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8話「ギャルの友達」

5月上旬……なんやかんやあって高校入学から1ヶ月が経った。

この出だしの1ヶ月で俺はなんとか友達を2人作る事ができたのだけど、一方ではるはと言うと……


「はるっち!おはまる!」


「お、おは、おは……まる、です。」


俺の隣の席のはるに元気よく挨拶をする女子……というかギャル。

金髪で、上着を腰に巻いているいかにもな格好が特徴の彼女は久瀬冬子(くぜとうこ)

はるがカバンに付けてる鬼神乱舞のキャラクターのストラップに興味を持った久瀬からはるに声をかけ、そこからはると久瀬は友達になったらしい。


「いや〜はるっちがオススメしてくれたきしらん面白かったわ〜!まだ3話までしか見てないけど、3話の戦闘シーンはマジで神だった!」


「ほ、ホント?私も3話のランくん(主人公)と敵の髑髏丸(主人公のライバル)の戦闘シーン好きなんだ。」


「なんか最近のアニメって、見た人の感想聞いた感じ萌え系とか難しい話の奴が多かったから、きしらんは鬼神になった人達が人を襲う怪物と戦うっていうシンプルな話でとっつきやすいわ〜。」


グイグイ来る久瀬にはるはちょっと押され気味のように見えるけど、はるははるなりに頑張って彼女と話そうとしている。

願わくば2人の交友関係がいい感じに進んでいけばいいんだけど__


「ねぇ、大堂君何みてるの?」


「え?あ、いや……」


俺は無意識にはると久瀬の方を見ていてしまってたらしく、それを久瀬に気づかれ指摘される。

ど、どう言い訳……いや弁明すれば……!


「あ……あ、あお君は私の幼馴染なの。ね?あお君。」


「そ、そうそう!お、幼馴染なんでね……。」


はるがなんとかフォローしてくれたお陰で俺はなんとか取り繕おうとする。

それに対して久瀬は……


「はは〜ん、幼馴染ねぇ〜!くぅ〜!恋愛ドラマとかだとオイシイ立ち位置じゃんか〜!羨ましいぞこのこの〜!」


久瀬はニンマリとした表情で俺の肩に肘をグリグリしてくる。

お、男の俺にもそういう距離感なのか……。


「ま、はるの幼馴染ってんなら君とも仲良くするよ!よろしくね、大堂く……いや、はるっちに習って私も……」


「お前は大堂でいいよ。」


「ひでー!ま、よろしく大堂君!」


「こちらこそな、久瀬。」


てな訳で、俺も久瀬の友達認定を食らい、中学生時代は家族しか登録されてなかったRINEに久瀬の名前も加わって友達が4人も増えた。



「じゃあ、5月も頑張っていきまSHOW!って事で……カンパーイ!」


「カンパーイ。」


「か、乾杯、です……。」


「乾杯。」


「乾杯ですぞ。」


その日の放課後は、俺とはる、小倉と中守、そして久瀬の5人で駅前のファミレスに来て、親睦会?的な事をしようと久瀬によって決められた。

各々メニューとドリンクを注文し、食事をしながらお話でもして仲良くなろう、という訳だ。


「ピザにタバスコかけていいかな?」


「ご、ごめんなさい小倉君、私辛いの苦手で……。」


「分かった。」


「久瀬氏、フォークとナイフでござる。」


「あんがとー。」


そうして俺達は食事をしながら好きな物、最近起きた出来事、学校でのこれからの行事などについての会話を始める。


「はるっち、最近ティットクットでなんかのアニメのOPの踊ってみた動画が流行ってるんだけどさ、このOPってどういうアニメのOPなの?」


「あー、これは「パライソの聖女」っていうアニメのOPで、その、ちょっとエッチな作品なんですが……萌え系?と言っていいのかは微妙な所で……原作が少年誌連載なのでそういう作品に萌え系と言っていいのか、というのはちょっと個人の判断に委ねられるというか、それにエッチといえばエッチなんですけど主軸となる物語は王道バトル物で(以下略)」


「ねー大堂、唐揚げ1個ちょうだい。」


「そのポテト3個と交換だぞ。」


小倉と食べ物トレードをしながら、俺は内心、こういうのを高校生活に期待してたんだ〜……!と感激する。

1人ぼっちだった頃はいつも好きな事だけを考えてて、放課後に外食とか考えた事も無かったな……。


「立花氏、某は相当アニメや漫画、ゲーム等のサブカルチャーに精通していると大堂氏からお聞きしておる。是非私ともオタクトークを……」


「ダメ〜、はるっちは今私とトーク中なの〜!だから私の後でね!」


「い、いやその、3人で話した方が楽しい……と、思うから、3人で……ね?」


「はるっちがそう言うなら……。」


「お心遣い感謝いたしまする。」


ガチオタクのはると中守、そしてビギナーの久瀬はきしらんやそれ以外の色々なアニメや漫画、ゲーム等のサブカルチャートークに花を咲かせている。


こういうのはきっと学生である今しかできない体験だよな……この時間はかけがえのないものの筈だ……大切にしなければ。


「ちょっとトイレ行ってくる。」


「あぁ。」


俺は少し催したので席を離れトイレに行こうとする。

確かトイレはこっちの方に__


ドンッ


「す、すみません……!」


その時俺は反対側から来た男性にぶつかってしまい、頭を下げて謝る。

そしてふと見上げると、その男性は……大きい……身長190センチはあるんじゃないか?と思うぐらいの大男だったのだ。


「気をつけろよ。」


「は、はい……!」


男は低い声で気をつけろ、と言い残してその場を去る。

ていうか、あの男制服着てるじゃないか……隣町の高校の生徒か?スッゲー厳つい顔だったし、不良とかか……?


そう考えながらトイレで用を済ませて皆の元に戻り、しばらく会話を楽しんだ後店を後にする俺達。

これから、もっと5人で色んなことをするのも悪くないかもな……俺の3年間の穴を埋める為にも……。





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