プロローグ
「――おはよぉニナ……」
「あれ、もう起きたの~?珍しーね、お姉ちゃんが自分で起きるなんて~……」
ふわぁ、ともう一度欠伸をしながら、起きていたらしい妹――ニナに声をかける。
どうやら縫物をしていたらしい。
手には布が握られていた。
妹の癖になんてことを、とは思うけれど、たまたま目が覚めただけなようで瞼はまだ重い。
「ご飯用意しようか~?まだ眠い~?」
「もう少し……寝たぃ……」
「分かった、おやすみお姉ちゃん~」
「うん……」
実際のところ、もう普通の人なら起きている時間であり、今から寝た場合、朝食兼昼食になること間違いなしなのだが、非常に残念なことに、これがこの姉妹の日常であった。
本来、村などに属す者は農作業に駆り出されるのが当然で、そうでなくとも働かなくては遅くまで寝ることはできない。
国に属する場合は出勤時間が決まっているし、商人ならば稼ぐために日々奔走するものであるからだ。
しかし彼女ら姉妹が時間という概念に捕らわれず自由に生きている、または生きていけているのには彼女らの職業が大きく関係していた。
出勤も帰宅も時間が決まっておらず、ノルマなんていう縛りだってない。
姉妹にとってそれは働くという感覚ではなく、自由に暮らしているだけであった。
それだけで、生活ができている、生活することができる。
そんな幻の誰もが一度は夢見る職業の名は、【ニート】――。
『デイリークエスト、“二度寝”を達成。“職業レベル”アップ、レベル132。“総合レベル”アップ、レベル9812――』
(あ……レベル上がった……)




