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少年クロの、冒険と人外娘。  作者: 狂字乱文
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第7話 青春の第一歩

 入学式から一週間と少しが過ぎた。まだ学園に慣れていない時期だがクラスには少しずつ馴染んできた頃だ。

 授業が始まったり部活動勧誘があったりと瞬く間に時間が過ぎていった。


 今回はそんなクロの一週間を記す。




 ~授業~


 朝8:40にホームルームが始まり9:00から授業が開始される。まず50分の授業を1コマ。10:00~11:40まで武術か魔術の授業。これは月曜日から木曜日で日替わりで交互にやり、金曜日は普通の授業だ。11:40~1:00まで昼休み。1:00から50分の授業を1コマ。ホームルームをして放課となる。授業は週5日で土日は休みだ。



 教科は国語、数学、理科、社会、モンスター学、武術、魔術だ。中でも力を注いでいるのは武術魔術だ。国がそういう教育方針なのでどこの学校でもそうだ。あと、モンスター学とは魔獣や幻獣について学ぶ分野だ。






 〈歴史〉


「それでは教科書の1ページ目を開いて下さい。」


 そう言ったのはアン先生。クロにとって週2回あるこの歴史の授業は心のオアシス(アン先生)を眺める癒やしの時間となった。



「ここに描かれているのは何か皆さん知っていますね。」



 教科書に描かれたそれは人間や亜人、ドラゴンなどの様々な種族が悪魔や天使と戦っている有名な絵だった。


 この絵の元となったのは実際にあった出来事だ。それは今から約千年程前、様々な種族の連合軍と悪魔と天使が三つ巴となった戦争だった。



 さかのぼること二千年前、この大陸で栄華を極めた文明は悪魔と天使によって滅ぼされた。悪魔と天使の戦争に巻き込まれたのだ。このことは地下に眠る遺跡から分かっている。そして悪魔と天使の戦争は引き分けとなり、残ったのは荒れ果てた大地だった。


 そしてそこから生き残った者達が種族ごとに集まり文明を築いてゆく。やがて五百年程たったころには国が出来ていった。人間の国、竜の国、亜人の国、魔族の国…。〈亜人とは獣人やエルフのこと。魔族とは人間と魔獣の間のような者だが魔獣とは明確に違い、高い知能と理性を持つ。魔獣は自分より弱い者を襲い喰らう生き物だ。〉だがこの国々は仲が悪く、度々戦争を起こしていた。


 そして今から約千年前、またしても大いなる災いが降り注ぐ。


   ”魔天降臨“


 魔界と天界の門が開かれ死神達はやって来た。


 空は禍々しい闇と焼きつくほどの輝きが覆い生命は蹂躙されていった。


 この大陸にいる者は滅びに向かっていった。


 だが、それは覆される。

 今まで仲の悪かった国々が協力し、まとまった。そして多種族が集まった連合軍は反撃を開始する。前文明が残した対悪魔・天使の兵器を使い、即席とは思えぬ連携で勝利を上げていった。


 だが悪魔と天使の軍勢は一筋縄ではなかった。押し返えされ始め危険になってきたとき、8人の勇者が現れる。そしてその勇者達の怒涛の進撃によって悪魔と天使を討ち滅ぼし、魔界と天界を繋ぐ門を破壊してこの戦いは幕を閉じた。


 8人の勇者は英雄王と呼ばれ、それぞれを王とした国が出来た。それが今現在の国である。


 だが全てがハッピーエンドではなかった。幻獣と呼ばれるモンスターが現れるようになったのだ。

 幻獣とは空間の狭間から突然現れるモンスターだ。これは魔界と天界の門を破壊した為と言われている。幻獣は繁殖はしないが魔獣よりも強い。魔獣より数段強く、頻度は多くないが突然現れるということでとても厄介なのだ。



 そんな歴史があって今では数多くの種族が平和に暮らしていた。





 キーンコーンカーンコーン

「はい、じゃあ今日はここまでね。」


 ボーッとしながらアン先生を見ていたクロは授業の内容なんて頭に入っていなかった。





 〈武術〉


「まずは皆がどれくらい出来るか知りたいから二人一組で組んで試合よ。組んだらそこにある武器を取ってきて勝手に始めていいわ。ただ他の組に近づかないように距離をとってやるのと、当たり前だけど魔術は禁止よ。準備が出来たら始めていいわよ。」


 そう言ったのはゴリザベス先生だった。他にも武術の先生が7人いるが指示を出すのはこの人らしい。

 午前中のこの時間は1~4組、5~8組に別れて武術と魔術の授業を受けている。


「クロ、一緒に組もうぜ。」

「おう、いいぜサブ。」



 誘ってきたのはサブローだ。クロとは隣の席同士というのもあるが、なんだかんだで結構話すようになった。ただ話してる分には面白いし良い奴なのだ。きっかけはサブローが「お前とは気が会いそうだ。」と言って話すようになった。最初は同類に見られたくなかったので少し避けていたクロだったが、サブローもクラス男子とも打ち解けてきた頃段々と話すようになった。


「じゃあ武器取ってこよーぜ。」

「いや、オレ様はいいや。」

「え!なんで?」

「男は拳だ!」

「え?ギャグ?」

「ギャグじゃないぞ!おっぱいに誓って。」

「そうか、分かった。でも誓うのは神様にしとけよ。」

「クロ!どうした!お前も熱心なおっぱい教の信者だったのに!おっぱいは女神様だろ!正義だろ!」

「…いや、そんなのに入信した覚えはないぞ。」


 クロはそんなバカ話をしていたら周りから視線を感じそそくさと武器を取りに行く。



「よし、じゃあやるか。」

 そう言ったクロの手には木製の槍が握られている。


 試合のルールは簡単で、武器が相手の胴体に触れたら勝ちというものだった。



「まずはオレ様からいかせてもらうぜ。」

 サブローは構えをとると正面から突っ込んだ。

「はっ」

 クロは正面から来たサブローに突きを放つ。だがサブローは横にステップしてかわし前に出る。これはクロの読み通りで詰められた距離を離す為バックステップをしながら横に薙ぎ倒す。サブローはこれを腕で止め、もう片方の拳を腰に構える。

