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旅は道連れ、キツネも道連れ

当時の原稿を見返すと、人数を間違えていたのが分かる。

指折り数えたはずだったのになぁ(汗)

 ダン達は街道を進んでいた。

 腹を抱えた3人を含めて、()()()でニアラの街からウルスラの街へと移動していく。


 * 


 お気づきだろうか?

 ダン達のメンバーはダン、リル、ウェンディ、ファーニ、マロン、キョーコ、ポーラ、クローディア、ライ、リン、イリア、ロウキだったはず。

 1人多いのだ!


 *


『何を言ってるのだキョーコ? というか誰に言っているのだ?』

 ダンの肩に乗っているキツネの尻尾を生やした小人がキョーコにツッコミを入れる。

「いや~、『1人多くいる!』ってセリフを言ってみたかっただけ」

『せりふ?』

「演劇なんかで役者が言う言葉がセリフというらしいですよ。()()()

 珍しくダンが説明していた。

「珍しい。ダンさんよく知ってましたね、()()なんて?」

「そっちですか? まあ、王都に居た時に知り合いに演劇に誘われましてね、そこで知り合いに教えて貰ったから知っていただけなんですけど」

 キョーコの問いかけにダンが『心外な!』という顔をしていた。とはいえ自分で知っていたわけでなく、他人に教えられたからか微妙に砕けた顔で苦笑していた。


「ほう、知り合いですか? どういった知り合いで?」

「え? どういったって、普通に()()()()()()()()()()()ですよ?」

 リルの問いかけに答えるダン。その言葉にピクリと目が動いたリルが重ねて聞く。

「ふむふむ? それは()()だったのでは?」

「はあ? まあ確かに女性ですけど?」


 ダンがそういった次の瞬間、リルとキョーコが周りのメンバーを集めてダンから少し離れたところで話し始めた。


「なんなんでしょう?」

「あ~、まあ、若い子たちのやることですからね」

「ポーラも混ざってるけど?」

「黙ってらっしゃい!」とライを張り倒すリン。

 こういった事態で残されるいつものメンバーだ。


『……お主は、いつか女人に刺されるかもしれぬな?』

「刺されるって、どうして? まあ今話に出た女性に()()()()()ことはありますが」

『すでに遅かった!』

 ズビシ! とダンの頬にツッコミを入れるタマモ。ダンは『なぜツッコミを受けねばならんのだろう?』と思いつつ、小さなタマモを連れてくる経緯を思い出していた。




 ダンの鞘も完成し、一通りの準備を終えたダン。ほかのメンバーもダンの特訓を昨日の時点で終わらせて、今日は各々の荷物を準備していた。

『おや、またどこぞに遠征かの?』

 トリイでのんびりとダレていたタマモが、その様子を見てダンの近くへと移動していた。

「いえ、次の目的地へ向かう準備をしていましたよ」

『ふむ? して、どれほどの間()()()()()()()()?』

「たぶん1年くらい。いやヘタするとそれ以上かな?」

 ダンがあっさりと告げたその期間に、タマモはあんぐりと口を開けて固まった。


 たっぷり5分。


『長すぎじゃろう!?』

 タメにタメたツッコミをするタマモ。

 本人的にはタメたつもりはなかったのだが、ダンにはそう見えた。

「いや、そもそもどう転んでもいいように土地を押さえただけで、まだ僕の目的は達成されてませんから」


 ダンとしては王国との契約が完遂するにしても切られるにしても、その後の一族の移住先を確保したいという考えから、これ幸いと掘り出し物としてここの契約の巻物を入手しただけである。

 なかった場合は()()()()()()()()()()()()結果になっただけのこと。

『さらっと恐ろしいことを言うではない!』

「まあ、目的を達成したら戻ってきますから」

『まて、サニーも連れて行くのか?』

「それは当然。ここにいても食事に困らなければ良かったんですが、1頭とはいえ馬が居たらここの草が禿げても何年とは持たないでしょう?」


『それでは、()()ワシが一人になってしまうではないか!』


「え~?」と声を上げようとしたが、ダンもさすがに空気を読んで口には出さなかった。

 若干目を潤ませたタマモが、タシタシと地面を叩く。

『ワシだけ仲間外れは寂しいの!』

「とはいえタマモはここで生まれた精霊でしょう? ついてくるって出来るの?」


『それは、その~』と口ごもるタマモ。多少離れるくらいならば問題はないが、タマモはここの自然から生まれた精霊族だ。風の精霊などであれば移動に制限などは掛からなかったのだろうが、タマモは恐らく離れすぎると姿を保てなくなると思われる。


