王様に心を砕かれても知りませんよ?」

作者「そしたらある意味貴女も道連れですね(笑)」

綾「笑いごとじゃありません! ただでさえ、あなたはこの部に入部してから小説を掲載したのがこれが初めてなんですよ!? もう入部して一年もたったのに……」

作「す、すいません……ネットやったり、ゲームやってたり小説読んでたりで進まなくって……」

綾「つまりグダグダだったってことですね?」

作「ひえっ!? 綾花ちゃん怖っ!」

綾「それはカエデさんのセリフです! 男のあなたが言っても気持ち悪いだけですよ」

作「い、いやハンター稼業に手をだしたらハマってしまいまして……ちなみに名前は「kraft」です、ガクホで見かけたらよろしくお願いします」

綾「社員ですかあなたは。もうあとがきも既にぐだぐだですね……」

作「これくらいぐだぐだの方が会話っぽいですってきっと。しかし、こうも私からかけ離れるとは思いもしませんでしたね~」

綾「何が言いたいんですか。それだけじゃ伝わりませんよ? 後半の文章みたいに、描写不足にならないでください」

作「慌てて書いたんだから仕方ないじゃないかー! まあ、それはおいといて、先の発言ですが、メインとなったキャラたちには、『作者』の思想がかなり反映されています」

綾「それってどの小説でも同じことだと思いますけど?」

作「それもそうなんだろうですけどね~メインキャラのみなさんには、私が重要だと思っている精神の部分を組み込んでいます。もちろん、一人に一つか二つずつですけどね。全部だと作者になっちゃうんで。

あ、でもこの説明でいくと、綾花さんは少しイレギュラーになりますね。貴女には『過去の私』の思想を組み込んでいるので、今の私にとっては、さほど重要ではない部分ですね」

綾「でも、覚えてはいるのですね。ということは、昔作者は私のようだったのですか?」

作「それが違うんですよ。創ったころは、似たようなものだったのですが、色々な状況下にぶち込んで経過観察してみたら、委員長タイプになってました。作者は軽い対人恐怖症持ちなので、内心では綾花のようなことをぼやきつつ、傍観していることが多かったですね」

綾「それが、『かけ離れた』ということなのですね」

作「ええ、なかなか新鮮な体験? ができましたよ。自分の感覚を持っていたはずのキャラクターが、自分と別のキャラクターになっていくのですからね~」

綾「気分良く話しているところ悪いのですけど、文字数見たらどうです? 作者さん」

作「もうこんなに書いてやがる! 本編もこれぐらいのペースで書ければいいのに……」

綾「本当にそうですね。次は速く書きあげてくださいよ?(じろり)」

作「は、はい……がんばります。それではみなさん、また次回にお会いしましょう! 拙い作品を読んでくださり、ありがとうございました! これからもよろしくお願いします!」





作「まだだ! まだ終わってなーい!!」

綾「!? どうしたのですか急に」

作「フフフ……ここから先は追加シナリオというやつですよ」

綾「……ほとんどの人が初見でしょうに」

作「たぶんそうでしょうね~ えっと、説明するとですね。私、大学の文芸サークルにて小説を書いていまして、そいつをちょっと修正して上げたのが本編ですね。あとがきはコピペです」

綾「いろいろ訳のわからない単語も出ていますからね。入部や、ガクホなんて単語、読者は首を傾げますよ? 修正して出した方がいいのでは?」

作「俺は面倒が嫌いなんだ」

綾「……ひどい作者ですね。ほかにも罪状はありますよ?」

作「……え?」

綾「しらばっくれないでください。早く書いてくださいって言ったのは確か五月のはずでしたよね?」

作「あ……えっと……」

綾「半年経ってやったことが一話を少し修正しただけをネットに掲載。で、二話の方はまだ半分も書いていない……と。何をしていたんですか」

作「……ネット、ゲーム、マ(ry ですね」

綾(だめだこの作者……早くなんとかしないと……)

作「で、グダグダなったので、ネット掲載して評判を聞いてみようかなと思ったんですよ。読者の声が一つも聞こえないのは寂しいですからね」

綾「……言いたいことはそれだけですか?」

作「って、なぜ仁王立ちしているんですか……綾花さん?」

綾「なぜって……それはもちろんお仕置きですよ……あなたがさぼった半年間、鍛えていた甲斐がありました」

作「なお、ここに出てくる綾花はイメージであり本編とは一切関係がありま……」

綾「読者に親切をしてごまかそうという魂胆ですか? そんなことをしても意味はないですよ……北斗……」

作「ちょっ!? なんであなたがそれを使えるんですか!? 明らかにイメージあわな…… ってこっちにくるなァー! ヤメロー! シニタクナーイ!!」



              う  わ  ば  ら  !



綾「お仕置きはしておきましたが、懲りずに遅くなる可能性もあります。そういう作者ですが、感想は待っているそうです。……ずうずうしい。では、いつになるかわかりませんが、次回までお別れです。ありがとうございました」

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