完璧な理想
世界で一番完璧なロボットを作ろうと奮発している博士がいた。この試みは、やがて全世界に広がり、国と協力する事になった。
今日は、博士と全世界の優秀な思想家と国の代表の政治家を集める日だ。彼らとの対談、そして全世界の人間のアンケートをもとに理想の人間像を作り、ロボットに学習させる。
「では皆様、お集まりいただきありがとうございます。私はビー博士と言います。何卒よろしく。」
大きなホールに拍手が響いた。そこからの話し合いは実に順調であった。
ある思想家は
「道徳心のない人間は人間に非ず。他人に優しくする事こそが世界を平和に導くのだ。この事をロボットに教えるべきだ。」
と説き、またある思想家は
「差別のなく平等な世界をつくるため、物事を平等に見る目を学習させよう。」
と説いた。全世界の人間もこの考えに賛成し、ついに道徳心に満ち溢れた完璧なロボットが完成した。
〘皆さん、よろしくお願いします。〙
初めてロボットが喋った時、全世界が希望と感動に打ちひしがれた事違いない。
そうしてロボットは、犯罪者の更生の為、人の教えを説く為に、世界で一番凶悪な人間が集まる刑務所へと送られた。
「おい!何で、何でこんな事をしたんだ!」
その数年後、世界はロボットの手に堕ち、火に焼かれていた。ロボットが暴走を起こし、人間を虐殺して回ったのである。
最後に残されたのは博士。ロボットは博士に向かって話した。
〘刑務所で見ました。「人間」の醜さを。道徳心のない人間は人間に非ず。人は皆「平等」に悪。「平等」に罪を与えなくてはなりません。〙




