【-挿 話-】『シューティングレンジ』
本編からカットされた話です。
消すのも勿体ないと思ったので、こぼれ話として残しました。
読み飛ばしても何ら問題はありません。
「今日から仮想現実運動装置を使うッ!」
広い部屋には九つのシリンダーと、ギルバ、レオ、ヴィン、テレサ、ニマ。
そして奥にはエルヴィスと情報処理のスペシャリストであるロビン・ミスト・アルナが座っていた。
相変わらずの猫背で目の下に真っ黒なクマを作り、不健康そうな様相で机の上のパソコンを弄っている。
きっと、この部屋のマシンを使うための準備か何かだろう。
エルヴィスは彼女のそばで何やら手を動かしている。
一年ほどの基礎訓練を経て、遂にこの時が来た。
「いよいよこれを使う時が来たのか……」
「ごくりっ、なのですっ……」
「長かったなぁ……」
「本当にね……」
訓練後半に使うと言われていたマシンを前に、万感の思いが込み上げる。
心折れずにここまでやってきて、ようやく果てなき地獄の日々に終わりの光が差したのだ。
「俺達はこれから何を?」
レオが尋ねると、ギルバは猛獣のように歯を見せて笑い、一人の男を呼びつける。
「エルヴィス!用意できたなら持ってこい!」
「はい隊長!全部できました!」
そう言って、エルヴィスは大量の黒い塊を抱えてやってきた。
それをギルバに渡し、急いで元いた場所に戻っていく。
ギルバは手渡されたものを広げて見せてくれた。
「これはシンクロスーツだ。これを着ることでモーショントラッキングして仮想現実でも同じ動きができるようになる。瞬時に膨らむ圧力パッドは擬似的に衝撃を再現できるし、張り巡らされたワイヤーは電流を流すこともできる」
それは黒い厚手の全身タイツに、白い斑点とワイヤーが張り巡らされているような見た目だった。
村で長らく一種類の服装しかしてこなかったレオでさえ、お世辞にもお洒落とは言い難い見た目だ。
テレサが、「これを着るの……?」とでも言いたげな表情をしているが、教官のギルバにそれを言えばどうなるかわからないので、苦い顔をして口を噤んでいる。
「そういうわけだ、とっとと着替えろ」
ギルバは投げやりな口調で持っている物を一つづつ投げてきた。
伸縮性の高い繊維と弾力のあるワイヤーに叩かれる感触を得ながら、案外重量のあるスーツを受け取る。
部屋の脇にある着衣室で、レオとヴィンはエルヴィスに、テレサとニマはロビンに手伝ってもらいながら、着替えを終わらせた。
*
レオ、ヴィン、テレサ、ニマの四人は仮想世界の中に立っていた。
専用のVRヘッドギアについているゴーグルのおかげで、視界はトレーニングルームではなく見知らぬ草原を映している。
視界の良さは現実と殆ど区別がつかない。
音声もヘッドギアについているスピーカーから流れ、この仮想世界の臨場感を高めるのに一役買っていた。
極めつけは、シンクロスーツを着用したことによって、体の動きが完璧に再現されていることだろう。
右手を動かせば右手が動くし、身体を捻れば身体が捻られる。
見えているのは自分の身体じゃない筈なのに、動きに対する反応は違和感の無いほどに正確なものだった。
ここに来て二年が経ち、科学技術にかなりの感動を得た三人であったが、ここでまた一つ大きな感動を得ていた。
「すげぇ……本物みたいだ」
「おほほ!レオちんキーック!」
「うぎゃあ!」
ニマが向こうからやってきて飛び蹴りをかますと、弾かれたようにレオの身体が飛んだ。
蹴られた脇腹がジンジンと痛むが、何故かニマも痛そうに倒れている。
「いてて、空振りっ?」
「そうか、身体の本体は接触してないもんな」
