異世界グラン・セブンス
この話で色々ネタバレします。本編なんで関係無いか
「ここが私達の住んで居る町、キュリアだ」 と、言われ周りを見渡すと、小さいながらも城が建っていた。
どうやらココは城下町の様だ。
「お前達には姫様達に会って貰う。説明はその時に。」
「姫様…達?」
「そうだ。長女のカナリア姫、次女のアイリス姫、三女のミュール姫、更にクラリネ女王様達に会って貰う。詳しくは姫様達に聞いてみろ。お前達をグラン・セブンスに召喚したのは姫様達だからな。」
「クランじゃないのか!?」
「貴女じゃないの!?」
二人して驚いていた。
何故なら、クランが呼び寄せたと思っていたから、彼女から聞くものだと思っていたからだ。「女王クラリネ、長女カナリア、次女アイリス、三女ミュール、か。」
「あー…一応様はつけておいた方が良いぞ。」
クランは一寸適当だった。
「そうだな。此処等の領主様だもんな。」
「その通りだ」
「で、でも私挨拶ちゃんと出来るか心配…」
「大丈夫だ。俺が付いてる。俺の真似をすれば良いさ。」
「お兄ちゃん…」
茜が何故か顔を紅くし、それを隠そうとしたのかうつ向いてしまった。…何故だ?
「コホン」
クランが咳払いをしたので、茜はさっと顔の紅みを直し、クランに向き直した。
俺もそれに習い、クランの方を向いた。
「兄妹仲睦まじいのは結構だが、目的地に着いたぞ。」
促され、正面を向くと、
「…」
「…」
…小さいとかすいませんでした。間近で見るとかなり大きかったです。はい。
「先ずは謁見の間に行くぞ。」
俺達はクランの後に続き、城へ入っていった。
城内はかなり広く、綺麗に掃除されていて、靴で歩くのも遠慮したくなる程に、美しかった。
「すげぇ…」
「うわぁ、綺麗だね、お兄ちゃん」
「ああ、有り得ん程にな。」
「それはそれで失礼だと思わないか?」
つい思った事を口にしたら、クランに突っ込まれた。
「なぁ、ふと思ったんだが、聞いて良いか?」
「何だ?」
「勝手にクランとか言ってるけど、良いのか?」
「ああ、私の魔法で私の情報をお前達の頭に直接伝えてるからな。」
「マジで!?」
「本当!?」「更に、言語も違うから、変換魔法で相互理解出来て居るだろう?」
「あ…成る程」
確かにそうだ。名前からして此処は日本では無い。そもそも、地球ですら無いのだから。しかし、言葉が通じているのはクランのお陰なのだろう。
「ありがとな、クラン。」
「なに、大した事じゃない、さ。」
はにかみながらクランが答えた。兜はもう無いので、綺麗な顔ではにかまれると、此方としても、男として結構クルものが―――
「オニイサマ、マタワタシイガイノオンナノコトヲ、カンガエテイマスネ?」
「ま…まさか。」
茜が笑顔で言う…笑顔なんだが、殺気が尋常じゃない。そして真剣に手を掛け…ん?真剣?
