表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/25

「水着選び」

「59位……か……。」


過酷な戦い(期末テスト)が終わった後、廊下に張り出された戦いのリザルト(学年毎の順位)を見てそう呟く。

1年生120人の内俺は59位……まぁだいたい中間ぐらいって所だな。

よく頑張った俺!


で、はるはと言うと……


「はるは……4位か。」


「え、えへへ……。」


俺の隣で自分の順位を確認していたはるは嬉しそうにしている。

はるは勉強ができるらしいから俺ははるに勉強を教えてもらったのだけど……まさか4位とはな。


「凄いなはるは。」


「そ、それほどでも〜……あったりしちゃうのかなぁ〜?」


「4位は相当凄いと思うぞ。」


「あ、ありがとう……。」


なるほど、はるは褒められると素直に受け取るタイプか……これからは褒められる所は褒めていこう。


「あお君もよく頑張ったと思うよ。」


「そうかな?50位圏内目指したんだけど無理だったわ。」


「で、でも十分凄い、よ。」


「学年4位のはる様がそう言うならそういう事にしとくか。」


俺もまたはるからの褒め言葉を素直に受け取り自信を持つ事にした。

そうして俺達はクラスへと戻ったのだが、俺は先日電話ではるから聞いた事を改めて確認する。


「なぁはる、プールに行く為の水着買うのに……本当に俺って必要?」


「え、あ、うん。自分1人で選ぶのは自信無いし……。」


何の疑問も持ってないような態度でそう返すはる。


「ほ、本当に良いのか?」


「うん。」


「お、俺がセンスが無い奴を選んじゃって、はるが公衆の面前にそれ着てる姿を晒し、笑われてしまうとか……。」


「か、考えすぎだよ……あお君はそんなセンス無い感じじゃないし。」


「お、女の子の水着を選ぶのなんて初めてだし__」


「お、女の子?」


「え?」


はるはキョトンとした表情でそう呟き、俺は一瞬困惑する。


「私、お、女の子として見られてる、の……?」


「あ、当たり前だろ?」


「そっか……__った。」


小声で何かを呟くはるだが、俺にはよく聞き取れなかった。


「とにかく、明日(土曜日)お店行こう、ね?」


「あ、あぁ。」


という訳ではるの意思は変わってないらしく、その日の晩は翌日に備えて色々と準備をして眠りについた。



翌日、エオンモール前。

約束の時間の20分前に俺は着いたので、スマホでも見ながら時間を潰していたのだが、約束の時間の10分前にはるがその場に現れる。


「あお君、お待たせ。」


「おう。」


はるの私服は前も見た事あるけど、やっぱり可愛いな……でも今日は一段と可愛いやつを来ている……眼福だ。

俺はあまり自分の見た目に気を使ってるタイプじゃないけど、はるはオタクとは言え女の子……そりゃ気使うよな。


「じゃあ行こうか。」


「う、うん。」


俺ははるに直接「可愛いね!」と言うべき所なのかと悩んだが、なんかチャラ男っぽいので止めておいた。


エレベーターを上り3階の水着屋さんに来た俺だったが、やはり男である俺がこういう所に来るのは抵抗感が……いや、せっかくはるが俺を誘ってくれたんだ……ここで男を見せねぇと!


「い、色々あるね。」


「そ、そうだな。ゆっくり選ぼうな。」


それから20分程かけて俺とはるは2人で水着選びをし、はるは目星を付けたものを持って試着室に向かう。


「ちょっと待っててね。」


はるにそう言われたので俺は試着室の前ではるが水着に着替えるのを待機してたのだけど……この薄布1枚の向こうではるが着替えを……いやキモイ事考えるな俺!


「彼氏さんかな?」


「恥ずかしそうにして、可愛いね。」


なんかお姉さん方が俺を見てヒソヒソと……犯罪者と勘違いされてるのでは……!?(ガタガタ)


そうこうしている内に水着に着替え終えたはるが試着室から出てきたのだけど……。


「ど、どうかな……。」


「っ……。」


あまりの可愛さ?いや、セクシーさ?なんと言えばいいのか……身体が反射的にはるから目を逸らしてしまう。

なんか見ちゃいけないものを見てる気がして……いやただの水着だけど!ごく普通の水着なんだけど!


「あお君……?」


「か、……い、です。」


「え?」


「可愛いっ、です!」


俺はなんとかはるの水着姿を褒めようとするも、つい声が上ずってしまい

恥ずかしい思いをしてしまう……この世から消え去りたい!


「あ、ありがとう……。」


「っ……。」


俺は勇気を出してはるの方を振り向く。

なんというか、やっぱり可愛くて、でもセクシーで、ヘタレオタクの俺には刺激が強かったけど……はるは嬉しそうにしていた。

俺が褒めたからか?なら良かったのだけど……。


その後もはるは何着かの水着を俺に見せ、その中からどれにするか2人で話し合って決める事にしたのだった……。


「これ今年着て来年はこれにすれば?」


「い、いや、あの……変わるから……。」


「あぁ、毎年のトレンド的な……」


「違くて、私の、ス、ッスリーサイズ、とか……。」


「あ、そうか……ごめん……。」


そんなこんなでどの水着にするかと吟味する事十数分……はるは意を決して、はるが最初に着た水着を選ぶ事にしたそうだ。

色は薄ピンクで、胸の所にひらひらが付いてるやつだ。


「それで良いのか?」


「う、うん。」


「じゃあレジ行こうか。」


「あ、あのっ!」


はるは俺の手を引いて何かを言いたそうな表情を浮かべる。


「な、何?」


「……後で、アニメルト行かない?」


「……い、いいぞ。」


はるはどうやらモール内にあるアニメグッズ専門店、アニメルトに行きたがってたらしく、その事を俺にお願いしてきた。

アニメルト……俺にとってはオアシスみたいな所だ。

今すぐにでも行きたい!


という訳で水着屋さんを出た俺達はアニメルトで推しのグッズを買い、楽しい時間を過ごした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