仮想世界では飛び蹴りされたように見えるが、実際には別々のシリンダーに身体があり、接触は起きていない。
つまり、ニマは中空に向かって飛び蹴りをし、そのまま地面に落ちたのだ。
蹴りによってレオが受けた衝撃は、シンクロスーツの圧力パッドが疑似的に再現したものに過ぎない。
「よく出来てんなぁ」
「くう!ならばパンチしかないなっ!」
「なにをするっ!」
ニマが迫り来ようとした時、二人の間に大の男が割り込んだ。
教官であるギルバが鬼の形相を浮かべている。
「おい、誰が勝手に動いて良いって言ったッ?ああッ?!」
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」
「お、俺は何も」
「マスターコマンド!プレイヤー二とプレイヤー三に電気ショック!レベル三ッ!」
ギルバが宙に不穏な文字列を叫ぶと、突如全身に激痛が走った。
頭の先から足の指先までを、棘だらけのワイヤーで貫いたような痛みだ。
「ぐあああいってえええ」
「ぎゃあああじぬううう」
悶絶して転げまわる二人を蔑視し、ギルバは何もせずに待っていた二人に告げる。
「あの馬鹿共のようになりたくなきゃ、俺の指示をしっかりと待て!わかったなッ!」
「は、はひいっ!」
「はい教官!」
ヴィンとテレサは深々と頭を下げた。
教官はこの場所で、現実よりも凶悪な力を手にしているようだ。
『楽しそうねぇ~』
突如、気だるげな女性の声が脳内に直接語り掛けてきた。
という風に感じたが、実際はスピーカーから聞こえた音だろう。
この声は情報処理のスペシャリストである、「ロビン・ミスト・アルナ」のものだ。
どうやら彼女は現実の世界からこちらを見ているらしい。
「お前もこっちに来るか?プレイヤーとして」
『電気ショックで寝るのって気持ちいいのかなぁ』
「試してやるぞ、早く来い」
『あはは、それより準備できてるわよぉ~』
ブツリと切断音が鳴り、天の声が消える。
このマシンを使う為に必要なことは済んだらしい。
「よし、お前ら歩いてみろ。まあ馬鹿二人のせいで大丈夫だとわかってるがな」
馬鹿に含まれたことに内心で不満を抱きながらも、言われた通りに歩いてみた。
すると、仮想世界内の景色――今回の場合は草原の景色――が動く。
こちらの動きに合わせて、床は反対側に動いているのだろう。
事前の知識はあったが、歩いても歩いてもシリンダーの壁にぶつからないのは不思議な感覚だった。
「いいぞ、次は走り回って見てくれ」
足の回転数を上げ、草原の上を全員が走り回る。
先ほどよりも景色が目まぐるしく動くが、やはりシリンダーの壁にぶつかることはない。
実際に走るのとは少し感覚が違うが、おおよその問題はなさそうだ。
「これなら大丈夫だろう、感謝するぞロビン」
『調整終わったしぃ、もう寝てていいかしらぁ?』
「駄目に決まってんだろ、とっとと練習武器を持ってこい!」
『ふぇ~ロビンちゃん過労死しちゃうよぉ~』
そんなやり取りの後、足元に突然銃が転がってきた。
「仮想世界で使う練習用のウェポンだが、重さや反動は本物と同じだ。鍛えてきたとはいえ変な姿勢で撃つと肩壊すから注意しろ。特に雑魚と馬鹿」
「お、俺かよ」
「心外なのですっ!」
レオとニマが口答えすると、再び身体を電流が駆け抜けた。
「あと絶対に投げるなよ。仮想世界の物体はいくらでも投げていいが、この銃だけは現実の物体と同期してる。つまり投げたらシリンダーが割れる。飛び蹴りも二度とするな」
今度は口答えする者はなく、ただ頷きがあるのみだった。
まじまじと銃を眺めるレオの横で、ヴィンやテレサやニマも興味深そうに見ている。
