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16話「お疲れ様」

高校生最初の文化祭は色々トラブルがあって幕を閉じた。

あの後久瀬は「いい案」とやらによって俺もはるを守ろうとしてくれたのだが、その案というのが……


「私、他校の生徒ボコりました!」


「……ほ、本当ですか……!?」


「私1人が勝手にやった事です!なので退学なり煮るなり焼くなり何なりと処分を!」


火野に暴力を奮ったのは自分だと先生に自白し、自分だけが罰を受けるというものだった。


怪我を負い、高校から逃げるように立ち去っていく火野の姿は何人かの生徒が目撃しており、その生徒達から話を聞いた先生達がホームルームでその事を各クラスの生徒達に話し、その直後に久瀬は職員室に自主しに行った。


事が終わった今、そんなの最悪の案すぎるだろ……と思ったはいいものの、その結果は久瀬にとっては予想外のものだったらしい。


「貴方はクラスの仲間達と一丸になって文化祭の準備を頑張って進めていましたよね。そんな貴方が他校の生徒に暴力を振るうなんてきっと訳があると思うのです。」


「……」


「何か一筋縄ではいかない理由があったから、そんな事をしたのですね?」


「それは……」


「例えば、相手が悪い生徒でその子から誰かを守りたかったとか。」


先生はすぐに久瀬の事情を察し、久瀬は俺とはるを……友達を守る為に火野に拳をお見舞いしたと説明したそうだ。


「私は教師として貴方を守りたいですし、貴方の行いも肯定したいです。ですが他校の生徒に暴力を振るったというのもまた事実……罰を与えなくては示しがつきません。だから……」


結果、久瀬に与えられた罰は……



「文化祭お疲れ様〜!」


「うぇーい!」


俺達1年B組は3グループに別れ、それぞれ別々のお店で文化祭の打ち上げをすることにしていた。

俺ははる、久瀬、中守、小倉を初めとした生徒達と共に駅前のファミレスに来ていた。


「は、はい、あお君……!」


「ありがとな。」


俺は右手に怪我を負っていてまともに使えないので、そんな俺を向かいの席のはるは気遣ってくれて注文したポテトフライを俺の口に運んでくれた。

す、好きな女子にこんな事されるなんて夢にも思ってなかったな……不謹慎かもしれないが怪我様々だ。


「大堂君あーん!」


「あー……ってお前もするのかよ。」


「ノってたくせに〜笑」


同じく向かいの席の久瀬も俺を気遣って……くれてるのか、それともからかってるつもりかは不明だが、唐揚げをフォークに刺して俺の口に運ぼうとしてきた。


「ほれほれ〜女子からあーんされたんだから喜んで受け取れよ〜。」


「し、仕方ないな……あー」


「なーんてね!」


と、久瀬は意地悪にも俺に食べさせようとしていた唐揚げを自分の口に放り込む。


「な、なんだよそれー……。」


「にひひ、私のあーんを受け取るには100年早いんだよ。」


そうして楽しい文化祭打ち上げは滞りなく進んでいき、俺と久瀬は自分達と飲み物を要求した生徒2人の為の飲み物をドリンクバーで入れてこようとしたのだが、そこで俺は久瀬にこう聞く。


「久瀬、明日から夏休みまで停学だって?」


「うん。先生頑張って退学にはさせてくれなかったんだ。」


「良かったじゃねぇか。」


「ホントそれな。まぁ最悪退学になっても土方でもなんでもやったるわ!ってつもりだったんだけどね。」


久瀬の様子は案外いつもと変わってないようで俺は安心した。


「はる、お前の事凄く心配してたんだぞ。」


「そうだね。よし!この埋め合わせはいつかしないと!」


「じゃあ……もうすぐで夏だし、夏休みどっか遊びに行かね?例えば_」


「海で私の水着姿を拝みたいのか〜?このムッツリスケベめ笑」


「ち、ちげーよ!」


久瀬はまた俺をからかうような態度でニマニマと笑みを浮かべる。

まぁ、咄嗟に違うと否定はしたけど、正直言って女子の水着姿は目の保養だ……違うというのは嘘になる。


「ま、大堂君が見たいのははるっちの水着姿だよねー。」


「……ち、ちげーし。」


また否定してしまったけど、多分久瀬にはお見通しって感じだろう……実際そんな感じのにやけ顔をしてるし。


「ふーん……まぁそういう事にしといてやるよ少年!」


「少年ってなんだよ少年って。」


そんなやり取りをしながら俺と久瀬は皆の席に戻る。


「ただいまー。」


「おかえりー!」


そうして俺は中守と小倉の間の席に

座ったのだが、その時中守が俺に耳打ちをしてくる。


「で、大堂氏は誰狙いなのでござるか?」


「は?誰狙い……って?」


「おいおい、立花氏と久瀬氏の事でござるよ。」


「は……?」


突然そんな事を言い出す中守に俺は一瞬困惑したが……そうか、今の俺の近くにははるに久瀬と、可愛い女の子が2人もいるのか……。

こういう年頃の男子ってこういう会話をするもんなのか……3年もの間アニメや特撮、ゲームに夢中になってたから、そういうの分からなかったな……恥ずかしい。


「お、俺ははるの幼馴染なんだぞ?当然はるに決まって……」


「でも、オタクってのはオタクに優しいギャルを求める生き物なのでござるぞ。」


「ひ、人によるだろ……。」


そんな会話をしていると、俺の様子を不思議に思ったはるが「どうしたの?」と声をかけてくる。


「な、なに話してるの?」


「そ、それはその……」


「男同士の会話というものでございまする。コソコソ話す様が目障りだったのならすまなかったでございまする。」


俺はなんとか言い訳をしようとしたが、中守がなんとかはるに言い聞かせて話題をそこで終わらせようとした。

それに納得したはるは久瀬との会話に戻る。


「でね、はるっちは__」


「う、うん__」


そんなこんなで文化祭打ち上げは皆にとっての楽しい思い出となり、皆でまた明日からの学校生活を頑張ろうと決めたのだった。





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