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告白は最大の防御  作者: 暗黒星雲
戦場はコタツにあり
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第6話 勝負の行方は

 先ずは親決めだ。ここで親を取り先行できれば勝率は高くなる。俺はサイコロを振った。


 チンチロリーン!


 ①②③


 いきなり最悪の目が出やがった。①②③はヒフミ。通常は、その目が出た時点で負けが確定するのだが、我が綾川家ルールではタダの出目無し。冷や汗をかきながら二投目。


 ①①⑤


 ⑤が来た。良い目だ。妹が④以下を出せば俺の勝ち、親で始められる。


「良い目を出したわね。負けないよ」


 目をぎらつかせ妹がサイコロを振る。


 ④⑤⑥


 何だ!

 何のイカサマだ?

 いきなりシゴロが出るなんて!


 ポカンと口を開けた俺の顔を見て勝ち誇っている妹である。


「私が親ね」


 顎をしゃくりあげ俺を見るその目つきはやはり尊大だ。しかし、これは単なる親決め、勝負はこれからだ。綾川家ルールではポッキー三本までと決まっているのだが、俺は勝負に出ることとした。


「お前が親でいいぞ。ただし、一回に賭けられるポッキーの数を10本にしよう。早急に決着させるためだ」

「分かったわ。上限は10本」


 妹が頷く。俺はポッキーの包装を破り、10本を取り出す。綾川家ルールでは、先ず子がサイコロを振る。


 チンチロリーン!


 ④⑤⑥


 来た。倍付のシゴロ。これは良い先制パンチになる。思わず笑みがこぼれる。

 しかし妹は不敵な笑みを崩さない。


「シゴロを出せば引き分けだし、嵐を出せば二倍付で私が勝つわ」

 

 そんな役が簡単に出てたまるものか。

 妹は自信満々にサイコロを振った。


 チンチロリーン!


 ①①①


「キタ――(゜∀゜)――!!」


 ピンゾロ。嘘だろ。


「知子ちゃんすごーい!」

「凄いよ知子ちゃん」

「さすが姐さん。引きの強さがケタ違いです」


 羽里と星子は両手を挙げて喜んでいるじゃないか。こいつらは俺の味方じゃなかったのか。そして自動人形のトラントロワ型は何やら妹に従属しているかのような口調だった。


 不味い。

 星子のお色気は罠だった。そして、俺の周囲に味方はいなかったのだ。


 俺は20本のポッキーを払った。ポッキーは17本が二袋なので計34本。残りは14本。ここは慎重にいくべきか、勝負するべきか。


 間を取って7本を張る。


「行くぜ」


 今度こそ良い目を出す。そう念じてサイコロを振った。


 チンチロリーン!


 ⑥⑥⑤


 出目は⑤。悪くない。


 しかし、妹は口角を上げせせら笑う。


「これで終わりにしようか!」


 チンチロリーン


 ④⑤⑥


「おっしゃあ~!」


 何と、またシゴロを引いた。信じられない。


「凄い凄い」

「うっひゃ~」

「芸術的です」


 羽里、星子、そして自動人形が称賛する。俺は目の前が真っ暗になる……そう、比喩ではなく本当に真っ暗になった。信じられなかった。


「さあ馬鹿兄貴。PCを初期化しようか」

「マテマテ。何で俺のPCを初期化したいんだ。お前には関係ないだろう」

「関係あるんだよ。家のPCは全てネットワークで繋げてんの。あんたのPCにインストールされてるエロゲがHDDの容量を圧迫して困ってるんだよ。それに、何処から仕入れたか知らないけど、無修正ものがあんなにゴロゴロしてちゃね。特に三人の妹が何とかって奴? 私を脱がせてるみたいでさすがにキモイんだよね」

「何故知っている? いつバレた?」

「だからネットワークでつなげてるんだって」

「俺のプライベートはどうなるんだ」

「無い。まあ通報しないんだから我慢しろよ」

「頼む。勘弁してくれ。他の事なら何でも言う事を聞くから」


 ニヤニヤしながら俺を見つめている知子。

 俺の方をキリっと睨んでからぼそりと呟いた。


「聞けないね」


 そう言ってパチンと指を鳴らす。

 すると目の前にあったどんぶりとサイコロが消え、代わりに俺のノートPCが出現したのだ。

 妹は手慣れた手つきで電源コードを差し込み、そして液晶パネルを開いて電源を入れた。


 ウインドウズが立ちあがるとパスワードはあっさりと入力された。メニューから設定、更新とセキュリティ、回復と進められた。そして、個人用のファイル削除とウインドウズの再インストールを実行されてしまった。

 残念な事に、俺のノートPCは強制的に新品状態へとされてしまったのだ。


 これは天罰か。

 先週の日曜、我が家の郵便受けに入っていた美少女ゲームの体験版。多少不審な気はしたのだが、そのイラストが気に入ってプレイしてみた。そうしたら何と、妹の知子そっくりのツンデレキャラを攻略するゲームだった。他のキャラはそこにいる星子と波里のそっくりさんだったのだ。

 俺は夢中になってそのゲームを攻略した。体験版では途中までしかプレイできなかったのだが、悩んだ末に有料版(1980円)もダウンロードした。星子のそっくりさんから攻略を始め、今から正にベッドインする、そんなシチュエーションでデータはセーブされていたのだ……。


 光学ドライブからゲームのディスクが抜き取られる。妹はそれをトラントロワ型に渡した。


「モモエちゃん。やってちょうだい」

「かしこまりました」


 そのトラントロワ型は猛烈な握力を駆使し、光ディスクを粉々に砕いてしまった。


 あの体験版をプレイしたのはほんの出来心だった。しかし、そのおかげで心の恋人をすべて失う事になるとは思ってもみなかった。



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