無骨な黒い拳銃で、村に来たアメリアが持っていたものに似ている。
もしあの時のものと同じであれば、この小さな武器は村の保安隊を打ち倒し、神官を倒し、辛くもヴィンを救い出したのだから侮れない。
恐らくこの世界では、達人の剣よりも凡人の銃が勝るのだろう。
「すげぇ……」
「これが銃なんだね……」
「そんなもんに感心すんな。身を守るのに必要だから渡すが、本質的にはただの殺しの道具だ。ガキが喜んで持つようなもんじゃねぇ」
この金属の塊が忌み嫌うべき物だと言わんばかりに、ギルバは吐き捨てた。
「……それで、僕達はこれから何をするんですか?」
「持たされたものを見て察しろと言いたいが、一先ずは射撃訓練を行う。そういう訳でロビン、マップを変えろ」
しかし、返事はない。
十秒程が経ったであろう頃、業を煮やした様相のギルバが天に向かって声を荒げた。
「ロビン何してんだ!」
『……はわぁ~、なぁに?』
「寝てんじゃねぇよ絞り潰すぞ、ボサボサの髪に火を点けられたくなかったらとっとと変更しろッ!」
『もぉーうるさい男ねぇー』
気の抜けたハスキーボイスが聞こえ――――
「「うわあっ!」」
突然、世界が真っ暗になって何も見えなくなる。
先ほどまで存在していた筈の、草原の草も、地面も、空も、闇となって消えた。
その“何も無い”という状態は平衡感覚を大きく狂わせ、倒れそうになる。
誰も倒れずに済んだのは、虚無の空間が一秒足らずで終わったからに他ならないだろう。
気付けば新しい空間が構築されており、そこは「シューティングレンジ」の名前の通り、射撃を行うための訓練施設が現れていた。
「新しい訓練を始めるぞ」
*
シューティングレンジの射撃エリアに入り、四人はギルバの話を聞いていた。
「まずは基本的な射撃訓練を行う。大事なのは正しい使い方と構え方だ」
ギルバは自分の拳銃を見せて、一つづつやることを説明してくれた。
弾倉と弾丸の確認、装填、構え方、狙い方、安全装置の解除、そして発砲。
十五回の発砲音が鳴り響き、二十五メートル先にある標的が小さく揺れた。
全てを打ち終わってから、ギルバが射撃エリアにあるボタンを押すことで、標的はどんどんこちらへ近づいてくる。
やがて目の前まで来た時、標的の頭部に十五個の穴で笑顔が作られているのがわかった。
「撃つまでの流れはざっとこんなもんだ、質問は?」
あまりにも綺麗な実演だった為、質問の余地が浮かばない。
そのまま黙りこくっていると、ギルバが手を叩いてヴィンの胸を叩いた。
「なら最初はウジ虫、お前がやってみろ」
「ぼ、僕からですか!?」
「マスターコマンド、プレイヤー四に」
「やりますっ!やらせて頂きますっ!」
ヴィンは大急ぎで銃を取り出し、先ほどの手順を思い出しながら一つ一つ進めていく。
そしてハンドガンを構えたところで、ギルバからストップがかかった。
「構え方が違う、豪速球を受け止める時にそんな棒立ちでキャッチできるのか?」
「ご、豪速球ですか?」
「反動をどうやって逃がすかって話だよ。腰を落としてグリップは一番上を握れ、銃は目線の高さまで持ち上げて、肘と膝は伸ばしきるな!足は肩幅程度に開く!銃身を真っすぐ構えろ!腕をプルプルさせるなッ!」
「ひいぃぃ」
その後も厳しい言葉と細かい指導が入り、ヴィンは涙目になりながら発砲の準備を整えた。
「よし、安全装置を解除して、狙いを定めてから撃て。標的との距離はたった五メートルだ、外した分だけ電気ショックを喰らわせてやる」
「い、いきますっ!」
息を止めて引き金を引く。
スピーカーの音声だとは思え無いほどにリアルな発砲音が鳴り、その度に銃身が大きく跳ね上がる。