「ちょ、待て茜!それは死ぬって!」
「ナニヲイッテイルンデスカ、オニイサマ。コンナボクトウデ…あれ?」
茜が正気に戻った。すると真剣も元の木刀になっていた。
「ど、どうなってんだ?」
「それは彼女の魔法だろう。」
クランがそう口にした。
「え!?魔法って私も使えるの!?」
「ああ。素質が無いと駄目だがな。」
「ってことは俺も?」
「男は基本使えん。」
俺はがっくりとした。何故なんだ…
「何故かは知らんが昔から女はほぼ全員、男は一握りも出来ないらしい。更に使えたとしても男は女より遥かに魔力は劣るらしいな。」
「…マジデスカ」
「きゃ~!やった~!」
対象的な反応を見せる兄妹此処に有り。
「…使えたら良いな」
クランが俺の肩に手をポンと置き、そんなことを言っていた。
「ココが謁見の間だ。少し待つが良い。」
とクランは言い、扉の向こうに入っていった。
「どんな人なんだろうね?綺麗な人かな?…私からお兄ちゃんヲトロウトスルナラヨウシャシナイケレド。」
…隣に般若が居る。
いや、マジで。
「此方の準備が出来た。入って…どうした?」
クランが不思議そうに此方を見ていた。
「いや、なんでも無いよ!」
俺は早口で答え、
「茜、行くぞ!」
「あ、待ってよ、お兄ちゃん!」
茜を引き連れ扉を開けて中に入った。
正面に玉座が見える。近くに四人の女性の姿も認められた。
「アノヒトタチガワタシノライバルナノデスネオニイサマ」
茜が不穏な事を言っていたがスルー。
玉座に続く階段の前に立ち、クランが跪いたので俺達も真似をする。
「貴方達が召喚された者達ですね?」
凛と透き通る声が響く。どうやらクラリネが話掛けている様だ。
「はい。」
「貴方方の事は聞いています。東海林疾風さんと東海林茜さん、で間違い無いですか?」
「はい。そうです。女王陛下。」
俺は淡々と答えていく。
「貴方方の召喚された理由は聞きましたか?」
「いえ、聞き及んでおりません。教えて頂けますか?」
「勿論そのつもりです。この世界、グラン・セブンスにも、幾つもの国が有り、それぞれ特有の歴史を歩んで来ました。昔は領土拡大の為、戦争をしていた時も有りましたが、最近までは至極平和でした。しかし、ある日他国を侵略し、世界を統一しようとする国が出来たのです。名を、グレイ・ブレイブ。非常に強力な魔法使いを有しており、抵抗した国を悉く敗北においやり、今やグラン・セブンスの凡そ半分を、自国の領地にしています。」
「それは酷いですね…」
「そこで貴方達に白羽の矢がたった訳です。」
「あの…何故俺達何ですか?」
「グレイ・ブレイブの魔法使い達に勝るとも劣らない強力な魔力を持っている…かもしれないからです。」
「かもしれない…ですか?」
クランが驚いた顔をした。どうやら機密事項だったみたいだ。
「そうです。魔法も稽古しなければ上達はしません。生まれつき強い人も居るみたいですが、基本稽古は必須です。」
「なら俺は関係無いんじゃ…」
「いえ、そうゆう訳には参りません。何故なら貴方にも素質が認められたからです。但し、茜さんと比べるとかなり微弱ですが。」
「俺も魔法が使えるかも知れない、って事ですか?」
「その通りです。もしかしたら、強力な魔力を持っているのは、疾風さんということも考えられます。可能性は低いですが。」
「それが、俺達が召喚ばれた理由なんですね。」
「はい。理解して頂けましたか?」
「理解はしました。ですが、何故異世界の人間をわざわざ召喚んだのか。それは俺達じゃないといけなかったのか。色々疑問は残ります。」
「…大変心苦しいのですが、最早私達だけではグレイ・ブレイブに対抗出来ないのです。例え今支配されていない国全ての魔法使いを動員しても勝率は二割を下回ります。それほどに強力なのです。東海林さん達を召喚んだのは偶然です。幾つもの異世界に扉を設置し、一番最初に開いた扉の半径一キロに居る魔力を持った方を召喚んだのです。例え微量でも。」
「藁にもすがる思いで、ですか?」
「…」
クラリネは無言で頷いた。
「残りの扉はどうなったのですか?」
