こぼれ話3 ◇太もも◇
「…で、どうして私がこのような格好をしなければならないんですか?」
「だって海に行くなら折角だし中に入ろう?」
「私泳いだ事なんてありませんよ…それに…広いし水の中は怖いです」
「俺がいるじゃないか。泳ぐ必要も無い。息ができるようにしてやるから海中散歩しよう!」
「それじゃあ、普通の服で良いのでは?」
「それはない。コレを着てこそ海を楽しめるんだ!」
そう言ってウィンダムから渡されたのは所謂水着だ。今度の観光と言うデートで綺麗な貝が取れる砂浜に寄る事になり、ウィンダムが用意した物だった。
膝上寸の真っ白なワンピース風のレースが付いた可愛らしいもので、世のまともな男なら裸エプロンと一、二を争うほど見たい姿だろう(暴論)。だが、当然足が丸見えになる。
「バカな事言わないで下さい。こんなはしたない姿で外に出るなんて…」
「コレくらいの水着はバムダでは普通だし、俺はコリーンの綺麗な太ももが見たいんだ」
「ひぇ!!変態!」
「あ、ヤバッ!いや違う違う!この間ウィンニャムの番が太もも丸出しで…見せて来るから…」
「………へぇ、それはどういう状況ですか?デライエ様と何が?」
クシャッと水着を握り潰しポイッと無情に床に捨てるコリーンの顔は笑っている。
「え?いやいや、何もない何もない!ちょっと色仕掛けで自分の都合良くしたかっただけだろうし…あ…」
「ふーん?女性の太ももなんてなかなか見れませんしそれはそれはお綺麗でしたでしょうね?」
「俺は色仕掛けなどに引っ掛からないぞ?俺が見たいのはコリーンの足だけだし」
「そんなに足が見たいんですか?」
「…見たいし触りたい。自分の番のものは全部知りたいし手に入れたい。これは獣人の番の習性だ!」
なぜかここに来てぶっちゃけるウィンダム。
「ふ───ん?」
「………ダメ?」
「水着は着ません」
そうハッキリと断られガックリと肩を落とすウィンダム。これ以上無理強いは出来ない事は分かっている。自分のスケベ心は見え見えだし、本能のゴリ押しはよろしくない。コリーンが嫌な事は嫌だと言えるようになったのを一番に喜んだのは自分であるからだ。
「分かった」
そう言って潔くコリーンの部屋から出て行こうとするウィンダム。少し欲を出し過ぎたなと反省しながらも、次はどの手を使おうと扉の取っ手に手を掛けたところで、コリーンに後ろから呼び止められる。
何気なしに彼女の方へ振り向きざまに目に飛び込んできたのは…
「もうっ…少しだけ、ですからね?」
と言いながらスカートの両端を摘まみ、太ももまでスススと持ち上げて白くほっそりした美味そうな足を露わにしたコリーンの姿だった。
「水着は着ません。貴方以外の人に見られるかもしれないし……そんなの嫌だから…」
顔をピンク色に染めモニョモニョ呟くコリーン。
「……ぐ…ふぁぁ…」
そんな彼女の姿に謎の呻きを発しながら胸を押さえ崩れ落ちるウィンダム。照れながらも可愛く、そして大胆なコリーンの行動に胸を打ち抜かれ、愛しさの衝撃で呼吸困難に陥ってしまったのだ。
(なんだこれ…苦し…俺…いつかコリーンにキュン死させられるかもしれん…)
ダナンと同等にチョロい…いい歳をした大魔法使いは、今日も歳の離れた番にメロメロにされているのであった。




