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初めての剣対魔法

今回は嵐の前の静けさです。次話話が進みます。多分。(笑)

「…うん?もう朝か…」

疾風は窓から降り注ぐ陽光により、目を覚ました。

「今までのは夢だった…なんてのは無いよなやっぱ」

自分の起きた部屋を見渡す。先日女王にあてがわれた部屋だった。

「…これもお約束だよな」

ドタドタドタドタ!やはり聞こえてきた。バァン!と勢い良く扉が開かれ、

「おっはよー!お兄ちゃん!」

やって来たのはなんとミュールだった。

「お早う。ミュール」

「さ、稽古しようよ」

「俺は剣の稽古したいんだが」

「良いよ。私の魔法対お兄ちゃんの剣。どっちが優れてるかやってみない?」

「面白そうだな。一丁やるか!」

「そうこなくちゃ!」嬉しそうなミュール。其処へ、

「お兄ちゃんと稽古するのは私~!」

と、茜が部屋に入ってきた。

更に、

「私も混ぜて下さいませ~!」

と、アイリス迄やって来た。

「おいおい、流石に三人は無理だよ」

「なら2対2でやれば良いんですわ」

「じゃあ俺のパートナーは…」

「はい!」

と、三人が一斉に手を上げた。

三人は視線で火花をバチバチさせながら此方を向いた。

「この中から」

「選んで下さいませ!」

「…オニイサマ」

俺は戸惑った。魔法2は避けたい。しかし、茜の本気も避けたい。う~む…どうしたものか。

「じゃあローテーションで良いかな?」

「ボクは構わないよ」

「私もですわ」

「…シカタナイデス、オレテアゲマスワ」

「OK、なら今日は…アイリスにしようか」

「きゃ~!やった…コホン、と、当然ですわ!」

一瞬喜びかけ、言い直した…何故だ?

「魔法ってのがどんなのか知りたいし。丁度良いかと思ったんだが。このメンバーで良いか?」

俺は一応皆に聞いてみた。

「仕方ないけど、お兄ちゃんが決めたなら私は良いよ」

「…ナットクイキマセンガ、リョウカイデス」

「私は全然OKですわ!」

ふむ、反対意見は出なかったのでこれで行く事にする。

「良し、着替えて外に出るか」

…またか。

「えっと、着替えるから先に外で待っててくれ」

「あ、ごめんねお兄ちゃん」

「ご、ごめんなさいお兄ちゃん!今すぐに!」

「あ、あらやだ私ったら。気付きませんでしたわ」

…絶対狙ってやってるなコイツ等。まぁ、言わないけど。

―――

着替え終わり、外に出たら、

「遅いですわ!」

「スマン、アイリス。遅くなった」

俺は遅くなった事の謝罪をした。

「じゃあ始めようか?2対2の稽古を」

俺達は事前に決めていたメンバーに分かれ、距離を取り、向かい合った。

「「「「お願いします」」」」

四人同時に言い、稽古が始まった。

「余りに強いのは使わないでくれよ?死にたくないからな」

一応念を押した。と、同時に俺は駆け出した。先ずは茜を戦闘不能にすれば戦況は此方が有利になるとふんだからだ。しかし、相手も同じ考えらしく、茜も俺を狙って来た。

「今度は負けないよ!」

「また勝ってやるさ!」

俺と茜の木刀が打ち合う。両者の力が拮抗している為、鍔迫り合いに成るのは常である。しかし、異様な気配を察知し、二人同時に後ろに跳ねた。直後、俺達が居たところに氷の矢が三本突き刺さっていた。

