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4話「ハプニング」

私はあお君に謝らなくちゃいけない事が1つある。

小学三年生の頃、私がまだオタクじゃなかく陽キャだった頃、私はあお君の好きな物を否定してしまったんだ。


「仮面ファイタークロスカッケーなぁ!来週は最強フォームが出るから絶対見るぞ〜!」


「あお君仮面ファイター見てるの?」


「うん。」


私とあお君がたまたまショッピングモールで出会って、おもちゃ屋の前に設置されたテレビを見ているあお君に対して、私は酷い事を言ってしまったんだ。


「仮面ファイターなんて子供が見るものなんだよ!」


「な、なんだよそんな言い方!」


「まぁあお君もお子ちゃまって事ね!早く卒業できるといいわね!」


「お子ちゃまじゃねーし!」


「仮面ファイターって子供向けじゃない!つまりあお君はお子ちゃまなの!」


「こ、こいつ〜!」


その翌日、私はあお君に謝って、なんとか仲直りできたけど……もしもあお君がその時のことをまだ根に持ってたりしたらどうしようって、たまに考えている自分がいる。

今日あお君が家に来たら、改めてあの時の事を謝ろうと、昨日ZEOで借りたDVDを見つめながらそう決意した。



「あ、お、おはよう……。」


「おっす。おかんがこれ持っていけってよ。菓子折りってやつだ。」


「あ、ありがとう。」


はるの家のチャイムを鳴らすと、部屋着姿のはるが出てきて俺を出迎えてくれた。

はるの部屋着姿……かわええ……。

と考えるのもつかの間、俺ははるにおかんから持たされた菓子折りを渡してはるの家に入る。


「こ、ここ私の部屋、だよ。入って。」


「お邪魔しまーす。」


はるに案内され彼女の部屋に来た俺だったが……第一印象は……「俺の部屋を女の子の部屋にした、みたいな感じ」というものだった。

棚にはアニメのフィギュアとかグッズが飾ってあるし、ベッドの上にはアニメキャラのプリントがされた抱き枕が……改めて俺今、女子の部屋にいるんだ……なんか緊張してきたな。


「ね、ねぇ……あまりジロジロ見ないで……。」


「あ、ご、ごめん!」


「さ、さぁ座って座って……!」


はるは声を上擦らせながら俺を無理やりソファに座らせようとするので、素直にソファに座って……ソファから微かに良い匂いが!

いかんいかん、まるで変態じゃないか俺は……!


「冷蔵庫にジュースとお菓子あるから、持ってくるね。」


「おう、言ってらー。」


はるはジュースとお菓子を取りに行くと言って回れ右をした、のだが次の瞬間……。


ズルッ!


「わっ!」


「はる!?」


はるは何かに足を滑らせ、ソファに座っている俺目掛けて後頭部から倒れる。

俺はソファに座ったままとっさにはるの身体を受け止めたが、それが逆にいけなかった。


「ふぅ、大丈夫か?」


「あ、あ、あお君、てて、手……!」


「手……あ!?」


俺はなんとかはるの身体を受け止める事ができた。

俺の手ははるの身体をしっかりと受け止めていた……はるの胸を……!


「す、すまん!」


「い、いいよ……お、お見苦しいものを触らせてしまいました……。」


はるは顔を赤らめながらそそくさと部屋を出ていった。

ま、まさかあれで俺の好感度が下がったりしないか!?「幼馴染」から「変態キモオタ幼馴染」に格下げにならないか!?


まぁ俺の責任だけど……それはそうと、はるは一体何に滑って転んだんだろう、と俺が床に落ちていた物に目をやると、それは……


「し、下着かよー……!」


そこに落ちていたあまりにも大人な感じのブ……下着に対して思わずそう口にしてしまった……。

はるってこんなの付けてるのか……サイズも大きいし……服の上からでも大きいなとは思ってたが、まさか脱いだらそれ以上に……!?


「よし、これは見なかった事にしよう。適当に机の下にでも置いとけば__」


「あお君、お待たせ__あ。」


「あ。」


終わった。

俺がはるの下着を持っている所をはる本人に見られてしまった……。

はるはヨツヤサイダーの1リットルボトルやお菓子が入ったレジ袋をブルブルさせて顔を赤らめ、ついに涙を流し始めた。


「……あお君……!」


「ち、違う……いや、すまん!その辺に落ちてたから拾っただけで……!」


「きゅー……。」


「は、はるーッ!!」



はるはあのまま気絶してしまい、 俺は彼女をベッドに寝かせた。

そして1時間程が計画した頃……午前10時頃にはるは目を覚ました。


「ご、ごごごめんあお君……お見苦しいものを触らせた上にさらに吐き気を催す程お見苦しい下着なんか見せてしまって……。」


「べ、別に見苦しくなんかないし、俺の方だって申し訳ないよ……女の子としては胸触られた上に下着見られたなんて気持ち悪い……よな?」


目覚めたはるはとても申し訳なさそうな態度で俺に接してくるので、悪いのは俺の方だとなんとか弁明しようとする。


「いやいや、触った見せたじゃなく触らせた見せたんじゃ私の方が法律違反で刑務所行きだよ……。」


「そんな事に法律を適応させようとするのか……と、とにかくはるが持ってきたサイダーでも飲んでリラックスしようぜ!」


「あお君……ありがとう……。」


俺ははるをリラックスさせる為に、はるが持ってきたサイダーの蓋を開けようとするが……。


ぷしゅーっ!!


サイダーが勢いよく吹き出したのだ。多分さっきはるがボトルを落とした時にサイダーに衝撃が加わったのが原因だろう。


「うわっ!吹き出した!なんで……!?はるー、サイダーがいきなり吹き出して机汚しちまった……すまん!」


「……ふふっ。」


俺はてっきりはるに怒られるかと思ったが、はるは逆に笑みを浮かべた。

なんだか分からないけど、はるが笑顔になったんならそれで良いか……。


「つ、机吹いたらDVD見ようよ、あお君。」


「そ……そうだな。」


そうして俺ははるにタオルを持ってきてもらい、それで机を拭いて綺麗にした後今日の目的であるDVD鑑賞を始める事にするのだった。





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