第8話 ノーパンツ・ノーライフ
ギャルのパンティーおーくれ!
「う~ん。」
4月も終わりに近づいてきた日の放課後、クロは黒魔術研究部の部室で唸っていた。
「これはどう?」
「う~んそれもなぁ、なんかもっと一撃必殺的なのが良いな。」
クロとユメはクロが図書館から借りてきた”〈スキル・技〉辞典“を読んでいた。
これの他にもう一冊、”〈スキル・技〉修得の極意“を借りてきている。本当は“モテる男のテクニック 〈スキル・技〉編“も借りたかったのだが借りて読んでいるところを見られたら恥ずかしいのでこっそり図書館で読むことにした。
クロは自分に攻撃系のスキルや技が無いのに焦り、取り敢えずなにか覚えようと思ったのだ。
スキルは修得するのが難しく時間がかかるので今は技のページを読んでいた。
「飛剣とか残切とかカッコイイけどMP使うからなぁ。」
飛剣は武器に魔力を纏わせ魔力の刃を飛ばす技、残切は武器に魔力を纏わせながら振り、振った武器の軌道上に魔力の刃が残る技だ。
「でも技ってだいたいMP使うよ。」
「そうだけど当たんなかったらMP損だし、それにこの技って当たっても大した威力ないからさ。だったら多少MP消費激しくてもいいから強い技が良いんだよなぁ。」
「でもそうゆう技って修得するの大変らしいよ。」
「マジで!」
「うん。だってそう書いてあるよ。…ほらここ。」
「本当だ。しかも初級の技覚えてないと使えないのもある…。」
すぐにでも覚えたかったクロは肩を落とす。仕方がないのでなにか簡単そうなのはないかとページをめくっていく。するとひとつの技に目がとまった。
「これいいな。簡単そうだし。しかもMPもそんなに使わない!」
「この咆哮ってやつ?叫ぶの?」
「ああ、魔力を込めて叫ぶだけらしい。これならいけそうだ。」
咆哮はブレス系の初級技で、相手を怯ませたり威嚇する技だ。強い魔獣になると効かないのが殆どなのであまり修得する人はいない。
「それにこれの上位技のデススクリームって強そうだし。黒魔法付属するから俺にぴったりだよ。他にも上級技の破壊光線とか超カッコ良さそうじゃん。」
「でもそれって魔獣が使う技だよ…。」
「アハハ、いーんだよカッコイイから。よし、帰ったら練習しよ。」
部長のキキ先輩は怪しげな液体の入ったフラスコを二本の触手で持ちながら何かの研究している。眼鏡が不気味に光りニヤニヤしている先輩は近づき難い。部室に入ったときからそうして研究していた。
他の二人の先輩は今日は来ていない。クロとその二人は正式に入部した初日に顔合わせをした。双子の女の子だった。名前はルリとエリ。そっくり過ぎてどっちがどっちだか判らない。金髪碧眼の美少女で、肌はアリスと同じく恐ろしく白い。胸が小さいのといつも無表情なのが少し残念だ。部室のカーテンをいつも閉めているのは太陽が苦手な二人の為だ。
二人は時々ふらりと部室に来ては読書をしたりお菓子を食べたりしている。それを見たクロとユメはこの部活の緩さを認識した。
顧問の先生はミル先生という保険医の先生だった。保険医の先生が顧問というのに驚いたが、キキ先輩いわくこの人は黒魔術に詳しいらしい。そして何よりクロが驚いたのはその色気だ。体つきも良いのだが仕草や声も妖艶だった。普段は保健室にいるのでたまにしか部室に来ないのだがそれでもクロはこの部活に入って良かったと思った。
「もうこんな時間か。俺はそろそろ帰ろうかな。」
本を読みながらユメと話していたらもう夕方になっていた。
「あ、じゃあ私も帰る。」
「先輩、俺達帰りますね。」
「………」
どうやら先輩は研究に熱中していて聞こえていないようだ。仕方がないのでそのまま部屋をでた。
