初代仁右衛門の章 ネタバレ
今回は第1章の盛大なネタバレです
まず、初代仁右衛門の章における主要登場人物ですが
西川甚左衛門(仁右衛門)
伴伝次郎資忠
五井宗兵衛高安(三井越後守高安)
外村大助
外村小助
ですが、実は西川仁右衛門さん以外はすべて私の創作です
といってもモデルになる人物はいます
まず仁右衛門の師匠役で登場した伴伝次郎ですが
八幡町の名門商家扇屋の家祖となった伴庄兵衛資則という人物がモデルです
書いてて何度も「でんじろう先生」と書きそうになりましたw
庄兵衛の兄・太郎左衛門尉資家は実在の人物で、甲賀忍者伴長信のモデルとなったとも言われる人物です
資料に残る伴資家は、甲賀郡伴谷の郷士で本能寺の変の日にたまたま用があって信長を訪ねていて巻き込まれたという非常に不運な人物ですw
まあ、たまたま訪ねていたという不自然さから甲賀忍者だったという伝承が生まれたと思われます
その弟・庄兵衛資則は本能寺の変の後安土町に住み、そこから八幡町に移住して商売を始めたと言われています
本家庄兵衛家は5代目で没落し、資則の息子で分家の荘右衛門資明が扇屋を一大商家に育てたと言われます
この辺は盛り込むとややこしくなってしまうので、荘右衛門は伝次郎の息子ということにしてこの辺を端折りました
資明は貧民に一汁一菜を施すから長命寺に来るようにと言って炊き出しをしたり、寒さに震える者を見かけたら麻の服をあげたといったお救いの伝説があります
年代的に、寛永飢饉の頃の話じゃないかなぁと思います
三井越後守高安
この人は実在の人物ですが、作中に登場するような『蒲生家の商人司』であった事実はありません
史料に残る高安は元六角家臣で、没落して伊勢松坂に移り住んだということだけです
ちなみに、客観的史料の中に高安の名前が出てくるのは伊勢の商人紅粉屋藤太夫に借金した借用証書の中に『三井越後守殿』と出てくるのみで、それ以外は三井家の家伝にしか出てきません
後の大三井の祖となる越後屋と、西川産業の祖となる山形屋の対比をしていきたいという想いからけっこう凄腕の商人という設定にしました
外村大助・外村小助
この兄弟は童門冬二先生の『近江商人魂』の中の太市小市兄弟に倣って登場させました
劇中では完全なる脇役ですが、彼らの子孫が後々作品の中で重要な働きをしてくるかもしれません
ちなみに、小舟木勘三郎の登場人物は全て創作です
山賊大名はただただ『近江堅崎藩三万石』という舞台を作りたくて書いた作品でした
今後近江の轍が一段落してくれば、派生作品を色々と手を広げていきたいなと思っています
非常に厚かましい話ですが、藤沢周平先生の『南部海坂藩』のような舞台装置にできればいいなぁと妄想しています