「召喚魔法は大変魔力を消費するのです。発動時、維持時間にも消費しているので、お二人が此方に来られた時点で、残りの扉を排除致しました。次に召喚魔法を使えるのはどの位先か分からないのです…」
「…」
「…」
俺達は絶句した。今までの浮かれモードも何処へやら。まぁ、こんな話聞かされて浮かれる奴は
「私達が世界の運命を握っているかもだって、お兄ちゃん!」
…居ました。若干一名…我が義妹です。しかもなんか楽しそうです。…なんかすいません。
「お前は阿呆か!」
俺はつい怒鳴ってしまった。
「これはゲームじゃない!現実なんだぞ!お前が死んだら生き返れ無いんだぞ!?」
「そ、それはそうだけど…でも」
「でもじゃない!なら俺が死んだらお前はどう思うよ!?」
「…」
茜は黙ってしまった。言い過ぎたと思い、声を掛けようとしたところで、
「ソンナコトハサセナイオニイサマハイツマデモワタシノソバデヤサシクホホエンデイテホシイカラオニイサマニアダナスモノガイルナラワタシガゼンシンゼンレイヲカケテアダナスモノヲコロシテイツマデモイツマデモオニイサマトイッシヨニイルンダカラダレニモジャマナンテサセルモンデスカ」
「あ、茜?」
俺が声を掛けると、
「はっ!?わ、私は何を…?」
「…お母様。」
クラリネの右側に座っていた少女がクラリネに話掛けている。
「そろそろ自己紹介しても宜しいですか?」
「あ、あら、ごめんなさいね。すっかり忘れていたわ。」
なんて母親だよ…
「ありがとうございます。」
その少女が此方を向き、階段を降りてくる。続いてもう二人の少女も、クラリネに話掛けていた少女の後に付いてくる。
「疾風さん、茜さん、初めまして。私、カナリアと申します。以後お見知り置き下さい。」
最初に長女カナリアから挨拶されたので、此方も返す。
「此方こそ、宜しく頼むよ。」
ライトグリーンの長く美しい髪、目の色もライトグリーン、顔は綺麗に整っており、意外と背が高い。服装もライトグリーンのドレスをバッチリ着こなしていた。ついつい確認してしまうが、胸は有る。そりゃもう山みたい…というのは過大評価だが、存在感をバリバリ放っていた。
「次は私ですわね。アイリスですわ。宜しく、疾風、茜。」
今度は次女アイリスだ。ワインレッドのセミロング位の、これまた見栄えの良い綺麗な髪、端正な顔立ち、小振りながら形の美しい胸、ワインレッドのドレスを身に纏っていた。
「最後はボクだね。ミュールだよ。宜しくね。お兄ちゃん!…ついでに茜。」
「コノコムスメハレイギガナッテナイデスネイマスグワタシガミッチリタタキコンデサシアゲタイクライデスガサスガニハハオヤノマエトイウノハハズカシイデショウカラアトデコジンレッスンカクテイデスワ」
また茜がイッたのでもう放置。
ミュールは極薄い水色の髪を、ツインテールに縛っている。此方はまだまだ発育途中なのだろう、ツルペタである。勿論衣装も髪と同じ色だ。
「私達は上から16、15、14なので疾風さんより皆下、茜さんと私が同い年なのです。」
「ふん。不本意ながらそうなんですわ。」
「年下は好き?お兄ちゃん!」
なんかやたらとミュールに好かれている。
「ワタシノオニイサマニテヲダシタラショウチシマセンワヒメトイエドニクヘンニナルカクゴハオアリカシラ」
「急に沢山話を聞かされて疲れていることでしょう。部屋を用意させますので、今日はどうぞ、ゆっくり疲れを癒して下さいね。」
「ありがとうございます。女王陛下。」
―――
夜。疾風自室にて。
「はぁ。今日は本当に疲れたな…」
時計を見ると午後十時を少し過ぎたところだ。
「風呂入ってから寝よっと。」
疾風にあてがわれた部屋に有った着替えを持ち、疾風は部屋を出ていった…
…いっとっけど、風呂場で誰かと出会して、
「きゃー!エッチ!出ていけ~!」
みたいなイベントは無いから書かないよ?楽しみにしてたのなら残念だったな。諦めろ。これが現実だ。そうそうあんなゲームやアニメや漫画みたいな事は起こらないって事だ。もともと狙って無いしな。
楽しんで頂けたでしょうか?かなりの気分屋なので不定期更新です。感想やレビューで、あれがみたい、こうしてほしい等要望ありましたら書き込みお願いします。可能な限り含みます。