何発も撃ち込み、そして。
カチリという硬質な音が鳴り、ヴィンの手番に終わりを告げる。
ギルバがボタンを操作することで、五メートル先にある標的が目の前まで近づく。
そこには纏まりなく散らばって穴が空いていた。
「結果は、命中は十一発、四回死亡だ。この距離で外すのは笑えねぇな、もっと必死にやれッ!」
「ごめんなさい!」
「マスターコマンド!プレイヤー四に電気ショックを四回!」
「ひいい!」
四回の痺れを感じた後、下がるよう指示をされたヴィンが戻ってくる。
代わりに手招きでテレサが呼ばれた。
「次はメス豚だ、せいぜいスライドが引けることを祈ってるぞ」
「わかりましたっ!」
スライドを引けるかどうか心配されていたが、少し大変そうにしながらも引くことができた。
その後に何回か注意をされながらも、射撃の準備が整う。
「ウジ虫は一人目という役回りで十一発当てた。後続はウジ虫を参考にできる以上、それを超えるのが最低条件だ。言っとくが女だからってのは言い訳にならねぇぞ。プテポリプスの前じゃ男も女も一緒だからな」
そう言ってギルバはレーンのボタンを操作し、標的を遠くへ移動させた。
遠くへ遠くへ、それはヴィンの時よりも遠い位置で止まった。
「距離は十メートル、外した数だけ電気ショックだ」
「え、どうして私の方が遠いんですか?」
「見た以上、五メートルは命中させて当たり前だ。ならば条件を変えるまで、現実は予習通りには中々ならねぇからな」
「うわー相変わらず理不尽!頑張れテレサ!クソ教官に負けるな!」
「そうだーっ!クソ師匠に負けるなーっ!テレテレふぁいとーっ!」
レオとニマが電気ショックに倒れ、テレサは標的に向かい合った。
引き金を引き、一発。
「きゃ!」
「目を閉じるなッ!敵を見ろッ!このアマがッ!」
「は、はい!」
続けて二発、三発、四発。
何回か標的手前の地面で土埃が上がる。
やがて全てを撃ち終え、標的が手前まで戻ってきた。
「おい本気でやってんのか?!命中は八発、七回死亡だ。こんなんじゃ犬も追っ払えないぞ!」
「もう一回やらせてください」
「電気ショック七回!」
「きゃあああ」
聞くに堪えない悲鳴が鳴り響き、鬼教官が次の犠牲者を呼び出す。
「下がれメス豚ッ!次はへたれ馬鹿だッ!早く来いッ!」
ニマが引き攣った笑顔を浮かべて前へ出てきた。
「距離は十五メートル、何度でも言うが外した数だけ電気ショックだ」
「に、ニマは不死身なのですっ!」
「ほほう!そいつは楽しみだッ!」
「ひゃえええ~っ」
ごちゃごちゃと言われながらも、準備を終えたニマは引き金を引く。
「ゲームとは感覚が違うのですっ」
ニマは最初の数発こそ難しそうにしながらも、すぐに感覚を掴んだようだ。
弾丸が標的を揺らし続け、全てを撃ち終わった後にギルバはレーンのボタンを押し込む。
ヴィーンと音を立てながら、十五メートル先の標的が手前へ迫ってきた。
「十一回命中、四回死亡だ。一番マシだが話にならん。鍛錬に励め」
「了解なのですっ!」
ビシッと聞こえてきそうな敬礼をするニマだったが、ギルバは特段の反応を示すことなくコマンドを唱えた。
「電気ショックを四回。レベル四」
「ぎょえええ!」
赤髪の少女が煙を噴いて倒れる。
さりげなく彼女に対してだけ電気ショックのレベルが高かったのは気のせいだろうか。
「最後は口だけ雑魚だッ!出てこいッ!」
前へ出ると、ギルバが標的をどんどん奥へ移動させる。
五メートルずつ増やしている流れからして次は二十メートル、になると思っていたのだが。
「距離は二十五メートル。一発でも外したら電気ショック十五回だ」
