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7話「カラオケ、時々ハプニング」

「じゃあ楽しんできなよ、お2人さん。」


「あぁ。そっちもな。」


カラオケ店に到着した俺達。

俺とはるは小倉、中守と別々の部屋に向かい、2人でカラオケを楽しむ事にしたのだった。


「な、何か……飲み物、頼む?」


「おう。えっとメニューはこれか……。」


机の上のメニューを手に取り、少し考えた後、俺はジンジャーエールを、はるはコーラを、そして2人で食べる用のピザを2枚注文し、その後まず先にはるにカラオケボードで歌いたい歌を選択させる。


はるが先に歌いたいとお願いしてきたので、最初に歌うのをはるに譲ったのだ。


「はるってカラオケ行ったりするの?」


「い、いや、ほとんど行かないかな……。」


「そうなのか。好きな曲は……やっぱりアニソンとか特ソン?」


「う、うん。」


はるは俺と会話をしながら慣れていない手つきでカラオケボードで選曲をする。

そして選び終えたはるは2本ある内の1本のマイクを手に取り、そして映像が流れている画面が切り替わり、はるが選んだ曲の名前が映し出された。


獣王戦隊ケモレンジャー!

歌・ひろたにきよし


獣王戦隊ケモレンジャーというのは、仮面ファイターシリーズ、グレートマンシリーズと肩を並べる人気特撮シリーズ、「戦隊レンジャーズ」というシリーズの内の1作である。

ひろたにきよしさん……熱いアニソンを熱唱するベテラン歌手の歌をはるが歌うのか……はたしていかがなものか……。


「ガオガオGo The Way〜!羽ばたけFlying Away〜!悪を引っ掻く爪となれ〜!闇を喰らう牙となれ〜!獣王戦隊ケモレンジャ〜〜〜!!」


「おぉ……!」


はるには悪いが、実は「カラオケはあまり行かない」というのを聞いて、歌うのはあまり上手くないのかな……と思っていた……だけど、なかなか上手いじゃないか……!



「……ど、どうでした、でしょうか……。」


「う、上手かったぞ!めちゃくちゃ上手かった!」


ちょっと恥ずかしそうに感想を聞いてきたはるを俺がべた褒めすると、はるは髪を弄りながら嬉しそうにしていた。


「えへへ……。」


「俺も負けてられないな!」


俺だってやってやる!そう決意しカラオケボードを手に取る。

俺は中学生活の3年間、ずっとぼっちだった訳だが……その間ひとり遊びの術はあらかた身につけてきた。


その1つが1人カラオケだ……1ヶ月に1回はカラオケ言ってたんだぜ?その実力をはるにお披露目してやろうじゃないか……!


暁に唱う

歌・RED ESCAPE


「おぉ……き、きしらんの第1クールOPの……。」


「俺の十八番だぜ。(ドヤ顔)」


「お待たせしましたー!」


と、その時店員が部屋に入ってきて俺のジンジャーエールとはるのコーラを持ってきてくれた。

そして店員はすぐに部屋から出ていって、その直後に歌が始まる。


「希望は与えられるものじゃなく掴み取るもの〜♪絶望に負けないその覚悟は何より美しい〜♪」


俺は3年間磨きあげた歌唱力をはるに見せつけてやる……と思いながら歌を歌っていた訳だけど……。


「フ〜!!」


「暁を照らす唱に〜導かれ〜走れ〜♪」


「走れ〜!!」


何だかはるの様子がさっきからおかしい……めちゃくちゃハイテンションで合いの手を入れてくるんだけど……



「あお君最高〜!!」


「あ……あぁ。」


はるはなおもテンションが高い……というか、なんか顔赤くね?


「なぁはる、ちょっとテンション高くね?あと顔が赤いぞ?」


「え〜何〜?」


「ま、まるで酒に酔った姉ちゃんみたいだ……まさか!」


良からぬ事が脳裏によぎった俺は、はるのコーラを少し口に含む(関節キスとか言ってる場合か!)


その1口で確信した……これ、コーラカクテルだ!!

店員持ってくる部屋を間違えたのか!?


「えっとこういう時は……そうだ、水を飲ませるんだ!店員さんを呼んで水を_」


「なんか暑いなぁ〜!抜いじゃえ!」


なんとはるは突然、暑いと言って服を脱ぎ始めた……!

上着を脱ぎ、シャツも半分脱いでる!


「や、やめろはるー!」


俺は半分はだけているはるから目を逸らしながらも服を脱ぐ手を止めるようはるに言い聞かせようとする。


「え〜、だって暑いもん〜!」


「いや、ダメだってはる!!ほら着て!!」


俺は無理やりはるにシャツを着せようとし、はるが外したシャツのボタンを無理やり付け直そうとするが……。


「いやっ!強く触らないでよ〜!あんっ!」


「へ、変な声出すなよぉ!」


俺は自らの煩悩を理性によってなんとか抑え、はるのボタンを首元まで付け直し、そして即座に店員に水を持ってきてもらってはるに飲ませた。

店員はコーラカクテルを持っていく部屋を間違えたことを俺達に深く謝罪した。


「す、すみませんでした!」


「い、良いんですよ!大事には至りませんでしたし!」


「大事、とは……?」


「い、いやそれはあの……アレです。」


その後店員は部屋から出ていき、再び俺とはるだけの部屋になった……いや、元々俺とはるの2人でカラオケに来たんだけどさ……さっきとは雰囲気違くね?


「なぁ、はる……さっきは災難だったな。」


「う……うん……あの、さっきのは……見なかった事に……。」


「あ、あぁ。」


「し、死にたい……!」


「そ、そう落ち込むなって!はるは悪くねぇだろ?」


「で、で、でもさぁ……!」


はるは酷く落ち込んでおり、俺は彼女を励ます……というか、慰める?のに精一杯でカラオケどころではなくなった。

その後はるはなんとか立ち直り、持って来られたピザはちゃんと食べ、時間は残り十数分だったが歌える分は歌ってカラオケ店を後にした。


俺はカクテルで酔ったはるの赤い顔と、シャツを脱ぎかけたあの姿が忘れられず、悶々としながら1晩を明かした……。





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