「ひゅ~あっぶね」

「ちょっと!今私ごと狙ってたでしょ!」

「偶々だよお姉ちゃん…ちっ外れたか」

最後の方は聞こえ無かったが、多分狙ってたのだろう。

「しっかし、そうゆうの見ると魔法って感じだよな」

「私は死にかけたけどね!」

「大丈夫だよ。体温で溶ける氷だから」

そんなの実戦で使えないんじゃ…

「実戦ではちゃんと刺さる氷の矢を作るから大丈夫」

…それはそれで怖い。ふとアイリスを見ると、

「…時の精霊パラダイムよ。汝の力を貸し与え賜え。我の敵に時の戒めを!」

「あ、茜お姉ちゃん、アイリスお姉ちゃんの詠唱を止めて!」

「分かったわ!」

しかし、時既に遅し。

「タイム・コールド!」

瞬間、茜とミュールの動きが止まった。

「お、おい、アイリス。どうなってんだ?」

「二人の時を止めたのですわ。早く二人とも地面に転ばしなさい。これは魔力を凄く消費するのですわ」

「わ、分かった」

俺は言われるがまま二人を寝転ばした。と、同時に、

「きゃっ!」

「いった~い」

と、二人が痛がる&吃驚する声が響いた。

「ふふん。私達の勝ちですわ」

「ズルいよアイリスお姉ちゃん…そんな上級魔法使うなんて…」

「勝てば宜しいのですわ。勝てば」

「一寸卑怯かもな」

「そうだよねお兄ちゃん。あんなの無いよね」

アイリスに味方は居なかった。

「まぁ、確かに稽古に束縛魔法は卑怯でしたわね。次回からは使いませんわ」

「そうしてよね。アイリスお姉ちゃん」

「ええ。広域殲滅魔法だけに致しますわ」

意味を分かっていなかった。

「アイリス…そうじゃねぇよ。広域とか時間操作とかやめろっての」

「仕方ありませんわね。分かりましたわ」

漸く理解したらしい。全く…世話が掛かる奴だ。

―――

「はぁ~、疲れた…」

盛大な溜め息を吐き、俺は席に着いた。朝の稽古を終え、朝食の時間になったのである。

「お兄ちゃん達は此処の初めてでしょ?きっと驚くと思うよ」

「だろうな。まがりなりにも王宮だもんな。陳腐なのは出ないだろうしな」

俺は想像する。元の世界の、家の食事を。まぁ、豪華でも無ければ貧しくもない普通の食事を。アレより遥かに豪華であろう。

―――

「お、お兄ちゃん、こ、コレは何かな?かな?」

「あ、茜、お、落ち着け。某竜宮さん的な口調を直せ」

「いや、でも、コレは仕方ないと思うな、お兄ちゃん。だって…」

「言いたい事は分かる。だから落ち着け」

俺達は朝食を見て、動揺していた。無理もない、何故なら、出てきたのは、鯖の味噌煮っぽいもの、ほうれんっぽいもののお浸し、金平牛蒡きんぴらごぼうっぽいもの、味噌汁(の様な、汁物)、玄米御飯(かな?)、更にオレンジジュース(の様なオレンジ色の飲み物)だからである。なんというか…

「質素、でしょう?」

カナリアが口を開く。まぁ、確かに王家の食卓に並ぶ物としては見劣りしまくるやつばかりである。

「王家だからと言って、良いものばかり食べている訳では無いんですわ」

アイリスまでまるで普通だと言わんばかりに口を開く。

「この国はそんなに貧しいのか?」

「はい。…グレイ・ブレイブが侵攻を始めた位から世界のマナが狂い始めまして。」

因みにマナとは、この世界の森羅万象に宿る魔力の元らしい。普通に生活出来るのも、マナのお陰だとか。

「今では食べるものの質も量も、以前の五分の一だとか」

「…マジか」

俺は絶句した。このままグレイ・ブレイブが侵攻を止めなかったら…想像するのも恐ろしかった。

「深刻だな。早急に手を打たないと…あ、そっか。『その為』の俺達か」

姫様達はこくりと頷いた。やはりグレイ・ブレイブを止めるなり倒すなりしなくちゃいけないらしい。

「だとしても、俺達だけで止められるのか…?」

「貴方方の隠された力が開花すれば、或いは…」

「実際、隠された力なんてあるのかよ?」

「はい。確実に」

カナリアに断言された。男としては燃えるシチュだ…

「但し、茜さんは、ですが」

「…さいですか」

俺は落胆した。横で茜がやたら喜んで居たが、今の俺には関係無かった。

「私は有ると思いますわ」

…アイリス?

「何故なら、あれほどまで魔法の才能が無いんですもの。多少なりとも何かが有っても可笑しく無いですわ」

…才能が無い。ハッキリ聞こえたよね。俺は何の為に此処に居るんだろうね。分からないや。あはは。…ぐすん。

「げ、元気出してお兄ちゃん。茜はずっとお兄ちゃんの傍に居るから」

茜…ありがとな。正直気を遣ってるのは見え見えだが、ありがとな。

楽しんで頂ければ幸いでした。次話お楽しみに!

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