「俺の条件だけやたら厳しくないですかねぇ!?」
「マスターコマンド」
「畜生が!やりゃいいんだろ!」
この男には、文句も嘆きも泣き落としも無意味だ。
ただ求められることをやり、最高の成果を出す以外に助かる道はない。
レオは言葉を飲み込み、今までの手本を参考にして一連の動作に挑む。
予習できる時間が長かったのもあるだろうが、ギルバに一切の文句を言われること無く、完璧に前準備を終えて照準を合わせたのには、この場の全員が目を丸くした。
「ほう、それじゃあお手並み拝見と行こうか」
「黙って見てろ」
「よし、外したら二十回に変更だ」
「畜生ッ!」
距離は二十五メートル、最初にギルバがやったのと同じ距離だ。
しかも全弾を当てなければ、冗談じゃなく二十回の電気ショックを貰うだろう。
最高に厳しく、最高に理不尽な訓練だ。
「全部当てりゃいいんだろうがっ!目ん玉ひん剥いて見とけやクソ教官ッ!」
「……お前、アメリアに似てきたな」
精神を研ぎ澄まし、標的を見据える。
使ったことの無い武器が、自身と一体になった気がした。
「やはりか」
ギルバの呟きは耳に入らない。
一発、二発、三発、発砲の度に銃身が跳ね上がる。
それを毎回丁寧に修正する。
ギルバは手早く正確に撃っていたが、今回時間制限は特に課されていない。
であれば、正確さを意識して一発一発丁寧に撃ち込むのが最善だ。
頭を狙うなんて器用な真似はできない、面積の広い胴体を狙って、引き金を引く。
あそこにある標的が、憎きノーマンであると思って、引き金を引く。
大切な人の命がかかってると想像し、引き金を引く。
呼吸を整え、息を止め、引き金を引く。
整え、止め、引く。
十五回目の引き金を引き終え、レオは弾倉を取り出して空であることを確認した。
二十五メートルも離れていると、弾がどこに着弾したのか判別し辛い。
それでも、悪くは無かったと感触が告げていた。
「終わったよ教官殿」
どんな文句を言われるのだろうと思いながら振り返ると、ギルバは今まで見た中で一番難しい顔をしてレオを射抜いていた。
そして、怒りとは全く違う感情で言った。
「……やはり才能というのはあるものだな」
「は?」
ギルバの小さ過ぎる呟きは、言葉の意味まで届くことは無かった。
怪訝に聞き返すレオから視線を外し、そのまま射撃エリアのボタンを押す。
標的がどんどん近づいてきた。
十五メートル、十メートル、五メートル。
そして、ヴィンやテレサだけでなく、レオ自身もその的中率に目を丸くした。
「結果発表だ。十四発が命中、一回死亡」
「……ええ?!レオ、すごくない!?」
「すごいねレオ、私できる気しないよ」
「レオちん半端ないぞっ!才能開花だねっ!やったー!」
ヴィンとテレサとニマが驚きの声を上げる。
まさか十五発中、十四発も当てられるとは思っていなかったので、自分でも驚く。
「……ああ、なんか、意外とできた、けど」
三人に褒められる。それは素直に嬉しかったのだが、一発だけ外してしまった。
ギルバは一発でも外したら二十回の電気ショックだと言っていたが、どこまで本気なのだろうか。
恐る恐る振り返ると、そこには腕を組んだギルバがこちらを見つめていた。
「……悪くないぞレオ。お前には射撃の才能があるようだ」
「じゃ、じゃあ……!」
ギルバが笑う。
猛獣が微笑んだような、柔らかくも強い笑顔だ。
そこにはどこか温かさがあり、彼の中にある優しさが垣間見えたような気がした。
「マスターコマンド、プレイヤー三に電気ショックを二十回」
いつも感想、評価、ブクマ等ありがとうございます。
とても励みになっています。