「インパクトォ!」

 サブローは拳が届かない位置にいるクロに正拳突きを放つ。かすりもしないのに攻撃をしてきたサブローを不思議に思っていると突然クロの腹に衝撃が加わる。強さは手で少し強めに押される程度だったが完全な不意打ちだったため体がよろける。その隙にサブローが近づきパンチを出す。これで勝負が付きそうだったが寸でのところで蹴りによるカウンターが決まった。そしてすかさず放った槍による突きがサブローの腹を捉えた。


「ふぅ、あぶねぇ。」

「クッソー勝ったと思ったんだけどな。」

「ところであのインパクトって言いながら放ったあれはなんなんだ?魔法か?」

「いや、あれは魔力を溜めて放つ技だ。」

「そんなのあったのか。」

「割と有名だぞ。剣でやる飛剣ってゆうのがメジャーだな。ただ若干隙ができるのと結構MP消費するからバンバン撃てないけどな。」

「じゃあMP低い俺にはキツいな…」



 試合が終わり周りを見てみると飛剣を使ってる者やそれ以外の技を使ってると思われる者がちらほらいた。



「攻撃系のスキルとか技持ってない俺って…。これは特訓しなければ!」

 そう思ったクロだった。







 他の授業は当たり障りのない普通のものだった。





 ~部活~


 一日の授業が終わり放課後となった。


「ねぇクロちゃんは部活決めた?私はコーラス部に入ることにしたんだー♪」


 そう言ってきたのは隣の席のアリスだった。

 元気で明るいアリスはお喋りで、クロとはよく話していた。


「へぇー。俺は今日とりあえずどっか見学に行こうと思ってるよ。」

「あ!ちょうど良かったわクロ君。私も見学しに行こうと思ってたの。良かったら一緒に行かない?」


 突然ユメが話しに入ってきた。ユメは積極的にクロと絡もうとしており、こうゆうことはよくあった。


「おう、構わないよ。」

「良かった。じゃあもう行こう。」

「う、うん。じゃあまた明日なアリス。」

「バイバイクロちゃんユメちゃん。」

「さよならアリスちゃん。」


 俺達はニヤニヤしているアリスに見送られながら教室を出た。一応行くところは決まっていたクロはそこに向かって歩きはじめる。


「クロ君はどこか行こうと思ってるところはあるの?」

「あぁ。黒魔術研究部ってところにいってみようかと思っててさ。」

「黒魔術研究部?」

「そう。いやー俺さぁ、緩そうなところがいっかなーって思ってさ。それでそこは週に4回しか集まりがないから興味持ったんだ。それに丁度俺闇魔法使えるし。」

「成る程ね。てゆうか黒魔法使えるなんて珍しいね。」

「うん、まぁね。家系がそうなんだよ。」

「へぇー、凄いね。」


 そんな話をしていたら目的地についた。


 「ここがその黒魔法研究部の部室?なんか不気味だね。」


 そこは校舎である城の端の方のあまり人がこないところにひっそりとあった。


「うん、じゃあ入ってみよっか。」


 入ってみるとそこは薄暗く部屋だった。窓はあるがカーテンで光が遮られていた。部屋の中は様々な色の液体の入ったビンやホルマリン漬けにしてある小動物が置いてあった。奥に扉が1つあるがこの部屋の中には誰もいない。


「すみませーん、見学に来たんですが。」

「わっ、見学者!?今行くよ。」


 そう言って出て来たのは1人の少女。だがその少女の足はタコの様な足だった。


「いやー嬉しいよ来てくれて。うちの名前はキキ・キルメディス、よろしく。」

「どうも、俺の名前はクロです。」

「私はユメです。」


 キキという先輩は紫の髪と瞳で眼鏡をかけている。そして下半身がタコの足のようになっている。これは先輩がスキュラという種族である証拠だ。


「で、うちの部に入ることにしてくれたの?」

「いや、まだ考え中でして、とりあえず見学に来ました。」

「そっかそっか。いやーうちの部活今うちを含めて3人しかおらんくて寂しかったんよ。だから是非入ってくれ。」

「そうなんですか。他の二人はどうしたんですか?」

「あいつらは週に2回しかこないんよ。あ、質問とかある?」

「はい。この部活って何やるんですか?」

「基本的には黒魔術の実験だね。ちょっと危険なこともしたりするから覚悟しといて。でもその分凄いから期待していいよ。」

「へぇー。」 


この後少し話をして部室を出た。


「どうするクロ君。」

「うーん…やってることは楽しそうだけど人数が少な過ぎるからなぁ。」

「あ、…じゃあさぁ…私も入るからクロ君も入らない?」

「えっ!けどユメはそれでいいのか?」

「うん。私も部活は厳しいとこ嫌だったし。それに楽しそうだと思ったから。」

「そっか……。じゃあ二人で黒魔術部入るか。」

「うん!」(キターーーーー!)



 そんな訳でクロとユメは黒魔術研究部に入部した。



 ちなみにルナは帰宅部。サブローは強引にモブ男を連れて写真部に入った。勿論サブローの目的は…言わないでおこう。

キキ・キルメディス(16)♀[種族]スキュラ

身長165cm バスト:Cカップ 顔:D

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