部室を出てユメと一緒に歩いて校門の近くまで来たとき急にユメが立ち止まった。
「ねぇ、あれってサブロー君じゃない?」
ユメが指した方には確かにサブローがいた。そしてその周りにサブローを囲むようにして4人いる。
「なにしてんだろ。見にいってみようぜ。」
近づいてみると、カメラを持ったサブローとモブ男がいた。その周りには生徒会長と他に二人いる。
「あの、生徒会長…ですよね?この二人になにかあったんですか?」
クロが生徒会長に話かける。生徒会長はかなりの美人だ。
「ん?キミ達はこの二人の知り合いかい?」
「はい。同じクラスの友達なんです。」
「そうか…。いや、実はな…ここ最近誰かに盗撮されてる気がするという女子生徒が複数いてな。話によると誰かに見られている視線を感じるのと、時切カメラのシャッター音が聞こえるらしいんだ。それで生徒会で犯人探しをしようとなったんだ。それで探していたら丁度陰からよだれをたらして女子を盗撮しているこいつらを見つけたんだ。」
「え?こいつ”ら“ってモブ男もやってたんですか?」
「モブ男?…あぁ、モーブルか。いや、こいつはやっていなかった。だがこいつと一緒にいてしかもカメラまで持っているからな。」
クロとユメは目を細めてサブローを睨んだ。
「ち、違うんだ。俺はモブ男に脅されて仕方なくやったんだ…本当はこんなことしたくなかったんだ!」
((絶対嘘だ。こいつが犯人だ。モブ男は利用されてる。))クロとユメはそう思った。
クロはユメに小声で話しかける。
「なぁユメ、絶対サブが主犯だよな。」
「うん。私もそう思う。てゆうかモブ男は利用されてるだけだよ。」
ユメは男子には君を付けて呼ぶがモブ男はモブ男だった。
「だよな。そこで俺に良い考えがあるんだが、・・・・…というふうにするんだ。」
「ええ!恥ずかしいよぉ。」
「大丈夫!ちゃんとやれば。」
「しょうがない。二人とも生徒会室まで来てくれ。」
二人生徒会に連れていかれそうになったとき作戦が開始された。
「え!ユメ今日ノーパンなの!」
クロがわざとらしく言う。するとサブローがビクッとした。
「ちょ、ちょっとクロ君そんな大きい声で言わないで。」
ユメは本気で恥ずかしがっている。
「あ、いっけね。手がスベッター。」
サブローがわざとらしくカメラをユメの近くに放り投げると、素早く取りに行く。しゃがんでカメラを取ったときに絶妙な角度でユメのスカートの中が見えるようにしシャッターをきった。
カシャッ
シャッター音がなり響く。しかしユメはガッチリとスカートを押さえていたので絶対に写ることはなかった。
サブローはその様子をみて「チッ」と舌打ちを鳴らす。
「現行犯逮捕だな。」
生徒会長が言った。
「ん?…あ…」
サブローはしまったという顔をしている。
「あ、サブローさっきの嘘だよ。ユメはちゃんとパンツ穿いてるよ。」
「なに!俺は嵌められたらのか!」
「あ…あの…僕は…」
「モーブルだったか?お前も一緒に生徒会室までこい。」
そんな訳でサブローの手は手錠代わりのロープを巻いて連行されていく。
サブローは歩きながら哀愁を漂わせこう言った。
「ふっ。オレ様もカメラに踊らされた被害者の一人なのさ。」
クロは家に帰った後咆哮の練習をし、3時間で修得できた。早いようだが実はかなり早く修得できていた。ただコツさえ掴めば良いのだがそれが難しく平均で3日はかかる。練習方法としてはうるさくない様に水の中で発声し、声を出してる最中にMPが減ったら成功だ。
そんなわけであっさりと技を修得したクロだった。
誰か私にギャルのパンティーを下さい。そう思う今日この頃。
クマ吉って良いですよね