耳をすませて
街をゆく人たちを
みながら僕は道端のオブジェに腰をおろす
楽しげに笑う学生たち
せかせかと歩く働く人たち
スラリと日傘をさす女性たち
なんだか訳のわからない人
あ、それは僕だ
予定より暑くないのは
まだ雲がそれを遮ってくれているのか
少し強い風が肌をすき透るから
忘れていた少年の日々をふと想い出す
あのころの遠い祈りは
まだ期待には届いてはいないようだ
耳をすましても
なにも聴こえない
道ゆく人の言葉は意味をなさないけれど
そこにある人人の透明な想いだけが
いろいろな色でその人のからだを
ほんのりと覆っているのがみえる
僕は耳をすませて
心の奥が震える音を聴きつづける