表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

姉、異世界で覚醒する。

「おい、姉ちゃん! なんでそんなゴロゴロしてんだよ!」


俺――**佐倉さくら 悠真ゆうま**は、学校から帰るなり、リビングでだらけている姉に向かって怒鳴った。


「ん~? だってニートだし~」


そう言いながら ポテチを頬張るのは、俺の姉・佐倉さくら あおい、24歳・無職。

大学を卒業したあとも就職せず、家でゴロゴロする日々を送るダメ姉ちゃんだ。


「そろそろ働けよ。親も呆れてるぞ」

「いや~、私が本気出せばすぐにでも社会に貢献できるんだけどね~」

「はいはい、いつ本気出すんだよ」


適当に流しながら俺が部屋へ向かおうとした、そのとき――


「勇者召喚を開始します――対象、佐倉 葵。」


突如、部屋が眩い光に包まれた。


「んぁ?」

「は?」


光の中心にいたのは――まさかの姉ちゃん!?


次の瞬間、姉は光に包まれ、俺の目の前から消えた。



――異世界・アルザディア王国。


「おおっ! ついに来たか、我らの勇者よ!」


豪華な玉座の前、異世界の王と騎士たちが集まる中、光の中から現れたのは……


「……え、なにこれ?」


パジャマ姿のまま、片手にポテチ、もう片方にはリモコンを持った姉だった。


「おお、勇者よ! 我らの世界を救ってくださ――」

「待って待って待って、勇者ってなに? ってか、私いま家でゴロゴロしてたんだけど?」


「貴女こそ、異世界を救うために召喚された勇者なのです!」


「いやいや、勇者ってそう簡単になれるもんなの?」


姉はめんどくさそうに頭をかきながら、ポテチをぽりぽり食べた。


「……まあ、いいや。で、何すればいいの?」


「さすがは勇者! すぐに使命を受け入れてくださるとは!」


「いや、適当に言っただけなんだけど」


そのとき、王の隣にいた大臣らしき男が、姉に向かって厳しい顔で言った。


「しかし、本当にこの者が勇者なのですか? どう見てもただの怠け者にしか……」


「うっせぇなぁ」


姉がリモコンを振る――するとズドォォォン!!!


彼女の手元から光の衝撃波が放たれ、大臣の後ろにあった巨大な石像を粉砕した。


「え?」

「え?」

「え?」


場にいた全員が固まった。


姉もキョトンとしながら、自分の手を見つめる。


「……え、なにこれ、私すごくね?」


「勇者様! その力、まさしく伝説の勇者のものです!」


「……マジで? え、私最強?」


その後、適当に剣を持たされ、試しに城の訓練場で剣を振ってみると――


山が吹き飛んだ。


「え、ヤバくね?」


「勇者様! まさに伝説級の力!」


「え~、これで働かなくてもいい?」


「むしろ、働いてください!」


こうして、姉は異世界で最強の勇者として祭り上げられたのだった。

読んでいただきありがとうございました。続きが気になる、面白かったって方はブックマークと下の方にある星マークを付けてください。ものすごく励みになりますので。それでは、次の話でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