表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/23

第19話「BLACK SUGAR、代表決定!夢への階段を駆け上がれ」

「……東日本代表に選ばれたのは――BLACK SUGAR!!」


 その瞬間、会場はざわめきに包まれた。


 思わず立ち上がる観客、涙をこぼすファン、SNSに「まさか地下枠が!」と驚きの声があふれていく。


 BLACK SUGARのメンバーは、呆然としたままステージに立ち尽くしていた。


「……え? 俺たち?」


 コウタが戸惑いの声を上げる。


「いや、間違いなく、俺たちだ!」


 レイが吠えるように言い放ち、拳を振り上げた。


「東の頂点、取ったどォォォッ!!!」


 観客が一斉にペンライトを掲げ、黄色い声援が飛ぶ。ステージにスポットライトが当たり、BLACK SUGARの名が高らかに響いた。



 控え室に戻ってからも、メンバーは興奮の余韻から抜け出せなかった。


「……夢って、ほんとに叶うんですね」


 コウタがぽつりと呟いた。


「いや、これは“夢が始まった”だけだ」


 ミナトの言葉に、場の空気が締まる。


「武道館がゴールじゃない。あそこは、スタートラインだろ?」


「うん。そこに立つ覚悟、もうできてる」


 ユズキがうなずき、軽く拳を突き出す。


 ひとりずつ、みんながその拳に手を重ねていった。最後にレイが力強く、上から手を置く。


「俺たちは……BLACK SUGAR!」


「「「押忍!!!」」」



 後日、彼らの快進撃はメディアでも大きく取り上げられた。


「地下アイドル界からの“奇跡の挑戦者”」

「熱血センターの応援団アイドル」

「泣けるパフォーマンス」


 ニュースサイトやバズった投稿で、BLACK SUGARの名は一躍全国に知れ渡ることになる。


 さらに、取材やテレビ出演の依頼が殺到。初の地上波インタビューでは、レイが学ランで登場し、司会者の爆笑をかっさらった。


「アイドルに不可能はありません! “今を本気で生きる奴”が、アイドルだァ!!」


 その言葉は、SNSで数十万回シェアされた。



 そんな中、泉が持ってきたのは――武道館ライブの詳細資料。


「本番は来月。出演はBLACK SUGARを含む、東西代表合わせて4組。チケットはすでに完売」


「マジか……あの武道館が満員って……震えるわ」


 ユズキが苦笑する。


「でも、今までだって全部初めてだった。武道館だって、俺たちらしくやればいいんです」


 コウタのまっすぐな言葉に、全員がうなずいた。


「武道館でも“応援”するだけだ。変わらねぇ。俺たちは、ファンのために歌う。誰かのために立つ。いつも通り、全力で!」


 レイの声が、部屋の空気を熱くする。



 そして始まる、武道館へ向けた特訓の日々。


 ボーカルトレーニング、フォーメーション調整、MC練習、そして何より――“心をひとつにする”こと。


 ファンも、彼らとともに走り出した。


 寄せられる応援メッセージ、街中での握手、老若男女問わず届く「あなたたちに勇気をもらいました」という言葉。


 BLACK SUGARの歌は、もはやただのパフォーマンスではなかった。


 それは――“誰かの背中を押す力”そのものだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