表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ouroboros  作者: 卯月月兎
第1章 暗い炎
1/2

始まりの日

初めまして!

初投稿です!拙い文ですが楽しんで頂けると幸いです!


まずは書き切る事を目指して自分のペースで頑張ります\\\\٩( 'ω' )و ////

「赤崎さーん。例のサンプルを使った実験結果、どうなったんです?」


顕微鏡を覗きながら如何にも研究員といった風貌の男が後ろに声をかける。

デスクで実験結果を書き留めていた男、赤崎翔(あかさきしょう)が投げやりに答えた。


「実験棟で名前を呼ぶのはやめろって言ってるだろ。主任と呼べ。」


「いや、赤崎さん主任なんですけどなんか全然上司っぽくないじゃないですか。主任って呼ぶとなんか固いし距離感じるんですよねー。うぉ、相変わらず活発に動きますねぇ()()()


未だ顕微鏡から目を離さず友人に語りかける様に切り返すこの男は東雲魁斗(しののめかいと)

赤崎翔の率いる細菌、細胞学チームの若き天才である。仕事はできるのだがどうにも自由人であり()()()()()()()という事しない。そのせいか、他の研究室では馴染めず流れ流され赤崎翔の研究棟にたどり着いた経緯がある。もっとも赤崎翔も自由人なので変に馬が合ってしまい赤崎主導研究におけるこの場所は、興味のある事に個人個人が取り組む異質な研究棟になったのである。


「全く緊張感のない奴だよ」


「いや、赤崎さんに言われたくないです」


「サンプルを使った実験だがな、中々おもしろ…ヤバイ感じになってきたぞ」


「話逸らさないで下さいよ。…ヤバそうって、なんかあったんですか?」

ヤバイと言うワードに反応したのか長いこと睨めっこしていた顕微鏡から目を離し、赤崎に問いかけた。


「今東雲が観察してる捕食細胞「ouroboros(ウロボロス)」を鼠に虫、蛙や蛇に魚、それぞれの種毎に投与したのは聞いてるな?」


「はい。俺が細胞の動きを調べた限りでは他の細胞を取り込み変質させ爆発的に増殖する。ではそいつを被験体に投与したらどうなるのか。その際被験体に生じる肉体の変化を調べるって話でしたよね?」


「その通りだ。それぞれサンプルを10匹ずつ用意し、投与した。その結果なんだが全てのサンプルの9割が死滅した。ここまでは大方予想通りだ。何せ細胞を見境なく喰らって増えていくんだ。生命維持に必要なものでさえ喰らってな。」


「でしょうね。それで、残りの1割はどうしたんですか?ただ生き残った…なんて事はないでしょ?」


「…察しがいいな。結論から言うと、既存の生態系では見られない驚異的な進化を遂げた。何より、ただの鼠が飼育ゲージの鉄を咬みちぎった。」


「…は?」

東雲は思わず素で返事をしてしまった。


「いやは?じゃなくてな。事実だ。生き残った奴は例外なく特殊合金の檻を喰い破って同じ境遇のサンプルに向かい、全て喰い散らかした。それに攻撃性がかなり高くなっている様だ。同族を喰らった後は自分より大きいサンプルの生き残りにすら襲いかかった。」


「そこまで身体能力を引き上げる代償が攻撃の増加なんですかねぇ…サンプルの中身(細胞)はどうなってたんですか?ouroborosだけで活動していたんですか?」

足を組み頭を掻きながら東雲は可能性について思考する。

正直異常だ。

生き物の皮だけ残して別の生き物になったと言っても過言ではない。


もしouroborosが生き物の中身を乗っ取る性質のモノであるならすぐ様廃棄処分する必要がある。

しかしこんな危険でヤバさしか感じないモノでも哀しいかな。

研究者というものは未知を既知へ変えたがるもの。

もう少し調べてからでも遅くはないと東雲と赤崎は考えたのだった。


「そこが肝なんだ。東雲、ouroborosの特性を考えるなら細胞の全てが喰われ、既存の細胞が全てouroborosに変わるはずだよな。でも生き残りは違った。ouroborosと既存の細胞がバランスを取り合っていたのさ。個体ごとにそのバランスはまちまちだが…」


「ちょっと待って下さい!俺色んな細胞や細菌を試してましたけど今のところouroborosに喰われなかった細胞なんてないですよ!アレは何でも喰らう。今明らかになっているouroborosの性質と矛盾します!!」

東雲は食い気味にまくし立てた。

ouroborosがこの天道研究所で所長である天道成蹊(てんどうなりみち)に発見されて1年。様々な実験を行なったがouroborosが捕食をやめたことはない。

天道研究所の赤崎チームはouroboros研究を全面的に任されている。変人の集まりではあるが能力は一級品。そんな自分たちが見落としてるとは考えたくはなかった。


「だからこそだ。動物実験に踏み切って新しく分かったこと。ouroborosは何らかの方法で抑制できる。こいつが分かっただけで万々歳だ。これからはouroborosの抑制方法、並びに個体にどういった影響があるのか詳しく調べる必要がある。その為には東雲、お前の力が必要だ。これからは片手間ではなく全ての研究をouroborosに向けて欲しい。頼めるか?」

赤崎は力強い目で東雲を見つめる。


「…いいですよ。やってやろうじゃないですか。今後は全ての研究依頼をキャンセルして()()()()()()()()()()に付きっ切りでお相手しますよ!」

東雲はニヤリと笑い赤崎へ手を差し出す。赤崎もつられて笑いその手を取った。


「ああ。よろしく頼むよ!」

前日譚的なお話です。

ouroboros連呼し過ぎ問題

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