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告白は最大の防御  作者: 暗黒星雲
告白は最大の防御
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第9話 星子は平常運転

 今朝は少し早めに起きて支度した。星子の家に寄り、早めに登校させるためだ。星子の家に行ってみると、既に波里が来ていた。


「知子さんおはよ」

「おはよう。波里」

「星子ちゃんはもう起きてるって。今、歯磨き中だと思うよ。あと5分です」


 自信満々の波里だった。すると、玄関から誰かが出て来た。


「おはよう。いつもごめんね。今日は俺が責任もって起こしといたから」

「おはようございます。お兄様」

「おはよ」


 元気よくあいさつしたのは波里だった。この、若いスーツ姿の男性は星子の兄の俊之(としゆき)さんだ。今、大学三年生だったと思う。スーツ姿という事は、もしかして就活でもするのだろうか。俊之さんは颯爽と自転車に跨り、駅方面へと走って行った。


 そして星子が現れる。寝ぐせの付いたボサボサの頭なのはいつもの事だ。私はカバンから寝ぐせ直しのスプレーとブラシを取り出し、星子の髪型を整える。こいつの髪は少しばかりくせ毛で短くしているから、朝のセットは比較的楽だ。星子自身も髪型をいじくるのが趣味ではないのだろう。いつも同じショートヘアなので、こういう時に助かる。


 私はまだ半分は寝ている星子の手を引き、学校へ向かって歩き始めた。


「星子ちゃん。朝ごはんは食べたの」

「うーん。食べたよ。今朝はあんパンとトーストとスクランブルエッグでした」 

「へえー。たくさん食べたんだね」

「うん。波里ちゃんは?」

「私はね。ご飯とお味噌汁とゆで卵とイワシのミリン干しとデザートのプリン」

「朝からプリン? いいなぁ~。羨ましいなぁ~」

「いやいや。プリンは賞味期限切れだったから、朝に焦って食べちゃったんだ。でへへ」


 朝食の話題で盛り上がっている星子と波里だった。私はというと、昨夜のすき焼きの残りを卵とじにしたやつをぶっかけたどんぶり飯だったのだが、このメニューをここで喋るのは少し抵抗があった。

 こんな風に、朝っぱらからガツガツ食べるJKは珍しいのかもしれない。ダイエットだの食べられないだの、ぐちゃぐちゃ言ってる阿呆がクラスにも大勢いるのだが、そりゃ夜中に間食してるからだろと突っ込みたくなる。私たち三人は何故か、かなり健康的な食生活を送っている。


 教室に入るころには、星子はすっかり目覚めていた。


「火炎障壁展開。実弾射撃開始!」


 相変わらず平常運転の星子である。いつものように、妄想に耽っている。


「重力子ライフリング起動。リアクター接続」


 何かのSFアニメだろうか。別作品? と思わなくもない。まあ、敵・味方両方のセリフを喋っているのだろう。


「一発で仕留めろ。重力子砲発射! ズドーン!」


 効果音まで再現していた。こんな時、星子は絶好調だと言える。しかし、星子は私の告白を何だと思っているのだろうか。返事を待っている私の事も、少しは考えて欲しい。

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