『あ、そうじゃ!』

 そう言ってタマモは何か力を貯めると、体からポンッ! と毛の塊を出した。

「旅に出るんだから汚さないでくださいよ」

『汚れではないわ! ぬぬぬ!』

 さらに力を込めてその毛の塊を凝視するタマモ。すると毛の塊が人の形を取った。

 見る間に小さな人形のようになったソレ。腰の辺りからはタマモの尻尾と同じ色の尻尾が生えている。

「獣人人形?」

『違う、ワシの分身じゃ!』

「おお? 喋った」

 目の前でタマモと人形が同時に喋る。なにやら反響するような感じだ。


『お主の契約の巻物を出してくれんか?』

 そう言われてダンはポーチから契約の巻物を抜き出すと、人形タマモが巻物にそっと手を添えた。ほのかに光に包まれる巻物と人形タマモ。そして光が収まると手を放して人形タマモが胸を張って言った。

『これで巻物とのリンクが出来たから、ついていくことが出来るぞ!』

「え? そうなんですか?……コレ、ここに置いていこうかなぁ」

『置くな! ちゃんと連れてけ!』

 ダンが思わずこぼした言葉にタマモと人形タマモが同時に怒り出す。

『ちゃんとした理由もある!』

「……どんな?」

『うむ、それはだな』

 それからタマモの説明が始まった。


 どうもタマモの精霊としての知識というか感覚では、各地にある『地脈』という場所からなら、ここまで瞬間移動が可能っぽいらしい。『っぽい』というのは、タマモもあくまでも感覚のことらしく、実際に試したことが無いのが理由のようだ。


「しかしそんな話は聞いたことありませんよ?」

『うむ。それ故にぜひ試してほしい!……たぶん、ダンなら死ぬことも、バラバラになることもあるまい』

「おい、キツネ? 今ヤバいことを言わなかったか?」

 危険な発言にダンも思わず戦闘状態に近い精神になった。

 ガシリとタマモの頭を押さえて、その瞳を覗き込む。

『あ、いや、その……試してみないとわかんないかな? 待て待て! たぶんダンの生命力なら持つだろうという発言だ!』

「僕の身体はちゃんとした肉で出来てるんですけど?」


 精霊の身体を構築しているのは自然の生命力。人種の身体とは違うんだぞ? と念を押すダン。

『とはいえ精霊に劣ることのない生命力の持ち主のお主ならば可能かもしれん!……あの? 怖い顔止めてくれんか? とりあえずワシの分身を連れていってくれれば、ワシと感覚共有(リンク)してるから、ワシ寂しくない!』

「結局そこですか」

 タマモの言葉に、結局ダンは人形タマモを連れて行くことにした。


 *


「とりあえず『地脈』とやらを使った瞬間移動の実験は、まずは適当な魔物を使って行いますからね?」

 肩に乗るタマモにそう言ったダン。

『もちろん。……というか相変わらずじゃな、お主は』

「どうしました急に?」

『いや』と言ってそちらに顔を向けるタマモ。

 今まさにダンの手刀で倒される巨大な蜘蛛型魔物がそこに居た。足と頭を関節の節に沿って落とされる魔物。虫型故か、倒されてもビクビクと動いている魔物を流れるようにマジックバッグにしまうダン。


 現在一行はウルスラの街へと至る道中の森の中に居た。

 時刻は間もなく日没だ。

「あ、今の魔物で実験したかったんですか?」

『あ~、とりあえずもう少し大人しい魔物でお願いしたい』

「そうですか。……そのまま消滅してしまえば良いのに」

『こっわ! お主怖すぎるぞ!』

「はて? 何か言いましたか僕?」

 ライとリンは首を横に振るが、ダンの肩に居たタマモにはばっちり聞こえていた。

『キツネいじめがひどすぎる!』

「そういうタマモこそ、契約者の命を軽んじすぎじゃないかな?」


 とりあえず『地脈』の土地とはなかなか存在しないようだから、タマモの実験もそうそう機会が訪れることはないだろう。

 仮にあったとしても、その場合はまずタマモ()()をダン達の下に来れるか試させよう。そう心に決めたダンであった。

読んでいただきありがとうございます。

順次公開していく予定ですが、これより先の話を見たい方は


アルファポリスでの投稿ページ

https://www.alphapolis.co.jp/novel/872180522/8274942

にてお読みください。


よろしくお願いいたします。

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